◎
PART LIES
PART HEART
PART TRUTH
PART GARBAGE
1982-2011
▼グレイテスト・ヒッツ~パート・ライズ、パート・ハート、パート・トゥルース、パート・ガービッジ、1982-2011
☆R.E.M.
★R.E.M.
released in 2011, recorded during 1982-2011
CD-0160 2011/11/15
R.E.M.-03
2011年9月21日に解散を発表したR.E.M.の新しいベスト盤が本日発売となりました。
「一部は嘘、一部は心、一部は真実、一部は屑 1982-2011」という長いタイトルのベスト盤です。
R.E.M.はI.R.S.からデビューし途中でWarnerに移籍しましたが、このCDは両レーベルを跨いで1982年から2011年までの曲を集め、さらに未発表の新曲3曲を加えた2枚組全40曲を年代順に並べた画期的な編集のベスト盤です。
15枚のアルバムとデビュー盤のEPプラスベスト盤にサントラと、1曲も収められていないアルバムは1枚もなく、これさえあればR.E.M.の歴史がしっかりとつかめる、そんなCDです。
今回は全40曲について1曲につきなるべく短く触れてゆきます。
また今回は曲のトラック番号はディスク1と2で分けずに通算で数えてゆきますが、だから2枚目は見にくいかと思いますが、どうかご了承ください。
Disc1
Tr1:Gardening At Night
デビュー盤のEP(ミニアルバム)から。
実はこの曲、いまだに何を言いたいか分からないのですよ。
ただ、夜に庭仕事をするのは普通じゃないというだけで・・・。
Tr2:Radio Free Europe
マイク・ミルズのベースとビル・ベリーが編み出す冷ややかなグルーヴ感はR.E.M.が最高のロックンロール・バンドであることを感じさせます。
Tr3:Talk About The Passion
彼らは音楽で心を「説明」するのが上手いなと思う。
気持ちを伝えるだけでは足りない、でもそれは理屈っぽいのかも。
Tr4:Sitting Still
ピーターの激しいアルペジオは、彼が決してテクニック的に上手いというのではなく聴かせるギタリストであることを物語っています。
Tr5:So. Central Rain
初期の典型的なスタイルで、ヴァースでマイケルがぶつぶつと歌いサビで強烈な一発を入れ込む曲、でも最後がなんだか不安に。
Tr6:(Don't Go Back To) Rockville
これはマイクが書いていると思うけど彼はピアノも弾いていてマイクの音楽的センスはこのバンドの根幹だったんだなと。
そしてやっぱりR.E.M.はアメリカン・ロックなんだなと気づいた曲。
Tr7:Driver 8
決して暴力的じゃないけどじわじわとかつもわっと攻めてくるR.E.M.の裏の顔の恐さがよく表れた曲。
ギターリフがオールディーズみたいな古臭い響き。
Tr8:Life And How To Live It
マイケルがあまりきれいじゃない声で唸るとこの曲いったいどうなっちゃうんだろうと不安になる、でもなんだか印象的な曲。
Tr9:Begin The Begin
ほのかにラテンの香りがする不思議な曲。
ヴァースに歌メロが2種類あって展開する小技が効いている。
Tr10:Fall On Me
ダイナミックに展開する歌メロを大がかりなコーラスで包み込む、バラードといっていい曲で、彼らの中でもひとつの転機になった曲。
Tr11:Finest Worksong
仕事で疲れた後の爽快感や充実感を表すように高鳴りするギター。
彼らの中でも硬質な曲、でも歌メロは最上級。
Tr12:It's The End Of The World As We Know It (And I Feel FIne)
武道館のコンサートに行った時、開演前の廊下で外国人の男女3人が歩きながらこれを歌っていてさすがネイティヴと感心したっけ。
前期の最高傑作はこれかな、歌メロがいいラップでとにかく気持ちいい。
Tr13:The One I Love
僕が初めてそれと意識して聴いたR.E.M.の曲で、この曲はシングルも大ヒットし大物の仲間入りをした曲。
哀愁を帯びた歌メロに「ふぁいやぁ~あ~っ」。
Tr14:Stand
Warnerに移籍した最初のシングルのこれも大ヒット。
そして僕が初めて買ったR.E.M.のアルバムもこれ。
Twist & Shoutの焼き直しという感じかな(笑)。
Tr15:Pop Song 89
このアルバムはそうなんです、まるでビートルズの初期のパッションがそのまま80年代後半に甦ったような雰囲気ですね。
Tr16:Get Up
僕個人的にとってもうれしいのは、僕が好きなR.E.M.の曲で五指に入るだろうというこの曲が入っていること。
シニカルな歌詞なのに温かみを感じるのもR.E.M.らしいところ。
Trt17:Orange Crush
ギターとベースがとにかく冴えまくっていてコーラスワークが秀逸。
カッコよさでは彼らでいちばんの曲かな。
Tr18:Losing My Religion
彼らのシングルでいちばん売れた、代表作といっていい曲。
MTVビデオ・ミュージック・アウォードの大賞も受賞しました。
歌詞も歌メロもR.E.M.の中でも最高の部類、もちろん音も。
Tr19:Country Feedback
彼らは基本は歌のバンドだけど、この曲の充実した演奏を聴くと、演奏部分でももっと評価されていいのではないかなと思う。
まるでこの世のものではないようなこの恐さ、スリル。
Tr20:Shiny Happy People
B-52'sのケイト・ピアソンをゲストに迎えたポップな曲。
彼女の声がこの世とあの世の間に漂うような不思議な曲。
Tr21:The Sidewinder Sleeps Tonite
日常生活のちょっとした楽しみと不安を務めて明るく歌おうとする、R.E.M.一流の湿り気のあるユーモア満載の曲。
イントロでは「ライオンは寝ている」を意識した旋律をマイケルが口ずさむ。
ストリングスのアレンジはジョン・ポール・ジョーンズ、22、24とも。
Disc2
Tr22:Everybody Hurts
真に感動する曲とはまさにこのこと。
疲れ切った現代人の心の拠り所ともいえる彼らの代表曲。
Tr23:Man On The Moon
ビートルズのメンバーを除き、僕がリアルタイムで聴いた世の中のすべての楽曲でこの曲がいちばん好きです。
Tr24:Nightswimming
タイトルだけでも彼らの持つ湿り気と皮膚感覚が伝わってくる。
きっと夜の水泳は冷たくないんだと思う。
Tr25:What's The Frequency, Kenneth ?
