湯河原温泉の「石葉」に来ました。
「石葉」は2度目の訪問。
前回は夏で、温泉の気持ち良さと静寂なロケーションが、とくに印象に残っていました。
たまたま1日半のオフが生まれたので、昨夜「一休」から予約したのです。
毎度の独り旅。
人気の「石葉」ながら、前日に部屋が空いているのも何かの縁でしょう。
エンジンの調子も良くなった車で向かいます。
都内の首都高速道路もまったく渋滞なく、自宅から1時間40分ほどで到着しました。
ただ、到着直前のラスト数分は細くクネクネした上り坂で、ナビも弱気の点線表示になるなど、かなり不安を抱かせるアプローチでした。
折に触れて矢印と共に「石葉」の案内表示があるので、なんとかたどり着くことが出来ました。
今宵の部屋は「翠」です。
ちょうど明るい陽射しが西に傾き、部屋に差し込む頃でした。
まずは浴場へ。
2つの浴室は深夜12時に男女入れ替えになります。
「石葉」の9室ある部屋のうち、6室には温泉の風呂が付いています。
そんなわけで、この浴場が大混雑することはないようです。
浴槽から溢れる温泉は、源泉掛け流し。
身に染み入るような、自分にとっては相性の良い温泉です。
緑の中に露天風呂もあります。
部屋に帰ってビールを一杯。
手つかずで持ち込んだ小さな仕事をやったりしました。
夕食前に頼んでいたマッサージは「後期高齢者の仲間入り」と話す女性でした。
かなり上手で、全身の力が抜けていくような感覚に襲われました。
「元気なふりをしなくちゃ、長男の家に連れていかれちゃうから」頑張っているそうです。
「嫁はしょせん他人だし、息子は50歳にもなったから話題もないし、孫は成人してめったに顔を見せないし」と、なんだか切実な話も聞かされました。
親って、こんな淋しい気持ちを抱くものか、と、老母のことを思い出したりもしました。
夕食までのわずかの時間にもう1度浴場に行って軽く温まり、部屋に戻ればほどなくして夕食です。
「石葉」は料理もかなり有名ですよね。
蕗の1品から始まり、手の込んだ料理が運ばれてきます。
けっして派手で豪華な料理ではないのですが、地元の物や季節の物を丁寧に作っているような気がしました。
まさに、大人の宿。
それから、お酒類もとても充実しています。
お酒を飲めない人にはつまらないかもしれません。
洋風スープのようにコクがあり、山椒の風味も加わって絶品だったのがお椀の「牛蒡摺り流し 湯葉」。
猪料理は、豚の角煮ではないかと思うほどマイルドでした。
酒は冷酒で「丹沢山」、次いで「隆、若水」と呑み進め、ラストはシャブリをグラスでいただきました。
不思議なのは、これだけ呑んで食べたのに、いつものようにおかしな酔いがまるでないこと。
頭、しっかりしています。
食後、デザートも運ばれてきました。
あとはもう1回温泉に浸かれば、完璧です。