◎DAMN THE TORPEDOES
▲破壊 (ダム・ザ・トーピードゥズ)
☆Tom Petty & The Heartbreakers
★トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ
released in 1970
CD-0060 2011/05/27
トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの第3作目のアルバムにして出世作、全米アルバムチャート最高3位。
少し前にこのアルバムのDELUXE EDITION2枚組CDが出ましたが今回はこれを聴きながら書いています。
トム・ペティは僕が最も好きなロッカーのひとりです。
僕の基本はアメリカンロックと呼ばれているロックですがトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズはその中でも僕にとってはほぼど真ん中の音を聴かせてくれます。
歌メロが口ずさみやすいしギターがよく鳴るしちょっとハードで決してソフトではなくブルーズもカントリーも要素として少し感じさせるという音楽的な面はもちろん、バンドメンバーのキャラクターが親しみやすいしバンドのフレンドリーな雰囲気が大好きですね。
トム・ペティは他の多くのロッカーとは違うかたちで人としても尊敬できる部分を感じる人であり、かなうならいつか会って話してみたいというのが僕の夢でもあります。
日本のファンの方が編集して出しておられる月刊メールマガジンも楽しみに読んでいますがそこで時々催されるオフ会にも一度参加してみたい。
しかしトム・ペティは日本では人気がないですよね。
かつて来日してからもう四半世紀ほど来日公演がなく、メールマガジンでも来日要請の署名活動も時々行っていますが今後もあまり希望が持てないですね。
これは夢ではなく僕はアメリカに行って彼らのコンサートを見るのが生活の上での目標です。
僕は昨年彼らの新譜が出た際に「なぜトム・ペティは日本では人気がないか」という記事を上げました。
今回はその記事をダイジェストとして書き出します。
手抜きじゃないかと言われそうですが(笑)、でも、音楽専門のBLOGを始めた以上はこちらでもその話題に触れたかったのです。
なお、あくまでも僕の感じでありまたもちろん彼らへの愛情を基本として書いていて嫌味ではないつもりですが、お読みくださって気分を害されたかたがいらっしゃれば悪意はないですのでどうかご理解ください。
なにより僕がトム・ペティを大好きなわけですから。
▼その1:トム・ペティは声がよくないから
焼き鳥の串を口に挟んだまま歌うような発音の上にダミ声系でお世辞にも美声ではないし声でひきつける人ではない、かな。
声は特に日本では大きな要素でしょうし。
ただその癖により印象に残る声という点ではプロ向きの人なのですが。
▼その2:トム・ペティはハンサムじゃないから
本題の前に今は「イケメン」ということは分かっていますが僕はその言葉が嫌いなので・・・
それはともかくトムは僕はカッコいい人だと思うんだけど一般論としてはそうですね、ハンサム系の人ではないかもしれないですね。
いかにも皮肉屋という感じのちょっと癖がある顔つきだし。
日本では伝統的にハンサムで声がよい人は人気になりますよね。
ハンサム系というよりはベビーフェイス系と言った方がいいのかな。
でも例えばクリストファー・クロスが売れた時に逆の意味で顔が話題になりましたがもちろんハンサム系ではなくても声がよくて売れた人もいることはいます。
▼その3:曲がつかみにくいから
僕は中学時代にエアチェックして初めて聴いたYoy Got Luckyの歌メロに引かれて彼らを好きになったのでそんなことはないとは思うんだけど、でもこれについては客観的判断は難しいですね。
アメリカでは売れているのだから曲が分かりやすくないはずはないという言い方くらいしかできません。
聴いていただければ分かると思うんだけどそれ以前に聞かない人が多いのはいかんともしがたいですね。
▼その4:「この人といえばこの曲」という代名詞的な曲がないから
本家BLOGで書き込みをいただいたかたのご意見も総合するとこれは大きな要因であると思われます。
普通これだけのキャリアで売れ続けていれば代名詞的な曲は必ずあるものでしょう。
試しに以下に挙げる70年代からのアメリカの大物ロックアーティストには名前を見た瞬間に思い浮かぶ曲が最低1曲はあると思います。
ビリー・ジョエルといえば・・・
ブルース・スプリングスティーンといえば・・・
イーグルスといえば・・・
ドゥービー・ブラザースといえば・・・
じゃあ、トム・ペティといえば・・・
