
満男は夢でイズミの夢を見る。
今は脱サラをして、作家になっている。新作は売れている。次回作の資料を編集者の高野に頼んでいる。
かつて伯父の寅次郎がしていた香具師、テキ屋に関する資料だ。
実は満男は妻を病気で亡くし、娘の百合と二人暮し。妻の七回忌に義父からいい人がいたら再婚するように言われる。
かつての団子屋はカフェに変わり、おいちゃん、おばちゃんが亡くなったあと母のさくらが継いでいる。父の博とさくらがそこで暮らしている。
昔のガールフレンドのイズミは今は国連の難民高等弁務官事務所でヨーロッパで働いている。結婚して、子どもが三人いる。たまたま日本に帰って来ていて、そこでたまたま書店でサイン会を開いている満男と遭遇する。
ゆっくり話したいと神保町のある店に行く。そこはリリーの店だった。三人は寅次郎の思い出話に花を咲かす・・・
おそらく日本人で、「男はつらいよ」、「寅さん」を知らない人はいないだろう。見ていなくても、どんな話かは知っているだろう。実は海外でも、「男はつらいよ」のファンが多いのだそうだ。
もちろん、寅さん、渥美清はこの映画には出ていない。満男の思い出や幻想、さくらたちの思い出話に登場する。
後藤久美子は山田洋次の熱烈なオファーで出演したそうだ。だが、残念ながらあの棒読みの台詞はいただけない。倍賞千恵子、前田吟、吉岡秀隆、夏木マリ、橋爪功など演技派の俳優陣のなかでは、きついことをいうが浮いてしまっている・・・若い時のシーンも交えて、「ゴクミ、歳食ったなあ」と感じずにはいられない。やっぱり、きれいなことはきれいだけど・・・
きれいと言えば昔の倍賞千恵子、浅丘ルリ子、歴代のマドンナ、特に吉永小百合がきれい。
有名なさくらとのホームでの別れや、メロンで喧嘩する話などのエピソードも出てくる。
最後のエンドロールで亡くなった笠置衆、森川信、松村達雄、下條正巳、三崎千恵子、太宰久雄への追悼も忘れていなかった。それは出演者みんなで作った山田洋次の思いだろう。
また、大地喜和子や大原麗子ら亡くなったマドンナも沢山いることも記しておく。
オープニングで桑田佳祐が「男はつらいよ」を歌っていたけど、やっぱりエンドロールの渥美清の歌声が良かった。