最初は単なるポップなロックンロールでつまらなかったけど、何年か経つと単なるポップなR&Rだからこそいいと思った。
Tr26:New Test Leper
ディラン風のワルツのフォークソングに独特のセンスの歌メロがのって。
Tr27:Electrolite
やっぱりこっちの世界にはない感覚の不思議な響きの曲、でもなにかこう言葉ではうまく説明できない暖かさを感じます。
この後に脱退したビルにとって結果としては最後の曲。
Tr28:At My Most Beautiful
タイトルが示すようにR.E.M.で最も美しい曲。
あれだけの大スターなのにこの心根の優しさ、感涙もの。
Tr29:The Great Beyond
伝説のコメディアン、アンディ・コーフマンの伝記映画「マン・オン・ザ・ムーン」のテーマ曲としてシングルリリース。
明るいんだけど明るくなりきれない、そこがR.E.M.の世界。
Tr30:Imitation Of Life
虚しさを歌わせるならR.E.M.、何かこう胸に迫るものがある。
現実を直視して生きてゆくしかないというメッセージ。
Tr31:Bad Day
Warner時代のベスト盤に収められた当時の新曲。
It's The End Of The World...が時代に合わせて進化したようなシンプルな曲。
Tr32:Leaving New York
R.E.M.史上最も重たいアルバムから。
実は僕も当時これはちょっと作り込み過ぎと思っていた・・・
Tr33:Living Well Is The Best Revenge
重過ぎて作り込み過ぎた前作を反省し原点回帰の姿勢を見せた素軽いロックンロール・アルバムから。
何か吹っ切れた、のか・・・
Tr34:Supernatural, Superserious
原点回帰はしたものの、やはり若い頃とは気持ちも体も何もかもが違うことが逆に浮き彫りになってしまい、それが解散に向かった?
今となってはそんなことを考えてしまう、これは明るい曲だけど。
Tr35:Uberlin ("U"の上にウムラート)
R.E.M.最後のアルバムは、原点回帰した結果失われていた湿り気が戻ってきたのがほっとした部分。
Tr36:Oh My Heart
最後のアルバムは内容の深刻さと音の軽さのバランスが絶妙で、これは新しい路線を開拓できたと思っていたのに・・・
Tr37:Alligator_Aviator_Autopilot_Antimatter
言葉遊び感覚は最後まで超一級品だったんだな。
ピーチズというゲストの女性もまた変わった声の持ち主(笑)。
Tr38:A Month Of Saturdays
新曲1曲目はヴォーカルとギターとハンドクラップが前面に出た、空間が多く機械的な響きの曲だけど、なんというんだっけ・・・
U2のZOOROPEのような感じの音です、不勉強ですいません。
Tr39:We All Go Back To Where We Belong
新曲2曲目は静かなフォークソングをキーボードが覆っていて、1960年代後半から70年代前半の雰囲気の曲。
つまりフラワー・ムーヴメントの末裔みたいな感じですね。
こんな芸の引き出しがあるならまだまだバンドを続けて欲しかった・・・
Tr40:Hallelujah
新曲3曲目、現時点でR.E.M.最後の曲はワルツのフォークソング。
このCDのライナーノーツは本人たちが曲ごとに交代で書いていて、この曲はやはりヘンデルとレナード・コーエンが頭にあったという。
マイケルのあまりきれいじゃない声に導かれるコーラスが最後の盛り上がりを見せてアルバムは、R.E.M.は終わります。
ベスト盤を話題にすれば必ず選曲について考えますが、このベスト盤は僕は不満はありません、とてもいい編集です。
例えば、シングル曲でいえば、異様に重たくて暗いDriveやパティ・スミスが参加したE-Bow The LetterそれにDaysleeperが入っていないけど、でもそれらが入っていないのはなんとなくだけど考えが分かるし支持できる部分であるし、「えっこの曲がないの?」というほどでもない曲かなと僕は思います。
ただ、最後のアルバムから3曲入っているのは2曲でよかったかなと。
しかし最後だから逆に3曲入れたともいえるのでしょうし・・・
まあ、いちファンである僕が言うことでもないですね、失礼しました(笑)。
今回は新曲が3曲入っているということは、もうこの先は未発表音源のアルバムは出ないのかな。
そんな気がする。
出るとしてもボックスセットに収められるとか。
今日はこのベスト盤を買いに行く時、複雑な気持ちでしたね。
もちろん早く欲しい、すぐに欲しい、早く聴きたかったけど、もうこれでR.E.M.の新しいCDを買う楽しみがなくなるのかと思うと。
正直言えばまだ解散ショックから立ち直っていない僕ですが、でも、いつまでもそれを言っていてもいけないかな。
だからベスト盤を買った今日、あらためて言っておきます。
ありがとう!
R.E.M.は死ぬまで聴き続けます