トムの歌でアメリカでいちばん売れたのは多分自らの名義ではなくスティーヴィー・ニックスに提供しデュエットしたStop Dragging My Heart Aroundではないかと思うんだけど、でもその曲も日本では知名度が・・・
そしてこれは「曲がつかみにくいこと」の傍証といえるのかもしれません。
ただし僕はアメリカで生活したことがなく実感がないのでアメリカではもっと膾炙している曲があるのかもしれない、きっとそうに違いありません。
▼その5:小難しいことをやってそうな人たちだから
事実としては違うんですが、でも正直僕こそが若い頃はそういう人たちだと思って接していました。
その実はシンプルなアメリカンロックをやっているだけなんだけどここまで書いたことも鑑みるとそこが伝わりにくいのかなと。
▼その6:音楽的立ち位置が中途半端だから
トムは一方で音楽聴きの通の人には「アメリカの本物ぶった偽物」というか単なる売れ線の音としか響かなくてやはり避けられるのではないかなと思いました。
つまり一般向けでも玄人受けでもない中途半端な存在。
これは僕がネットで知り合った僕が玄人で通の音楽聴きだなと思う何人かのかたがトム・ペティを聴いたことがないか持ってるだけという人だったという僕自身の体験からの推察です。
▼その7:日本にはアメリカンロックの土台がないから
それはありそうというか、それを言っちゃおしまいよというやつかも(笑)。
日本ではカントリーも人気がないようですがそれらがなぜかはまた別の機会に回します。
▼その8:日本のレコード会社がプロモーションにあまり乗り気ではない
これはその7の派生ですね。
なお彼らは2008年のNFL第52回スーパーボウルにおいてハーフタイムショーの大役を務めたのですが、そう書いたところでやっぱり日本ではそれほどアピールするものはないですかね・・・
▼その9:日本でライヴをやらないから
これは「卵とニワトリ」問題ですが来日公演をしないから人気がないというのは確かなことだとは思います。
AC/DCだって10年くらい前まではそうでしたから。
逆にアメリカで人気があるのはコンサートを積極的に行っているからだしそれは彼らに限らずほとんどすべてのアーティストに共通のことでしょう。
以上9つを挙げてみましたが、どれかひとつではなく複合的な要素が絡んでいるに違いありません。
今では海外盤を普通に買えるしネットで情報も得られるしBLOGなどを通してトム・ペティを好きな人と知り合える機会もあるから、トム・ペティが日本では人気がないことも僕としては今はそんなに気にしていないです。
ただ僕は周りに起こっている現象について考えるのが好きなのでこんな記事も書いてみたという次第です。
断っておきますが僕はほんとうに大好きですからね。
車の中にも彼らのベスト盤を積んであっていつでも聴ける状態になっています。
トム・ペティにはこだわりたいからこれからもタイミングを見計らって記事を上げてゆきます。
◎このCDこの6曲
Tr1:Refugee
彼らの代表曲はこれでしょうね。
ほの暗い雰囲気に強い音で迫ってきてサビで一気に破壊圧が強まりついつい口ずさんでしまいます。
Tr2:Here Comes My Girl
彼らの曲にはラップ的な喋りの部分も多いけどそれももしかして避けられる部分かな。
この曲はこのモチーフでどうしてそんなに焦っているんだというところが面白い。
Tr3:Even The Losers
彼らの音楽はシンプルなロックンロールとは少し違いパンク以降という時代の影響で弾けている部分があるのが特徴です。
それにしても自虐的なタイトルが多い、か・・・(笑)・・・
Tr4:Shadow Of A Doubt (A Complex Kid)
一見これは疾走感がある曲だけどやはり何か影を引きずっている部分があって爽快ではないでも気分はよくなりたいそんな心持になります。
Tr6:Don't Do Me Like That
どことなくユーモラスでコミカルな響きでこの曲は親しみやすいと思うんだけど・・・
これを聴くと彼らの音楽がオールディーズを基本としていながらもそこから前に進んでいるのがよく分かります。
Tr9:Lousiana Rain
雨の歌には抒情的な名曲が多いけどこれもその系譜に位置付けていいと僕は思います。
でもトムの声で歌うと情感が足りないと思われるかもしれない・・・
ああこれはほんとにいい曲なんだけどなあ。
※デラックス・エディションのdisc2には当時に録音された未発表曲、ライヴテイク、デモなど9曲が収録されています。
僕としてはかなり気に入り、特に以下に掲げる4曲目までの未発表曲で相変わらずの質の高さと親しみやすさを感じました。
DISC2
Tr1:Nowhere
Tr2:Surrender
Tr3:Casa Dega
Tr4:It's Raining Again