その日は昼前にシゴトがオフになった。
それぞれ老舗の店で鮨を食べ、和菓子を買い、さらにクルマを走らせた。
最近訪れるようになった印旛沼エリア。
脇を通るたびに、その神秘さが気になっていた麻賀多(まがた)神社を初めて訪れてみた。
1700年の歴史がある地元の鎮守様とのことで、納得である。
成田に住まなければおそらくは一生来ることもないようなエリアだ。
このご縁に感謝し、参拝。
東日本一という御神木の大杉は樹齢1300年以上とのことである。
なんと神々しいことか。
平日の昼間ながら、参拝客が絶えることはない。
皆一様に圧倒されたかのような表情で大杉を見上げていた。
また訪れたいと思える場所だった。
クルマだと酒を呑めないが、そのぶん頭が働いてマジメな旅ができるのがいい。
その後、以前にも訪れたことがある宗吾霊堂にも寄ってみた。
参道は静かだった。
ご近所旅を愉しめていることに感謝しつつ参詣する。
大本堂裏手のあじさい園を散策する。
直訴に向かう宗吾のために禁制を破って舟を出し、自ら印旛沼に身を投じた渡し守甚兵衛。
甚兵衛堂があるのも当然である。
印旛沼からの旅がつながる。
この地に来てから学んだ歴史である。
お土産を買って帰ることにしよう。
鰻のかぶと煮。
最初は肝にしようと思ったのだが、店の方がかぶと煮のほうが美味しいと言ったので買ってみた。
「ほかけ鮨 松崎本店」から始まり、老舗和菓子店「大竹堂」、麻賀多神社、宗吾霊堂、「又兵衛」の佃煮、と、平日の昼下がりに充実した時間を過ごすことができた。
近場ではあるけれど、良い旅ができた充実感に包まれた。
その夜、久しぶりに「ホテル日航成田」に行った。
スカイバー「サンセットラウンジ」で吞む。
昼間は酒を呑めなかったので、酒の味を感じて美味しかった。
「何かいい話とか、おもしろい話とかありますか?」
とバーテンダー氏が声をかけてきた。
「ほかけ鮨 松崎本店」に行った話をする。
このバーの隣りには、テナントの「ほかけ鮨」が入っているのだ。