こんばんは。
ご覧頂きありがとうございます😊
本日も想像力と歌は世につれというテーマで
スイート・チャリティー(1968)
(原題:SWEET CHARITY)
という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。
★歌は世につれとは?
↑本シリーズの概要はコチラ!
本作は1968年に公開されたアメリカのミュージカル映画。
監督は「キャバレー」「オール・ザット・ジャズ」という2つ傑作ミュージカル映画を撮られ、ミュージカルの「シカゴ」も手掛けられていた振付師兼監督のボブ・フォッシー氏!!
ポスターの雰囲気は、明るく楽しいミュージカル映画のようですが、ボブ・フォッシー氏は、人々があえて口にしないような人間社会の本質を鋭くタイプの監督!
ですので本作も楽しいだけのミュージカルではなく、映画のラストに「人生とは何だ!?」という問いを観客に投げかけるような残酷青春ミュージカルとなっているのです…
コミカルなダンスが楽しい本作ですが
描かれているテーマは、かなりハードなのです…
「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。
むむむ。
なんか、いつになく熱のこもった解説ですね
そんな本作の冒頭のストーリーは以下の通り。
① 主人公の険チャリティ・ホープ・バレンタインは、ニューヨークのキャバレーでダンサーをしている女性。ホープは結婚願望が強い女性ですが、付き合う男性はお金目当てのろくでなしばかり。映画の冒頭でも、恋した男性との結婚資金を銀行から引き出したホープは、恋人にセントラルパークの橋の上から突き落とされた上に全財産を奪われてしまいます!
デートの最中、恋人から
川に突き落とされ
金を奪われてしまうホープ。
② パールが勤めているのは、ダンスをしている女性に声をかけてデートする事ができる風俗系キャバレー。ホープは毎日、同僚と一緒に「私を誘って♥」とお客に声をかけますが、やや高年齢のダンサーが多いキャバレーには場末感が漂っており、失恋したばかりのホープは、最近、仕事に虚しさを感じるようになっていました。
「ねぇ、お客さん私を誘って~」
というダンスを毎日踊るホープたち。
けれど失恋したホープは
こんな日々に虚しさを
感じるようになっていました…
③ ですがそんなホープに奇跡の夜が訪れます!ある晩街を歩いていたホープは、子供の頃から大好きだった映画俳優のビットリオが、モデルの恋人と喧嘩別れした現場に出くわしてしまったのです!
推しの俳優ビットリオが
恋人と破局した現場に
偶然居合わせたホープ!!
④ 傷心のビットリオに声をかけたホープは成り行きで行動を共にする事となり、高級ダンスクラブでビットリオと歓談して気に入られたホープは、なんとビットリオの自宅に招待されてしまったのです!
ビットリオについて来たホープは
高級なダンスクラブに闖入!
そこはホープのキャバレーとは
全くちがう洗練されたセレブの社交場!
ですがダンスクラブで
ビットリオに気に入られたホープは
彼の住んでいる高級マンションに
招待される事になったのです!!
おお!
これぞ恋愛映画!とでもいうべき展開ですね😍
さて、果たしてビットリオと一晩を過ごす事になったホープの人生には、どんな希望 (ホープ)が訪れたのでしょうか?
それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。
王道のラブストーリーのような
ビットリオとの出会いに
歓喜するホープの明日はどっちだ!?
皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、本作は、ボブ・フォッシー監督の「キャバレー」や「シカゴ」と類似したテーマを扱った作品!
「キャバレー」は、成功を夢見てドイツのキャバレーでダンスを踊るサリーという女性が主人公。
「シカゴ」は田舎から出て来てダンサーという成功を夢見ていたロキシーという若妻が主人公。
サリーもロキシーも悪人ではなく純粋に成功を夢見ていた女性でしたが、サリーに待っていたの有閑貴族に弄ばれる日々であり、ロキシーに待っていたのは嘘を信じて自分の体を売った末の刑務所生活でした…
そう。
ボブ・フォッシー監督が描くのは、純粋無垢に女性の希望 (ホープ)が砕け散る残酷物語!
本作のホープも、他者を信じる思いやりのある優しい女性なのですが、そんな彼女の行う優しい慈善活動 (スウィート・チャリティ)は、かならずしも彼女の幸福を保証するものではなかったのです…
映画の冒頭、恋人に尽くし
失恋したビットリオを優しく慰める
ホープは優しい慈善活動家!
では、いつも誰かを励している人は
幸せになれるのでしょうか?
私見ですがそんな本作は善意の慈善活動家ホープが信じている「愛があれば人生全てが上手く」という願いが現実社会で叶うのかどうかどうかを描いたミュージカル映画であると同時にミュージカルというエンターテイメントの世界に身を置いていたボブ・フォッシー監督が、愛や希望は虚構であり、愛を無邪気に信じている人は幸せになれないというアンビバレンツな感情を抱いていた監督であった事を証明するような作品としても観る事ができる作品ではないかと思うのですが、皆様はどう思われるでしょうか?
ホープがビットリオを好きな理由は
彼の映画のセリフに
「愛があれば全てうまく行く」
という至言があったから。
彼の家でその事を
ビットリオに告白したホープですが
ビットリオはあっさりと
「それは金のために言ったセリフだ」
と切り捨てるように言い
金の為ではなく愛のために生きている
ホープのような人に会ったのは
人生で初めてだと褒めてくれました。
ですがその言葉の中には
「そんなホープを僕も愛するよ」
という想いは、
1㎜も入っていなかったのです…
そんな無邪気な善意の人ホープが歌う
「私は愛されてる!」
という愛に出会えた歓喜の歌は
その後の展開を考えると
残酷過ぎるラブソングだと思います…
という訳で次回は
ダニエル・ジョンストンという生き方
というテーマで
悪魔とダニエル・ジョンストン
という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘
ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆
★おまけ★
併せて観たいボブ・フォッシーを知る作品
「オール・ザット・ジャズ」
愛を信じていない
ボブ・フォッシー監督は
自分の死については
どう考えていたのでしょうか?
自身の死の9年前に
有名振付師の死を描いた本作は
自身が死る時には
どんな想いで死ぬのかを
予め作品にしておいた
遺書のような作品となっているのです!
Bye bye life
(さよなら人生)
Bye bye happiness
(さよなら幸せ)
Hello loneliness
(こんにちは孤独)
I think I'm gonna die
(俺はもう逝くよ)