若い時分、多くの先輩社員がよくおごってくれました。
どこかで先輩としての見栄があったのかもしれません。
しかし、「いつか○○(自分の名前)がエラくなったら、今度は俺におごってくれ」などと言ってご馳走された日のことは、今でも鮮明に覚えていますし、その気持ちはとても嬉しいものでした。
また、自分がシゴト上で大きなミスを犯し、先輩社員とお得意様に謝罪に行った帰り道、慰められながら昼間からビールをおごってくれたこともありました。
粋な大人が、当時は周りにいたものです。
時代なのか、自分の周りの環境が変わったからか、最近はシゴト絡みでの「呑み」や「会食」は随分と減りました。
プライベートではしょっちゅう呑み歩いていますが、シゴト関係で、となると、その数はごくごくわずかです。
月日は流れ、自分が誰かにおごって、「いつかお前がエラくなったら、今度は俺にもおごってくれ」と豪語するにふさわしい年齢には入りましたが、その機会は実はあまりありません。
なにより、会食したい相手が多くない、というのも大きな理由です。
接待はするのもされるのも、嫌いです。
打算が働けば、酒は間違いなくまずいものになります。
それと、年齢を重ねるごとに人嫌いが加速してしまっているのにも困ります。
絶望的な状況において、別格ともいえるのは有能なビジネスパートナーの某氏くらいでしょうか。
氏にとっては迷惑な誘いなのかもしれませんが、機会があれば呑み食いの相手をしていただいています。
独りでは行けない神楽坂や赤坂の料亭などにも連行したことがありました。
青森県の地方都市の酒場を連れ回したこともあります。
自分よりも年下ではありますが、これが大層な人格者であり、美人にして堅実な奥様と愛くるしいワンちゃんと共に、車寄せもあるような丘の上の高級マンションに住まわれているのです。
米国の高校から日本の一流私大へと進み、その後一流企業に入社と、肩書き好きな方面から文句を言われることはありません。
愚痴をこぼさず、常に冷静であり、博学多識でありながらエラぶる言動は慎む、という、極めて希少な逸材なのです。
シゴトでも随分と助けられており、そのお礼の意味も込めての呑み食いでもあるのです。
そんな、きわめて有能なビジネスパートナー氏と、きょうは別れの宴を口実に、昼に夜に呑み食いをしました。
昼は、こちら。
たまに行く洋食店のメニューの中で、いつか食べてみたいと思っていた弁当です。
値段が高い順に松竹梅とあり、典型的な「一億総中流」(死語?)世代の自分としては「竹」を注文しました。
会計時、店の中年女性は頼みもしないのに領収書をくれました。
ビジネスランチの雰囲気だったのか、もっぱら社用でしか注文されない弁当だったということなのでしょうか。
夜は、新宿へ。
行ったのは「オードヴィー」。
20時までドリンク半額というハッピーアワーでもあるので、ここでディナーをしてしまえ!という作戦だったのです。
いろいろな食事が味わえるうえ、酒の種類も豊富な「バーめし」が、自分は大好きです。
2次会は、「若月」のパイタンメン。
ここは、ビジネスパートナー氏にご馳走していただきました。
ありがとうございました!
別れの宴は、ひとまず閉宴です。
結局、「いつかお前がエラくなったら」のフレーズは使わずじまいでした。
今の時点でむしろ自分などよりずっとエラいわけで、先輩面する機会を逸しました。
当然ながらシゴトのミスもない氏のこと、昼間からビールを呑む機会も、おそらくは今後もないはずです。
お世話になりました!