こんばんは。

ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日想像力と70年代クラヤミ・ホラーというテーマで

 

 

悪魔の虚像 ドッペルゲンガー(1970)

(原題:THE MAN WHO HAUNTED HIMSELF)

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

★想像力と70年代クラヤミ・ホラーとは?

 

本シリーズは70年代に公開された、おどろおどろしいホラー映画を特集したもの!

 

60年代のカウンターカルチャーの終焉や環境汚染問題、核戦争の恐怖や校内暴力、そして政治不信などが吹き荒れていた70年代のホラーは、どこか病んだ感じがする鬱展開のホラー!

 

ですがエンターテイメント系ホラーとは異なり、鬱展開のホラーは観終わった後についまでも記憶の中に残るような、忘れられない作品でもあるのです…

 

本作では、そんな70年代に作られた暗闇系のホラー映画を特集させて頂きました🎃👻💀😆

 

 

 

 

 

どんなホラー?

 

原題の「THE MAN WHO HAUNTED HIMSELF (自分に付きまとっていた男)」というタイトルは、ストーカーの映画を彷彿とさせますが、邦題は何故かドッペルゲンガー!

 

ドッペルゲンガーとは自分ソックリの姿をした怪物の名称ですので、ストーカー映画なのかモンスター映画なのか判断が分かれる所ですね汗

 

 

ちなみに本作は、カプグラ症候群という精神疾患について説明がある心理系のサスペンス映画なのです!!

 

自分の知らない自分が存在する!

これは狂気か?それとも…

 

 

アバウトなストーリー 

 

「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば、本作の解説は以下の通り。
 

ロジャー・ムーア主演のホラー。交通事故で瀕死の重傷を負ったペラムは、以来“もうひとりの自分”を感じ始め…。

【スタッフ&キャスト】監督・脚本:ベイジル・ディアデン 製作・脚本:マイケル・レルフ 音楽:マイケル・J・ルイス 出演:ロジャー・ムーア/ヒルデガード・ニール/アラステア・マッケンジー

 

 

 

 

むむむ。

 

以来“もうひとりの自分”を感じ始め…という文章で終わってしまうのは解説というより、あらすじみたいですね😅

 
 

そんな本作の冒頭の内容は以下の通り 。

 

① 主人公はイギリスの大手機械メーカーの取締役を務めているペラムというという中年男性。常に黒スーツとダーヒーハットを着用しているペラムは、古典的なイギリス紳士の風貌をしていました。

 

ザ・イギリス紳士という雰囲気のペラムは

自分の名を冠する会社の役員を務めている実業家。

 

 

② そんなペラムの自宅はロンドンの郊外にあり、毎日の通勤は自家用車を利用していましたが、ある日、帰宅途中のペラムは、人が変わったように車を暴走させた末に、大事故を起こしてしまいます!

 

運転中に突然目つきが変わり

車を暴走させるペラムは…

 

運転を誤り大事故を起こしてしまいます!

 

 

③ 病院に搬送されたペラムは緊急手術を受けますが手術中に心肺停止となり、医師たちが必死になって蘇生を試みますが、再びペラムの心臓が動き出した時、何故か心音が二つになってしまっていたのです。

 

手術中、心肺停止となったペラム。

医師たちに緊張が走ります!

 

医師たちの賢明な措置で

ペラムの心臓は再び動き始めますが

心電図の画面には何故か心音が二つ出現!

「これは、どういう事だ?」

 

 

④ そんな不思議な臨死体験をしたペラムでしたが手術は無事に成功し、再び以前と同じ生活を送れる様になりますが、仕事に復帰したペラムは、身に覚えのない自身の目撃談を、他者から度々聞かされるようになるのです!

 

退院して以前の生活を

取り戻す事ができたペラムでしたが…

 

仕事仲間から、先週の木曜日に

ビリヤードで大勝ちしていたという

身に覚えのない事を言われ

確認に向かうと会場の支配人からも

確かに木曜日に来ていたと

告げられてしまいます!

