「人生が二度あれば」は井上陽水の一枚目のアルバム「断絶」の一曲目に入っている。何しろこの時代の井上陽水はとにかく暗い。吹っ切れたように「とにかく明るい井上陽水」の「みなさん、お元気ですか?」はもっとあとのはなしだ。
今年、その陽水の「人生が二度あれば」を聴いて、その歌詞にハッとさせられた。
父は今年2月で65
顔の皺は増えていくばかり
仕事に追われ
この頃やっとゆとりができた
父の湯飲み茶碗は欠けている
それにお茶を入れて飲んでいる
湯飲みに映る自分の顔をじっと見ている
人生が二度あれば
この人生が二度あれば
「ああ、この父に俺はリアルに近づいているんだな」と。
でも、「俺、そんなに老け込んでるかなあ」とも。
「人生が二度あれば」と思うよりも、「もうひと花咲かせたい」とは思っている。それはリアル65歳も同じだろう。
この歌が発表された1972年頃の65歳って、こんな感じだったんだろうか?
とにかく今の65歳は若い。(はず)
老人ではないはずだ。
65歳は「前期高齢者」と呼ぶそうだ。嫌な言い方だ。
リアルの井上陽水もこの8月で75歳。後期高齢者だ。とっくに父の年齢を越えてはいる。