COLOUR BY NUMBERS カルチャー・クラブ | 自然と音楽の森

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洋楽の楽しさ、素晴らしさを綴ってゆきます。


自然と音楽の森1日1枚-Nov04CultureClub


◎COLOUR BY NUMBERS

▼カラー・バイ・ナンバーズ

☆Culture Club

★カルチャー・クラブ

released in 1983

CD-0154 2011/11/04


 今日はカルチャー・クラブの2枚目のアルバムを。


 文化の日の昨日は仕事で朝から車を運転していました。

 聴いていたCDが終わり、目的地まであと数曲でアルバム1枚はとうてい聴けないという時間になったのでCDをやめてラジオをかけました。

 するとほどなく僕が昔からよく聴き知った曲が流れてきて女性アナウンサーが言いました。

 それでは曲をおかけしましょう、カルチャー・クラブで「カーマは気まぐれ」

 その番組は洋楽番組ではないただの朝の情報番組でしたが、そういう番組で洋楽がかかると僕はむしょうにうれしくなりますね。

 そして昨日は仕事から帰宅してこのCDを聴き、今朝も仕事の行き帰りで聴いて記事にすることにしました。


 このアルバムは思い出の塊ような1枚ですね。

 僕の年代でカルチャー・クラブといえば、嫌いも含めて、音楽をある程度以上聴く人で関心がない人はまずいないと思います。

 

 僕は中学の頃から既にアメリカンロック人間になっていたことは何度も話しました。

 カルチャー・クラブが出てきたのはまさにそんな時で僕は毛嫌いしていました。

 

 中学3年の時、クラスにおかまの男子生徒K君がいました。

 僕はその人にはレコードを貸してあげたり音楽の話を普通にしていて仲が悪くはないという感じでしたが、そのK君はカルチャー・クラブが出てくるとまるで自分の分身であるかのようにふるまい始めました。

 僕がカルチャー・クラブを最初は毛嫌いしたのは別におかまのK君のせいではありません。


 僕が高校に入るとカルチャー・クラブの2枚目のアルバムであるこれがリリースされました。

 僕は「カーマは気まぐれ」を聴いて一発でKOされ、LPを買いました。

 K君とは高校は別で、思えばK君とは当時からもう会っていないのですが、僕がカルチャー・クラブを聴くようになったのはそのこととは関係ありません。

 僕は、まったく単純明快、曲がよくて気に入れば買って聴く、ただそれだけのことです。


 しかしただそれだけのことを高校のクラスメートは一様に驚いていました。

 「お前そんな趣味があったのか」・・・いや、ないけど(笑)、僕がアメリカンロック人間であることはだいぶ知られていた上に人間としての僕のイメージとカルチャー・クラブはつながりにくかったのだと思います。

 そんな周りの反応を見ているとある意味楽しかったですね。

 プリンスのPURPLE RAINを買った時も驚かれたけど、この2枚は高校時代のそんな思い出のアルバムですね。


 このアルバムは今にして思えばソウルが好きな英国人の若者の代表作と言えるのでしょうね。

 パワフルな女性ヴォーカリスト、ヘレン・テリーという人なんだ今CDを見て知りました、彼女を入れて本物の黒っぽさを出そうとしている念の入れよう。

 当時は「ブリティッシュ・インヴェイジョン」の中で英国のバンドが次々とアメリカで売れていたけど、今これを聴いて思ったのは、当時のアメリカのバンドよりもよっぽどアメリカの音楽を愛していることが伝わってきたのがアメリカ人にはうれしかったんじゃないかなあということでした。


 もちろん、カルチャー・クラブ特にボーイ・ジョージの話題性がそこに加わるというかそちらが先かもしれないけど、彼(でいいのかな?)のヴォーカルは上手く気持ちが伝わりやすくていい声だし、この人意外と「本物」なんだっていう驚きもまた受け入れられた要因だと思います。

 

