#1123 「眠る杯」~昭和の匂い | GUILEさんの毎日がBLUES、ちょこっとHARDBOILED 17TH SEASON

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毎日がブルース、ちょこっとハードボイルド。

眠る盃 (講談社文庫)/向田 邦子
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向田邦子の「眠る盃」を読んだのはかなりあとだ。向田邦子が亡くなる前後だと思う。

春高楼の花の宴
巡る盃

を「眠る盃」と勘違いしたのがタイトルのいわれ。

「眠る盃」はエッセイだが、「寺内貫太郎一家」や「父の詫び状」など一連向田邦子の作品は昭和の匂いがする。

父親は厳しく頑固。母親は優しく、それでいて厳しく。子供は反抗もありながら、親や兄弟、家族が好き。

平成になって家族は多様化した。向田邦子の作品の家族みんなで、食事をとることは珍しい。一人の食事を「個食」というのだそうだ。「孤食」のぴったりなのに。

時代遅れ、そう感じる。でも、なぜかみんな、向田作品を愛してやまない。

昔がよかったはずはない。ノスタルジに過ぎないかもしれない。人は何かを得て、何かを失っていったんだろうな。

最近、中学生に言われてムカついた一言。

「昭和のくせに」

木枯らしや昭和は塵となりにけり 冬龍