昨今の時代小説はだいたい三つに分類されると考えられる。1つは鳥羽亮みたいな剣豪小説、要はチャンバラ。高田郁のような1つは人情もの。もう1つは昔からある推理ものというか、捕物帳。最近ではこれがなかなか少ない。
横溝正史と言えば、金田一耕助の他に昨年吉川晃司が演じた由利麟太郎もの。そして人形佐七捕物帖がある。
珍しいのは手下の下っ匹が辰五郎と豆六二人いるところ。
三河屋半七も銭形平次も、男前の設定だが、人形佐七にはかなわない。妻のお粂は半七の妹と同じ名前で、半七の妹を嫁にもらった体にしてあるとか。
前からこのシリーズは出版されていたようだが、全く気づかず、この度完結したのだとか。前回の全集にもれた戦前、戦後、どさくさに紛れて作品や、作者の加筆訂正の入った未発表分も収録されたらしい。
昔、テレビの時代劇では人形佐七は林与一、松方弘樹、片岡孝夫時代の仁左衛門がしていた記憶がある。