◎UNDERCOVER
▲アンダーカヴァー
☆The Rolling Stones
★ローリング・ストーンズ
released in 1983
CD-0073 2011/06/09
The Rolling Stones-004
ローリング・ストーンズ17枚目のアルバム。
今日は6月9日「ロックの日」。
HMVもロック系CDが今日までポイント10倍だし僕も何かロックの日にちなんだアルバムをと思いローリング・ストーンズを上げることにしまた。
昨日からの流れもありますがそれ以前にストーンズはまったくいかにもロックですから(笑)。
昨日のSTILL LIFEは僕が初めて買ったストーンズのLPでしたが、このUNDERCOVERは僕が初めて買ったストーンズのスタジオアルバムです。
そういう点でも昨日からの流れは自然ですがストーンズの場合はアルバムが多いので一度聴くと少しの間何枚かを聴きたくなりますね。
高校1年の時に新譜を予約して買いました。
リリースが近づくとこのアルバムのジャケット写真が雑誌などで出回り、これを予約した僕はジャケットめあてだろとクラスメートに冷やかされました。
もちろん違いますがでも当時僕の周りではストーンズなんてそんな程度にしか見られていなかったのも確かです。
学校にこのLPを持っていくと先生に没収されないかと心配したけど貸してほしいという人は誰もおらずそれは杞憂に終わりました。
ただし僕はこんなジャケットのLPを平気で買ったことで少しは大人に近づいたなと思ったのも確かです(笑)。
なおこのLPのオリジナル盤のジャケットは女性の下腹部を隠しているシールを剥がすことができるという話を聴きましたが僕が買ったのは日本盤で(残念ながら)それはできませんでした。
予約したくらいだから力が入っていたし先行でテレビで見て聴いたUnder Cover Of The Nightはかなりカッコよくて気に入ったのでLPへの期待も高まりました。
でもいざ買って聴くと、当時の僕にはあまりしっくりこなくて多分10回くらいしか聴かないで終わりました。
その後CD化され何度か出直してその都度買い求めて聴いてはいたけど、昨日また数年振りに聴くと3曲しか覚えていませんでした。
アルバムでは1曲目にUndercover...が入っているだけ余計に気持ちが続かなかったのでしょう。
僕の曲の覚える能力が劣っていることにも要因がありますが、でもそれを差し引いてもこのアルバムは曲が弱いかなと思いました。
お得意のレゲェの曲もここでは印象が弱いし、バラード路線にも進んでいないし。
キース・リチャーズが歌う曲はどのアルバムでも強烈な印象を残すものだけどこのアルバムのWanna Hold Youは今回聴き直すまで覚えていないくらいだったし。
このアルバムの聴きどころはToo Much Bloodということになるのでしょうか。
パリで起こった日本人男性による女性の猟奇的殺人事件を題材に取ったショッキングなこの曲のビデオクリップが残酷だということで欧米では放送禁止になった、という小林克也さんの触れこみでビデオクリップが放送された翌日は学校で話題になりました。
でも僕は買って数回しか聴いていなかったせいでこの曲がこのアルバムに入っていたことは覚えていなくてそのビデオクリップを見て聴き直して気づきました。
買って割とすぐに気持ちが萎えていたということでもありますね。
僕はそのビデオクリップを見て「ストーンズってこんな趣味がある人たちなんだ」って思いました。
彼らが70年代に黒魔術や猟奇趣味を曲として表していたことを知ったのはそのはるか後であり、当時はあんな大物がこんなことをするのかという驚きと違和感のようなものを覚えました。
いってみれば前時代的と感じたのでありそんな彼らの姿はある意味滑稽に映りました。
だけどそれは必ずしも僕だけが感じたことではないのかなと今にして思います。
僕だって時代を生きてきた人間であり当時の雰囲気は感じていたから、その猟奇趣味は80年代の雰囲気には似つかわしくなかったのでしょう。
彼らも多分それに気づいたようで実際にこの後はこうした色を出さずに少しずつ大人のロック路線になってゆきましたから。
ローリング・ストーンズはSTILL LIFEで彼らのキャリアと時代に一区切りをつけた。
さて次の新しい局面に進むにあたって実は新たなコンセプトもないし心構えもできていないままなんとなく進んでしまい、それまでやってきたことをやらざるを得なかった。
当時は煮詰まっていたのでしょうね。
この後ミック・ジャガーとキース・リチャーズのソロ活動が盛んになり次のアルバムのビデオクリプでけんんかをするという事態にまで発展したという傍証もありますから。
かといってそれまでを総括するというほど内容が強くも濃くも深くもない。
いわばこのアルバムは過渡期の中途半端なアルバムということになるのではないかなと。
若干の皮肉を込めて言わせてもらえば、煮詰まった雰囲気が実にリアルに刻み込まれたアルバムではあると思います。
まあしかし今回聴くとそれなりにいいとは思いましたよ。
少なくともストーンズらしくはあるし曲だってアルバムとして聴くとじゅうぶん以上によいです。
なんといっても僕にはリアルタイムで聴いたという思い出が染みついたアルバムですからね。
人間、思い出に勝る気持ちはなかなか見つけられないものだと思います。
◎このCDこの3曲
Tr1:Undercover Of The Night
うまくかちっとまとめてやろうという気持ちはさらさらなくただただ流されたまま弾いてしまおうというキースのギターソロは、いったいどうなってしまうんだろうと思いながらも引き込まれるものがあります。
そんな芸当が許されるギタリストはキース・リチャーズだけでしょう(笑)。
曲自体はストーンズ名曲の系譜になんとか踏みとどまっているといった感じでしょうか。
Tr2:She Was Hot
高3で同じになったロック好きの男性のクラスメートがこの曲がよかったと言っていたのが意外でした。
でもその話を聞いてすぐに曲が思い出せた自分が少しうれしかった(笑)。
Tr6:Too Much Blood
曲としてはソウル風のブラスやミックの喋りもカッコいいし今では結構好きといえば好きです。
強烈なタンゴのリズムに乗った曲だけどそういえばUndercover...もタンゴであることに今気づいた・・・