イベントに、母の母校の写真が必要になった。母のアルバムにその写真はあった。前に、遺品を整理したときに見つけたのを覚えていたのだ。
母は、親父と結婚してから、同窓会には出席していない。出たかったはずなのに、親父は許さなかった・・・
けれども、親父は、最後の入院のとき、母の親友に、偶然、病院に来た体裁で、見舞いに来てもらうように頼んだ。他にも、仲のよかった自分の同級生、TのHちゃんのおばさんにも、頼んだ・・・親父の唯一の罪滅ぼしだったかも知れない。
母の同窓会通知がたまに送られてくる。「欠席」に○をつけて、返送する。亡くなった旨の理由はつけずに。ときには母の字に似せてコメントを書き込むこともある。
アルバムには、少女のときの母が写っている。写真を撮るときの、少しおすましした顔で撮る癖は、このころからだったらしい。