 1曲目が「カーマは気まぐれ」Karma Chameleon。

 これを聴いて日本人の多くは同じことを思ったのではないかと。

 「カーマカマカマカマ」・・・自分で言ってるわ・・・

 これって偶然なのかな。

 英国のアーティストは日本で人気が出てくることが多いので、日本のことを研究していて「カマ」に聞こえる単語をわざわざ曲に入れたんじゃないかって邪推したくらい。

 歌詞にも"I'm a man without conviction"、「僕は男だからね、もうひとつ確信が持てないけど」とあるし。

 何よりジャケットに「ボーイ」とカタカナが書いてある、もう決まりだね(笑)。

 でも僕がうれしかったのはカマではなく、この曲はどう聴いてもカントリーだということであり、僕がKOされたのは、言っては悪いけどこんな人たちがこんな本格的な音楽をやれるんだというやはり驚きでした。

 今ならさらにカントリー・ブルーズ調と言ってしまいたいこの曲、ハーモニカも入ってギターの音はグレッチ系かな軽い音、そこに最上の歌メロがのってボーイ・ジョージが魅力的に歌っています。

 僕は当時、"Lovin' would be easy if your colours are like my dreams"という部分が歌えるようになったのがうれしかったですね、このくだりもいいし。

 僕がリアルタイムで出会った楽曲でも特に素晴らしい1曲ですね、真の名曲。

 ちなみに僕はKarmaという単語はジョン・レノンのInstant Karmaでなじんでいたことはもはや言う必要もないででしょう(笑)。


 2曲目It's A Miracleは軽やかなポップソング。

 サビで歌われるタイトルの2フレーズ目の背後に短く入るブラスが当時から大好きで、そうか僕はやっぱり昔からソウルの気があったんだって。

 この曲はまた"Dreams are made of emotions"というくだりがとっても含蓄があっていいなと。

 

 3曲目Black Moneyはブラックですね、本物を聴かされたような感覚に陥ります。

 もちろん違うのですが、でも当時の若者にとってはこれで十分であり、そこから先は30年近く経ってようやく僕も聴き広げることになりました。


 4曲目Changing Every Dayはラテン風で音楽への細やかな心遣いと音楽を愛する気持ちが伝わってきます。

 そこそこの歌だけどやっぱりサビが印象的でなぜか心に残る曲だった。


 5曲目That's The Way (I'm Only Trying To Help You)はソウルバラード風。

 今聴くとほんとうに上手いですね、ボーイ・ジョージもカルチャー・クラブのサウンド作りも。

 ここでもヘレンのパワフルなヴォーカルが前に出ているけど、借り物的な感じは希薄でしっかりと聴こえてきます。

 ここでLPのA面が終わるのもなんだかいい。


 6曲目、B面最初はChurch Of The Poison Mind。

 確かアルバムに先んじてシングルリリースされて後から収録されたのだと思う、これはシンプルで素直にとってもとってもいいね。

 もろモータウン・サウンドだけど、そういえば最近もCMで使われていたワム!のFreedomももろモータウンですよね。

 当時はアメリカでは勢いがなくなり過去のものとなりつつあったモータウンに海の向こうで愛情を注ぐ人たちがいる、しかもひとりや2人じゃない、というのもアメリカ人には、懐かしさも手伝って受けたのでしょうね。

