◎FROM FEAR TO ETERNITY
▲フロム・フィア・トゥ・エタニティ
☆Iron Maiden
★アイアン・メイデン
released in 2011
CD-0071 2011/06/07
アイアン・メイデンの新譜が出たので紹介しないわけにはゆきません!
といっても今回はベスト盤です。
1990年の8thアルバムから2010年の15thアルバムの中から選曲された年代限定ベスト盤の第2弾です。
第1弾は2008年に出たSOMEWHERE BACK IN TIMEでデビューの1980年から1989年の7thアルバムからの選曲のものでした。
僕は数字に割とこだわると書きましたがメイデンはそれ以上にこだわっていて、このベスト盤は欧州では「獣の数字」である6月6日にリリースされました。
それが昨日HMV札幌店に行くと入荷していて、晴れてメイデンが意図した通り6月6日に買うことができました。
でも国内盤は6月15日発売、それって意味ないじゃんと思ったり・・・(笑)・・・
今回は対象期間が長い上に長い曲が多いので通常盤でも2枚組となっていますが、ここでは全曲をどのアルバムから選ばれているかを書き出してみます。
ただしその期間にはメイデンのファンには「悪夢も時代」とも言うべき別のヴォーカリストが歌っている10thと11thアルバムも含まれていますが、ここではそのアルバムからの曲はブルース・ディッキンソンが歌ったライヴのテイクが収められています(ほっ)。
なお各アルバム内での曲の並びはこのCDで出てくる順番です。
8th:NO PRAYER FOR THE DYING
・Holy Smoke
・Tailgunner
・Bring Your Daughter...To The Slaughter
9th:FEAR OF THE DARK
・Fear Of The Dark (Live)
・Be Quick Or Be Dead
・Afraid To Shoot Strangers
10th:X FACTOR
・Man On The Edge (Live)
・Sign Of The Cross (Live)
11th:VERTUAL ELEVEN
・The Clansman (Live)
12th:BRAVE NEW WORLD
・The Wickerman
・Blood Brothers
・Brave New World
13th:DANCE OF DEATH
・Paschendale
・Rainmaker
・No More Lies
・Dance Of Death
14th:A MATTER OF LIFE AND DEATH
・Different World
・The Reincarnation Of The Benjamin Breeg
・For The Greater Of God
・These Colours Don't Run
15th:THE FINAL FRONTIER
・El Dorado
・Coming Home
・When The Wild Wind Blows
以上23曲。
ベスト盤については誰でもほぼ必ず「どうしてこの曲が入ってないの?」「なんでこの曲が入ってる・・・」というのがあるとは思います。
今回のベスト盤で僕がいちばんうれしいのは、Afraid To Shoot Strangersが入っていることですね。
この曲は僕がアイアン・メイデンで最も好きな曲である以上に僕がリアルタイムで出会ったすべてのロックの楽曲の中でも五指に入るという大好き以上の曲です。
あ、この場合も一応はビートルズのソロは除いておきますが・・・
この曲は戦場において敵を撃つことと撃たないことどちらにも勇気が必要であるという極限の状況における兵士の心理を描写したものです。
曲はアルペジオと浮遊感がある旋律を奏でる2本のギターに乗ってワルツで始まりこの部分が第一部もしくは導入部。
第2部はまるで唐突に東欧風ともケルト風ともいえる哀愁を帯びたあまりにも美しいギターの旋律が流れてきますがここまではあまりハードではなくバラード風。
第3部はテンポアップし曲も展開してヘヴィメタル然とした音になりギターが唸りを上げて縦横無尽に駆け巡る。
第4部は第2部の繰り返しですがギターが奏でる旋律が少し変えられていてそこがまた感動を呼びます。
なんといっても第2部と第4部のギターの旋律が美しい。
美しいんです。
最後の勇気を振り絞った姿はきっと誰でも美しいのだと思います。
このギターの旋律は聴いていても心にしみてくるしギターで自分で弾くとまるで自分の体の一部になったかのように感じます。
勇気が湧いてきます。
僕がこの曲に出会ったのはちょうど気持ち的にかなり落ち込んでいた頃でした。
さらに前に進もうにも進むべき道がまるで分からなかった25歳の頃。
そんな時期に出会ったからこそここまでの思いの曲になったのだと思います。
メイデンの中では人気は中くらいかな。
ライヴではアルバムが出た後の頃に暫く時々演奏していたようですが定番ではありません。
曲自体も一応4部構成で凝った作りになってはいますがメイデンの大作に比べると練り込みが少し足りなくて曲の意向がスムースではなくやや唐突な印象を受けます。
しかしこの場合はそれは割り切ってそうしていて敢えてあまり考えなかったのではないかと僕は思います。
この曲の命はすべて美しい旋律にあるからでありあまり手が込んだ作りにするとその旋律が生きてこないからです。
ほんとうにこの曲が入っていてうれしい。
いつかライヴで観て聴いてみたいという思いを今回は新たにしました。
他に入っていて特にうれしかったのはデイヴ・マーレィのポップな傑作Rainmakerで、この曲は「ド」の音で歌が終わっておらずいつまでもずっと続く感じがします。
These Colours Don't Runも特に大好き、この曲もまた歌メロがいい。
もう1曲The Sign Of The Crossはライヴでこの迫力は凄すぎる。
逆に入っていて欲しかったのは13thのアコースティックギターによるほの暗いワルツのJourneymanだけどこれはそういう曲だからメイデンらしくないと判断されたのかな。
でもベスト盤で新しい人が買う可能性もあるのでメイデンの魅力を知ってもらうためにも入れてほしかったな。
もう1曲入っていて欲しかったのは12thのGhost Of The Navigator、でもまあ仕方ない。
なんでこれが・・・という曲はないです念のため(笑)。
だけど昨年のアルバムの曲がもう入っているのは違和感とまでは言わないけどそこだけまだ若干浮いているように感じますね。
でもやっぱりComing Homeが入っているのはうれしい。
アイアン・メイデンは一昨年だったかなアメリカのCNNで特集が組まれていてそれを見た人が新たにファンとして入ってきたという話を聞いたことがあります。
それはヘヴィメタルであることを強調したものではなく、長く続けてきて世代を超えてファン層が広がりいまだに絶大な人気を誇っているひとつのロックバンドの姿のドキュメンタリーでした。
ブルース・ディッキンソン「機長」が自ら飛行機を操って世界をツアーすることもそこで触れられたようです。
ヘヴィメタルというとやっぱりまだまだ「ある特殊な」イメージがつきまとっているかとは思うけど、メイデンの場合はもはや「大人が聴くかなりハードでポップなロック」という認識になりつつあるのかなと僕は考えています。
あってほしい、かな、まだまだ。
僕はメイデンを聴くと落ち着くし、「アイアン・メイデン大人のロック推進委員会」でも立ち上げようかと思うくらいだから(笑)。
ところでこのベスト盤のタイトルFROM FEAR TO ETERNITYとは9thアルバムに入っているFrom Here To Eternityをもじったものだけど、肝心のその曲が入っていないぞ・・・
まあいいか、たいした問題じゃない(笑)。
追伸:それにしてもFear Of The Darkはあまりにも素晴らしすぎる!