◎THE ORIGINAL DELTA BLUES
▼オリジナル・デルタ・ブルーズ
☆Son House
★サン・ハウス
released in 1998, recorded in 1965 & 1992
CD-0156 2011/11/10
サン・ハウスというブルーズマンはほんとうに名前だけを知っていましたが、ブルーズの波に乗り初めてCDを買ってみました。
僕はAmazonの上客、とはいわない中客くらいかな、いずれにせよ常客ではありますね。
このCDはAmazonのトップページで過去の購買履歴からおすすめされた中にあった1枚であり、ジャケット写真を見てピンときてウィッシュリストに入れました。
すぐには買わなかったのですが、ひと月半ほどで595円まで下がったのでここは買うしかないと。
しかもAmazonは輸入盤を2枚以上買うと10%OFFになるので、これは530円そこそこで買えたことになりますね。
Amazonで輸入盤を買うのはある意味為替投資のようなものですね(笑)。
もうひとつ買おうと思ったのはタイトルに"Delta Blues"とあるから。
「デルタブルーズ」は概念だけは一応知っていて、対になる言葉が「シカゴブルーズ」であることも知っています。
しかし知っているのはほんとうのさわりの部分だけで、ブルーズを本格的に聴くようになった今ここで「デルタブルーズ」がどんなものであるかを掴んでおきたかったからです。
菊花賞を勝った競走馬のデルタブルースなら僕は割と知っているのですが、父はダンスインザダークでその父がサンデーサイレンス・・・(笑)・・・
それはともかく、今回の記事では話の流れとしてWikipediaで「デルタブルース」の概念についてさらっと紹介しておきます。
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デルタブルースはアメリカ合衆国南部のミシシッピ川流域(デルタ)やテネシー州メンフィスなどの地域で発生した、初期ブルースミュージックのひとつである。
演奏楽器として、特にギターとハーモニカが一番多く使われた。
またソウルフルで、激しく、そして自己の内面を歌い上げるようなボーカルスタイルもデルタ・ブルースの特徴である。
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ふむふむ。
しかし言葉で説明されたところで音楽なんて聴いてみなければ分からないものですよね。
まあそうは言いながらも僕のBLOGは言葉だけで音楽を話していますが・・・(笑)・・・
この説明を読む限り、アコースティック・ギターで演奏されてハーモニカが入るブルーズはみんな「デルタ」なのではないかと僕のような素人は思ってしまう。
あ、「デルタブルース」は通称「デルタ」といわれるそうで、その方がなんとなくカッコいい憧れみたいなものがあるので(笑)、素人の僕だけどここからは「デルタ」と書いてゆきます。
もうひとつこの説明の中には、南部らしい部分というのがどこかということがまるでつかめないですね。
音楽の地域性というのは不思議なものだと思います。
英国ロックのアーティストはいかにアメリカっぽい音楽をやってもどこかに英国らしさを感じさせるものです。
例えばジョージ・ハリスンのALL THING MUST PASSなんて体裁はスワンプだけど感覚としてはどうしても英国人である部分を排除できないものを感じるし、エリック・クラプトンの70年代の音楽もそうです。
だから「デルタ」といわれるブルーズにはきっと南部の人にしか出せない何かがあるのだろうと思う。
思うのですが、それがどうしてそうなったか、どこがどうなのかというのは、たった1枚聴いただけでは分からないですね。
そう思ってさらにWikipediaの英語のページで"List of Delta blues musicians"を見てみました。
するとそこにはロバート・ジョンソン、Robert Johnsonの名前が。
ロバート・ジョンソンはロックに大きな影響を与えたということで大学生の頃に例の2枚組を買って聴いていたので、僕が「デルタ」を聴くのは今回が初めてじゃなかったんだ。
ハウリン・ウルフも「デルタ」に分類される人のようで、僕も少し前に初めて聴いて記事で取り上げたばかりですね。
あのCDはかなり気に入ってその後もよく聴いているのですが、サン・ハウスと何か似通ったところがあるだろうか・・・
さらにはエルモア・ジェイムス、Elmore James、それにマディ・ウォーターズ、Muddy Watersの名前も。
ただしマディ・ウォーターズは最初はデルタだったけどシカゴに移ったため「シカゴブルーズ」の人としてより知られているという。
エルモア・ジェイムスは「デルタ」と「シカゴ」の両方を演奏する人とも書いてありましたが、僕が聴いて記事にしたのはどっちだったんだろう・・・
つまりは、マディ・ウォーターズとエルモア・ジェイムスを全部とは言わないけど何枚かより少し多く聴くと「デルタ」と「シカゴ」の違いが分かるということなのか。
ますます分からなくなってきました(笑)。
まあしかしその2人はもはや僕の中では黙っていても聴く人の中に入っているので、ここはひとつ、「デルタ」についてもう少し知るためにリストにある他の人のCDをまた探して聴いてみたいと思いました。
というわけで、「デルタ」がなんであるのか、現段階ではまだ掴めていません。
そこを期待して読み始めた方、申し訳ない、まだ少しお待ちください。
しかしB.B.キングが「デルタ」ではないことは、なんとなくより少しよく掴めたような気がしてきました。
サン・ハウスの音楽についても話さないと。
声はきれいに枯れているブルーズマンの典型という感じで、まあいかにもブルーズ、一般的にイメージされるブルーズマンの歌声です。
もちろんいい意味で言っています。
歌メロが結構いいですね。
しかし僕が面白いと思ったのは彼が弾くギターの音です。
弦の音がすっときれいに立ち上がるのではなく、弾くときに指の腹が弦に触れた時のように微妙にミュートがかかったような感じで「ぷちゅっ」という感じで音が鳴ることです。
僕もギター弾きの端くれだから、そういう音が出てしまった時は「あっ」と思います、いつもですが(笑)。
しかしサン・ハウスのギターはずっとそういう音で鳴るのでもちろん失敗しているわけではなく、そういう音が安定して出せるひとつの「技術」ということなのだと思います。
この「ぷちゅっ」というギターの音が効果的で、独特の間があって、聴いていて気持ちが引きつけられるのを感じます。
先ほど「技術」と書いたけどこれはむしろ「癖」」なのかもしれない、「癖」のあるギタープレイ。
だけどそれを個性として確立させたサン・ハウスというギタリストにはより興味が出てきました。
真似しようと思ってもなかなかできないでしょうね、下手で音が引っかかるだけの僕には・・・(笑)・・・
サン・ハウス=Son Houseとは変わった名前だけど、僕はこれを「息子の家」と解釈していました。
ところが先述の英語のアーティスト一覧表の中でSon Houseは"H"のところにありました。
つまり"Son"が名前で"House"が苗字ということになるのかな。
それはなんだかちょっと変な感じ。
だって、ハウリン・ウルフ=Howlin' Wolfは"W"ではなく"H"のところにあるんですよ。
まあそれは完全に"Holwin'"が"Wolf"を修飾する関係にある単語だからでしょうけど、となるとやっぱりSon Houseは名前と苗字ということでいいのかな、前後に関係はない2つの単語の並列として。
ともあれブルーズは奥が深い。
しかし一方で僕はこのCDを聴いていて、もはやブルーズだからといって特別ではなくまったく普通に聴いている自分を発見しました。
ほんと、6日前にはカルチャー・クラブ、3日前はスティーヴ・ウィンウッドを聴きそして明日は・・・という具合に。
普通というのは大好きですね、僕は(笑)。