 

 

 

 

さて、果たしてペラムの記憶にない行動には、どんな真実が隠されていたのでしょうか?

 

それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。

 

ペラムがプールに行くと

見知らぬ女性が微笑んで来ましす。

明らかに親し気な彼女も

ペラムが知らない記憶の中で

関係を持っていた人なのでしょうか?

 

 

 

【私の感想】カプグラ症候群と70年代!

 

皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、本作はペラムが記憶が正しいのか正しくないのかがラストになるまで分からず、観客も神経症になってしまうようなミステリアスな展開の作品。

 

自分の知らないところで自分として振る舞っている存在に翻弄されるペラムは、次第に自分自身が狂っているのではないかと思うようになり、遂には心療内科からカプグラ症候群ではないかと診断されてしまうのです。

 

ちなみにカプグラ症候群とは、自分の親しい人間が別の何か存在に入れ替わっているのではないかと思い込んでしまう神経症の一種。

 

尚カプグラ症候群は、自分自身の生き方を自分で決めなければならなくなる1970年代以降に頻出するようになる症状であり、かつてのように生まれた環境や家柄によって歩むべき人生が決まっていた時とは異なり、多様な人生を選べるようになった(なってしまった)事によって、本当に自分がしたい事は何なのかが分からなくなる実存的不安が社会に蔓延した事と深く関連しているものと思われ、本作と類似したような「自分に似た自分」を描いた映画は1960~70年代に多産されていくのです…

 

例えば「SFボディスナッチャー(1978)」

朝起きると隣人たちが別人に…

 

 

 

例えば「呪われたジェシカ (1971)」…

精神病院から退院したジェシカは

幽霊が見えても目撃したと言えず

次第に狂気の世界へと…

 

 

 

例えば「バニー・レークは行方不明 (1965)」…

行方不明になった娘は

どこへ行ってしまったのか?

それとも娘は、病んだ母親の心が産んだ

架空の存在なのか?

 

 

 

例えば「ステップフォード・ワイフ (1975)」…

ステップフォードに引っ越すとした

妻たちはみんな別人の様に!

 

 

 

 

そう。

 

カウンターカルチャーや冷戦が激化していた頃の70年代は、これから自分たちがどうなってしまうか分からないという漠たる不安によって、世界的に神経症な空気が蔓延していた時期でもあったのです!

 

 

私見ですがそんな時代に作られた本作は、近代化したはずの70年代社会に潜んでいた人間の心の奥底の不安を知る上では参考になる作品であると同時に現代においても「本当の自分」とか「自分らしさ」とか「自分探し」などを突き詰めてしまうと、自分が選択した人生に確証が持てなくなり神経症のような状態になってしまう可能性がある事を示唆した作品として観る事も可能な作品だと思うのですが、皆様はどう思われますでしょうか?

 

映画の冒頭、車を暴走させるペラムの心境は

ランボルギーニ イスレロGTSの運転手!

 

あれれ?という事は

イギリス紳士然としていたペラムが

心の中で望んでいたのは

スポーツカーを華麗に乗りこなす自分?

 

ちなみに本作でペラムを演じた

ロジャー・ムーア氏の次作は

「007/死ぬのは奴らだ」であり

本作でペラム氏が望んでてたかもしれない

華麗なる男へと転身しているのは

興味深いところなのです😆

 

 

 

 

 

という訳で次回は

 

70年代悪魔シリーズ第四弾

 

というテーマで

 

悪魔のしたたり

ブラッドサッキング・フリークス

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘

 

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆

 

★おまけ★

併せて観たい日本未公開1970年代ホラー

「YOUR VICE IS A LOCKED ROOM AND ONLY I HAVE THE KEY (1972)」

 

 

売れない作家でアルコール依存症の

オリヴィエロ・ルヴィニーは、

亡き母エスターが飼っていた

飼い猫サタンを怖がる妻イリーナと

崩れかけた邸宅に住んでいる。

 

もうここまでの展開でドキドキですね!

 

ちなみに女性が多数惨殺される

ジャーロ映画らしいですあせる