- 眠る盃 (講談社文庫)/向田 邦子
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向田邦子の「眠る盃」を読んだのはかなりあとだ。向田邦子が亡くなる前後だと思う。
春高楼の花の宴
巡る盃
を「眠る盃」と勘違いしたのがタイトルのいわれ。
「眠る盃」はエッセイだが、「寺内貫太郎一家」や「父の詫び状」など一連向田邦子の作品は昭和の匂いがする。
父親は厳しく頑固。母親は優しく、それでいて厳しく。子供は反抗もありながら、親や兄弟、家族が好き。
平成になって家族は多様化した。向田邦子の作品の家族みんなで、食事をとることは珍しい。一人の食事を「個食」というのだそうだ。「孤食」のぴったりなのに。
時代遅れ、そう感じる。でも、なぜかみんな、向田作品を愛してやまない。
昔がよかったはずはない。ノスタルジに過ぎないかもしれない。人は何かを得て、何かを失っていったんだろうな。
最近、中学生に言われてムカついた一言。
「昭和のくせに」
木枯らしや昭和は塵となりにけり 冬龍