身内のはなしとしてお恥ずかしいが、本家(母屋)のS子伯母の兄弟に〇社、今で言うところの〇クザの人がいた。
直接はその人を知らない。結構、某組織のえらい地位にいたそうだ。アサヒ芸能や週刊実話の特集記事で名前や写真が載るくらいだった。M野も、S子伯母の実家のM田も、みんな知ってはいたがタブーにしていた。
あるとき、中学か高校の頃か、バッタリ、その人と道で遭った。私を見るやいなや、親父に
「Rちゃんの息子かいな。ええ若い衆やなあ」
と言った。
その「若い衆」と言う表現が当時でもとても古臭くて笑えてきて、吹き出しそうになった。親父は会釈して、その場を離れた。
「誰なん?」
と親父にその人のことを尋ねた。親父は何も言わず頬を上から下へ指でなぞった。そのしぐさから、ああ、あの人なのかと知った。
その後、本家(母屋)の伯父が親父に、声をひそめて
「〇〇ちゃんが撃たれて死んだらしいぞ」
と言った。
抗争でピストルで撃たれたらしい。あの頃、なんとか戦争とか言って〇クザの抗争がたくさんあった。本家は当時、不動産業もしていてその人と持ちつ持たれつの関係だとは何となくわかってはいた。
そんな昔のはなし、とっくの昔に忘れていた。今朝、ふと思い出した。何でだろう。