LIVING PROOF バディ・ガイ | 自然と音楽の森

自然と音楽の森

洋楽の楽しさ、素晴らしさを綴ってゆきます。


自然と音楽の森:CD1日1枚-April13BuddyGuy


◎LIVING PROOF

▲リヴィング・プルーフ

☆Buddy Guy

★バディ・ガイ

released in 2010 

CD-0018 2011/04/13


 バディ・ガイの2010年の新譜、ウィキペディアを見るとライヴも含めた個人名義としては20枚目のようです。


 僕にとってブルーズは、ジャンルがブルーズに分類されるアーティストのCDは全部合わせて50枚はあるかなというくらい、特にこだわりがあって聴いているほどでもないけど、でも時々むしょうに聴きたくなるという音楽です。

 そのようなわけで、今回の記事はいつも以上にさらりとお読みいただければと。


 バディ・ガイのこのアルバムは、Amazonのトップページに出てくるおすすめCDで見て、こんなものが出ていたんだと知って「ほしいものリスト」に入れ、暫くして値段が下がり今月に入ってから買いました。


 凄い!


 陳腐な言葉だけど、もうほんとそれを痛いほど感じました。


 そして若い!


 1曲目が74 Years Young、まさにその通り、74歳でこの若々しさはなんだ、もうそこで倒れ込みました。

 "Old"ではなく"Young"と高らかに宣言しているところがまた頼もしい。

 ギターもヴォーカルも攻めていて、全曲そのテンションで押し通し、聴き終ると大きな音の塊が胸や心や頭そして耳に残ります。

 74歳ってほんとかな、逆にさば読んでるんじゃないかなって疑いたくもなります(笑)。


 声の張りが凄い。

 僕はバディ・ガイはほぼ初めて聴くので昔との比較はできないんだけど、ブルーズマンらしいちょっとしゃがれ系の声ではありつつ、加齢による衰えはなくて、ぱんと張って突き抜けてゆく迫力がある声です。


 ギターの演奏も凄い。

 人によってはうるさいとすら感じるくらいにギターをかき鳴らし、気持ちがたかぶり取り乱しそうになるのですが、でも聴き終るとその分だけ落ち着くほうに大きく心が揺れ戻ります。

 もちろん吠えるだけではなく囁くような優しい音もあります。

 ギターの音色がいいのは言うに及ばずで、シングルコイル系のしゃりっとした音はキレよく突き刺さって来ます。


 一応はギターを弾く人間としてうれしいのは、曲ごとに使われたギターがブックレットに明示されていて、メインは1957年のストラトキャスター、他にテレキャスター2本、ギブソンES335、マーティンのBGシグネチャーのエレアコなど。

 ブックレットにもギターを持った写真が満載、というかよく見るとすべての写真がギターと一緒に写っていて、このこだわりは半端じゃない。


 2人の超大物ギタリストとの共演がまた凄い。


 4曲目のStay Around A Little LongerではB.B.キングと共演。

 そうか、B.B.から見ると74歳のバディ・ガイはまだ「若い」んだ!

 歌も演奏はもちろん熱気を帯びつつしっとりと聴かせてくれる素晴らしいものだけど、それ以前にこの2人の元気さは人間として感動しますね。


 7曲目のWhere The Blues Beginsにはカルロス・サンタナが参加。

 おお、「若い人」が出てきたぞ(笑)。

 サンタナがいるとなぜか哀愁を意識してしまう、これはソウルといっていい雰囲気に仕上がっています。


 もうひとつ僕がひかれたのが、ウェンディ・モウテンとベッカ・ブラムレットのコーラス隊で、3曲に参加。

 ベッカは最近買った別のアーティストのCDに立て続けに2枚参加していて、調べるとコーラスとしては物凄い数のアーティストのアルバムに参加していることが分かりました。

 表題曲ではBGの声とギターと争うかのような張りがある声を響かせています。


 ブルーズは曲がある程度カタにはまっているだけに、曲自体を楽しもうというよりは、そのカタの中で個性をどれだけ表現できるか、そこが自分と合うかどうかではないかと思います。

 とはいいつつ、このアルバムはちょっとした歌メロがよくて口ずさみやすいのも魅力ですね。


 このアルバムは、ロックが好きな人ならブルーズをあまり聴かなくても素直に伝わってくる1枚です。

 もはやこれはロックの醍醐味、というのは順序が逆になるかもしれないけど、もし僕が二十歳のまだロック野郎だった頃にこれを聴いても、同じように感じて好きになっていただろうと確信します。

 

 そしてこのアルバムはまっすぐに僕の中に入ってきて、心を振り回した上で立て直してくれました。

 ブルーズを聴くという行為は、ルーツに戻って再確認し、また進んでゆくための心の儀式のようなものかもしれません。

 そういうものが確かにあるというのは安心です。

 

 これだけ気に入ったのだから、他のアルバムも聴いてみたいし、他のブルーズマンも聴いてみたい、短期的にブルーズに凝っている、なんてことになるかもしれません(笑)。

 ただし、他のブルーズを聴いても、いざ記事を書くとなると同じようなことしか浮かばないかもしれないけれど・・・ 


 お酒のラベルを装ったデザインも分かりやすいイメージで面白いしカッコいいですね。

 "Proof"はアルコール度数とかけているわけですが、ほんとにこんなお酒があれば部屋に置いておきたいくらい・・・飲まないかもしれないけど・・・(笑)・・・

 

 聴いていると気持ちが若返ります。 

 て、あれ、少なくとも僕はバディ・ガイよりは若いぞ・・・

 僕も74歳の時に、こんなに若々しくありたい。

 なんて、先のことを今から思っても意味がないかもしれないかな(笑)。

 まさに「生きる証」、そして「度数74度」の生きる力に満ちた素晴らしいアルバムに出会いましたよ。


◎このCDこの6曲

Tr1:74 Years Young

=74年の積み重ねは重たいはずなのにまだまだ先を見ることを忘れない心意気

Tr2:Thank Me Someday

=出自を綴ったブルーズらしい曲、実話かどうかは分からないけど

Tr4:Stay Around A Little Longer (Feat. B.B.King)

=至芸対決、柔らかい曲、ちょっとなんて言わずもっといてほしい(笑)

Tr6:Living Proof

=コーラスが熱いのはまだまだ強い74歳パワーに押されたからかな

Tr7:Where The Blues Beging (Feat. Carlos Santana)

=歌メロはこれがいちばんいい、そこにカルロス・サンタナ、もうたまらない

Tr9:Everybody's Got To Go

=穏やかですがすがしい普通のポップスのバラードともいえる逸品、コーラスが抜群にいい




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