
アルバム「リバー」のツアーを終えて、疲れきったブルース・スプリングスティーンは憔悴しきっていた。
ニュージャージーの自宅に戻り、4chのマルチトラックレコーダーで自宅の寝室で曲をつくり始める。
思い出すのは、過去の自分への回想、強い男に育てようとするアルコール依存症の父との葛藤、有名人になりすぎた自分を見つめる好奇な目、自分が目指す音楽と周りとのギャップ・・・ ブルースは次第に追い詰められていく。
そんなブルースを信頼して、サポートするマネージャーのジョンはブルースにカウンセリングを勧める。ブルース・スプリングスティーンは代表作「ボーン・イン・ザ・U.S.A」を作り上げるが、その前に希望どおりの音楽になった「ネブラスカ」を発表する。
ブルース・スプリングスティーンが「ボーン・イン・ザ・U.S.A」を発表したのは1984年。私がボスを聴き始めたのは大学に入った年だから1983年。82年に発表された「ネブラスカ」はすでに発表はされていた。暗い曲ばっかりだった。少しあとに発表されたが同じアコースティックに仕上げた「トンネル・オブ・ラブ」の方がむしろ好きだった。
ただそれまでスターダムにのし上がるまでには決して、平坦な道ではなかった。彼を第二のボブ・ディランとして売りだそうとされ、失敗、マネージャーのマイク・アペルとの法廷闘争のち、3年間無活動のあと、地道なライブ活動から徐々に人気が出始める。