 サビでタイトルの単語を歌う"mind"の部分の歌メロが強烈に裏に入り込んで盛り上がるのがボーイ・ジョージが上手い部分だと思いいます。

 ハーモニカも効いているし、この曲はモータウン大好き人間になった今のほうがより響くかもしれない(笑)。


 7曲目Miss Me Blind、これは確か1曲目の次にシングルカットされてTop10ヒットになったかと。

 でも僕はこの曲はいきなり始まるサビの歌メロが超強烈というだけで当時はあまり好きじゃなかった記憶が。

 まあポップソングとしてはそれで十分以上だとは思うけど。

 時期的にも次のシングルがこれかと思ったところで僕は心の中でカルチャー・クラブがフェイドアウトし始めたような気がする。

 今聴いても、曲の中で一度しか出てこない部分の歌メロが半音進行ですっきりしなくてこねくりまわした感じがしますね。

 ジョージ・ハリスンならこの部分の処理がうまいんだけどな(笑)。

 と思ったけど今聴くと結構いいわ、ついつい口ずさんでいた、でも口ずさめるのはサビだけだけど・・・なんて、僕も素直じゃないね・・・

 しかしこの曲はアカペラで始まったアカペラで終わる、そこは素晴らしくて、なぜかといえば。


 8曲目Mister Man、7曲目の終りから間髪入れずにブラスで始まるレゲェチューン、この流れが最高にいい。

 ふたつの曲名が"Miss"と"Mister"でつながっているのも洒落ていていい。

 当時高校のクラスで「この曲がいい」と盛り上がって朝礼が始まるまで何人かで熱く語り合ったことがあります。

 当時はようやくロックを聴き始めて3年目くらいで、だいたい高校のクラスの人もそれくらいだけど、シングル曲ではなくアルバムの中にとってもいい曲があることが分かった頃だったんじゃないかと今にして思う。

 この曲はヴァースからサビに移行する部分でパアーッとブラス風のシンセが入ってボーイ・ジョージが声を伸ばした後で切なく歌い上げてからサビに入る、そこがカッコいい。

 久しぶりに聴いてもやっぱりこれはとってもいいと思った。


 9曲目Stormkeeperは今回聴いてサビだけ覚えていました。

 よく言いますが僕はLPをカセットテープに録音して寝る前に聴いていたので、B面のこの辺りになるとだいぶ眠くなっていてほとんど夢の中ということも多かったからです。

 それでもサビだけ覚えているのは意識がもうろうとするなかで頭の中に入ってきたのでしょうね。

 しかしこのアルバムはB面に移っても3曲目までは気持ちが持っていたのでやっぱり大好きだったんですね。


 10曲目Victimsはなぜだろう、自分でも不思議なくらいにまったく覚えていませんでした。

 もう完全に寝てたな(笑)。

 

 僕が今聴いているCDは現行のUKリマスター盤ですが、当時の日本盤LPにはこの前に大ヒットしたTime(ClockOf The Heart)が入っていました。

 その曲が僕はまた大好きなのです。

 この曲はボーイ・ジョージの半音の使い方が最高に生きていて、過剰と言えるぎりぎり手前くらいに気持ちが反映されていて聴く方もすっと心が入っていきます。

 歌メロがいいのは間違いない。 

 


 とまあ、僕はいいと思ったものは洋楽であれば何でも買うことに吝かではないという態度になれたのは、高校時代にカルチャー・クラブのこれを買ったことが大きかったのかもしれません。

 節操ないんですけどね、僕は(笑)。

 まあそれでもいいと感じるのに買わない理由は何もないわけで。


 ところがカルチャー・クラブはもう次のアルバムから興味がなくなったし、英国勢は当時は深入りしなかったのは、今も一部はそうだけど、やっぱり僕はもう当時はアメリカンロック人間として出来上がっていたのかな。

 まあ、こうなりたいという思いがあって聴いていたわけでもない、それは自然の成り行きだったので仕方ないことですが。


 だけどこのアルバムは僕にとってはいつまでも特別であるのは、昨日と今日CDを聴いてあらためて分かりました。
 思い出以上の充実した内容で今聴いても魅力的に響いてくる1枚だと思います。


 

 ところで、なぜ昨日ラジオでカルチャー・クラブの「カーマは気まぐれ」がかかったか、曲が終わってから男性アナウンサーが言っていました。

 文化の日だから、カルチャー・クラブ。

 あ、そんな深い意味はないんだ(笑)。

 一般のラジオ番組で洋楽の曲がかかると1コーラスで終わることが多いんだけど、昨日は間奏に入ったところまで流していたのもちょっとうれしかった(笑)。