手元に1冊の写真集があります。
『ジョセフ・クーデルカ プラハ侵攻 1968』(平凡社,2011年)。
彼の作品を知ったのは、おととしの夏でした。
友人に誘われて、東京都写真美術館で開催されていた「ジョセフ・クーデルカ プラハ 1968」展に行き、衝撃を受けました。
「プラハの春」は高校の世界史の授業でも出てきましたし、その名前は知ってはいましたが、正直なところ実態はあまりよくわかってはいませんでした。
ベルリンの壁が崩壊する20年以上前に起きた真実を目の当たりにし、写真展会場では売り切れだった公式カタログを兼ねたこの写真集をネットで調べ、在庫のある地方の書店から取り寄せたのでした。
思い起こせば、自分が中学生の頃、社会科の授業では世界は「東西」という枠組みで語られていました。
対立構造が、とてもわかりやすい時代でした。
月日は流れ、チュニジアに端を発した「アラブの春」。
そして、ここのところ毎日見聞きせざるをえないアルジェリアでの惨事。
世の中、とても複雑な構造になっているのは確かなようです。
一部の人間の営みは豊かに便利になっているのかもしれません。
しかし、その分、どこかで歪みも生じているのか、誰かの犠牲を生んでいるのか、ますますわからなくなってきているように思います。
どんな春をめざして生きていくべきか、今一度勉強したいと思います。