◎3 HEARTS IN THE HAPPY ENDING MACHINE
▼ドリームタイム
☆Daryl Hall
★ダリル・ホール
released in 1986
CD-0124 2011/09/04
ダリル・ホール2枚目のソロアルバム
昨日久しぶりにこのCDが目に留まり、聴いてそのまま記事にしました。
僕の本家BLOGで「サングラスが印象的なジャケット写真集」という記事 を上げたのですがそこで思い出したものの1枚です。
その記事をご覧になりたいかたは上記タイトルがリンクになっていますのでそちらからどうぞ。
ホール&オーツは僕が洋楽を聴き始めた頃まさに絶頂期で僕も最初から大好きでした。
僕がH&Oを知ってからの動きは、Maneaterで全米No.1になり、ベスト盤を出し、次のアルバムからもOut Of Touchが1位になり、さらに以前記事にしたアポロのライヴ盤という流れで、考えてみればほぼ毎年何かを出していて僕も買っていたのでした。
しかし僕は当時なんとなくそろそろもう下り坂に入っているのかなと感じてもいました。
内容の良し悪しとはひとまず関係なくベスト盤もライヴ盤も出しているのは身辺整理みたいに感じていたからです。
案の定というか、ライヴ盤の後はダリル・ホールのソロアルバムが出ました。
ダリルは前に1枚既に出してはいましたが、バンドメンバーがソロを出すのはバンド活動に対して行き詰まりのようなものを感じたということがほとんどだと思い、僕はそれも当時感じていました。
実は僕の中でもH&O熱はそろそろ冷めかけていてこのソロアルバムも最初は「ああ出るんだ」くらいにしか思っていなかったのですが、しかし1stシングルとしてヒットした1曲目Dreamtimeをテレビで観て聴いてその考えが変わりすぐにLPを買いました。
1986年といえば僕がLPを買っていた最後の年ですが今思うとなぜか1986年は当たりのアルバムが多かったように思います。
これももちろんその1枚です。
Dreamtimeは「夢」を歌った歌でこれだけ現実的に鋭く響いてくる曲はそれまで体験したことがなくある意味衝撃的な曲でした。
"I saw you standing and I felt your rage"
「夢」を歌っているはずなのにいきなり歌い出しで「怒り」を感じているのです。
その時点でこれは「将来の夢は?」の意味の「夢」ではなく眠っている時に見る「夢」のほうであると解釈したのですが、聴いてゆくと悪夢から逃れる手助けをしたいと歌っているように感じられてそこで現実的である意味が納得できました。
夢というのはまた作りすぎている姿という意味でありもっと自然に振舞ったらどうかという意味かな、とも。
アップテンポでこれだけ歌メロがいい曲というのもそうはないのではないかな。
ダリル・ホールが書いた曲の中でも僕は特に好きな曲のひとつです。
このアルバムは当時から大好きでしたがでも今思うとDreamtimeだけが傑出していて他に歌としてまあ印象に残ったのはあと3曲かな。
2曲目のOnly A Vision、これは当時「ライヴエイド」を成功させたボブ・ゲルドフがゲストとして参加していることで話題になりました。
7曲目Foolish PrideはH&Oお得意のエレクトリックソウル路線で、後にシングルカットされビデオクリップが制作され、「ポッパーズMTV」でピーター・バラカンさんがほめていたのが妙にうれしかった。
10曲目What's Gonna Happen To Usは最後らしい広がりがあるR&Bバラードで彼らの音楽背景の奥深さを感じます。
実はこのCDは一昨年買ったものでこのアルバム自体をその時に聴くまで20年以上聴いていなかったのです。
だから4曲しか覚えていなかったのですが、でもやっぱりいいアルバムだと思い直したのは間違いありません。
だからいいアルバムって、必ずしもすべての曲がとてもいい必要もなくて、気持ちに引っかかることなく流れてゆけばそれでいいのかもしれません。
このアルバムについては僕がいいと思った曲が1、2、7、10と散らばっているのが要所要所を押さえていて気持ちが続きやすくていいのかもしれません。
10曲のうち4曲しか印象に残らなかったのにいいと感じたのはデイヴ・スチュワートのプロデュースのおかげでしょうね。
今聴くともうどうしようもないくらい80年代サウンドなんだけどでもキーボードが薄くてギターは割としっかりと響いていて何よりしゃきっとした音作りは気持ちがいいですね。
思えばデイヴ・スチュワートも"Dream"で売れた人でありその辺の感覚がダリルと共鳴するものがあったのかもしれない。
音楽的な面で当時思ったのは、これはダリル・ホールらしいけどホール&オーツらしいというわけではないというものでしたが、それは結局H&Oを引っ張っていたのはダリルであるけど彼の音楽の引き出しをもっと開けたくてソロを出していたのかなということです。
まあそれはダリルに限らずどのアーティストでもソロはそういう意味なのでしょうけど、大好きなバンドのメンバーがソロを出したのは僕のリアルタイムでは初めて経験したものだったのでそこがつかめた気がしました。
ちなみにフィル・コリンズは本体のジェネシスのほうを後で聴いたのでダリル・ホールの場合とは少し事情が違います。
アルバムタイトル「ハッピーエンドの機械の中の3つの心」というのは結婚して子どもが出来たという意味なのかなと当時は思いましたがどうだろう。
80年代サウンドは今の僕には大まかに以下の2つに分類されて、ひとつは「懐かしくてうれしい」、もうひとつは「なんだかこっ恥ずかしい」。
このアルバムはもちろん前者で久しぶりに聴くとなんだか若い頃の力が取り戻せそうな錯覚に陥りました(笑)。
でも、もしかして今の僕は当時の若さというか可能性を取り戻したいと願っているのかな・・・
ある意味でポピュラー音楽としてのロックのひとつの完成形が80年代ロックですからね、そこはもっと認めていいのではないかと思います。
まろやかだけど案外刺激的なサウンド、それでいてやっぱり自分が帰るところという感じがして落ち着きます。
ところで。
このアルバムのアートワークは僕が全ロックアルバムの中でも特に好きな1枚なのですが、現行の海外盤CDでは、RCAの文字とコンパクトディスクの模式図のような写真が右下に入っていて邪魔ですね(笑)。
まあ、いいんです、飾ろうと思えばLPは持っているから。