こんばんは。

ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日も想像力と発掘良品の発掘⑱というテーマで

 

消えた拳銃(1966)

(原題:WARNING SHOT)

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

★発掘良品の発掘とは?

発掘良品とは、惜しまれながらも2022年3月に終了を迎えた、TSUTAYAさんによる新作・旧作、有名・無名、公開・未公開ではなく「面白い」を基準に作品をセレクトし、毎月紹介してくれている映画ファンたのための素晴らしいシリーズ。

本シリーズは、そんな発掘良品の全作品を5~6年かけてご紹介させて頂こうという超長期目標のシリーズとなっております😄

 

↑今月のラインナップの詳細はコチラ!

 
 
60年代のPOPな映画ではありません

 

本作は1966年に公開されたアメリカ映画。

 

海外版のポスターは、どことなくポップな雰囲気なのですが、この段組みスタイルは当時の流行っていたスタイルであり、ハードボイルド系の作品にも多用されています。

 

類似ポスターの例① 1967年作

「恐怖との遭遇 (THE DEADLY AFFAIR)」

 

類似ポスターの例② 1964年作

「シーサイドの男 (MY BLOOD RUNS COLD)」

 

類似ポスターの例③ 1966年作

「キッスは殺しのサイン」

(DEADLIER THAN THE MALE)

 

 

そんな本作は、前回ご紹介させて頂いた「バッジ373」と同様、勤務中に過失で無実の人を殺害した嫌疑をかけられた刑事が主人公のハードボイルド系サスペンス映画なのです!

 

逮捕しようとした容疑者が

転落死した事で停職となった刑事を描いた

「バッジ373」でしたが…

 

 

 

本作の主人公の刑事もまた、

無実の人を射殺したと断罪され

免職されそうになってしまうのです…

 

 

 

 

アバウトなストーリー 

 

「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。

 

ホイット・マスターソンの「711番─警察が救援を求めている」を原作に、マン・ルビンが脚色、テレビ界のバズ・クリークが製作・監督した推理アクション。

撮影は「ラスベガス万才」のジョセフ・バイロック、音楽はジェリー・ゴールドスミスが担当した。

出演はTV『逃亡者』のデイヴィッド・ジャンセン、「渇いた太陽」のエド・ベグリー、「博士の異常な愛情」のキーナン・ウィン、「マクリントック」のステファニー・パワーズ、ジョージ・グリザード、リリアン・ギッシュほか。

 

 

むむむ。
 
この解説だとどんなストーリーなのか分からないと思いますので、もう少しだけ解説を加えさせて頂くと、本作は主人公のトム・バレンスは連続殺人犯を捕えるために、同僚と共に深夜の高級マンション付近で張り込みをしていたベテラン警部。
 
高級マンション周辺で頻発していた
殺人事件を捜査するために
深夜に張り込みをしていたトムと同僚。
 
 
張り込み中、不審な男を発見したトムは職務質問しますが、男は質問に答えず逃走し、追い詰められると懐に手を入れて銃らしきものを取り出したのです!
 
夜中に歩いていた男はトムの職質に答えず
血相を変えて逃走しました!
 
 
トムは咄嗟に不審者に向けて発砲し、男はプールに落ちて絶命しましたが、駆けつけた同僚と共に身元を確認すると、死亡したのはこのマンションに住んでいる患者の部屋に往診しに訪れていたジェームス・ラストンという医師であり、トムが目撃したはずのジェームスが所持していた拳銃も、現場からは発見されず、トムはマスコミから無実の医師を殺害した警官として糾弾される事になってしまったのです!
 
持っていた身分証明書は医師のもの!
おい。彼は不審者じゃないぞ!
 
 
世論の高まりに抗しきれなくなった警察の上層部は、トムを殺人罪での起訴を検討し始めますが、トムは一貫してジェームス医師は銃を所持しており、彼を銃撃したのは正当防衛だったと主張し続けたのです!
 
公聴会で証言したアパートに住む老婦人は
当日の晩、医師の診療を受けたと証言し
トムは窮地に追い込まれてしまいます!
 
 
さて、果たして殺害されたジェームス医師は、トムの証言通り銃を所持していた連続殺人犯だったのでしょうか?
 
それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。
 
殺人犯として起訴したい検事は
トムが1年前に強盗を逮捕しようと
説得していた時に撃たれた過去を暴露し
銃を対して過度の恐怖を
持っていたのではないかと断罪。
 
果たしてトムの証言は
本当の事だったのでしょうか…
 

 

【私の感想】断罪はエンターテイメント!

 

本作はミステリー映画ですので、皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、本作はトムが語っている事が本当なのかどうかが観客にも分からないよう作られている作品。

 

恐らくですが観客の多くは

 

①高級マンション付近に連続殺人犯が出没していた

 

②トムの職務質問にジェームス医師は逃走した

 

③ジェームス医師が死亡した後、銃は所持していなかった

 

④当日ジェームスはマンションの住人を往診していた

 

⑤トムは過去に犯人に銃撃された事がある

 

⑥ジェームスは隔週に一度、メキシコの貧困地域を訪ねる良心的な医師だった

 

これらの状況を鑑みれば、トムが銃を所持していていないジェームス医師を誤って殺害したと考えるのは自然な流れであり、世論はトムを殺人犯だと断罪してしまうのです!

 

 

そう。

 

当事者ではない人間は、伝聞で聞いた一方的な情報で他者を断罪するもの!

 

 

実は本作には、この事件の真相を読み解くヒントが沢山描かれているのですが、それらの証拠を人々が知らなければ、トムが誤って善良な医師を殺害した犯人であると断罪するのは、当然の帰結なのだと思います。

 

離婚調停中のトムの妻は、

進退窮まっていたトムの元ら現れ

助けよとしますが、その理由は

医師を殺害したトムを救うため!

 

つまり彼女の心中では、

トムは既に有罪だったのです…

 

 

私見ですが本作は不審な男を殺害した刑事が、証拠の拳銃かせないために窮地に陥って行くミステリー映画として観る事ができる作品であると同時に人間は自分が収集した情報だけで、他者の人間性を断罪してしまう存在である事が描かれた作品としても観る事ができるのではないかと思うのですが、皆様はどう思われるでしょうか?

 

劇中唯一、自分の事を擁護してくれる

TVの司会者に会いに行ったトムは

彼はトムの無罪を信じているのではなく

有罪だと断定しているTVの観客に

逆張りの立場の人間だと断定される事で

視聴率を稼ごうしているだけの

人間だった事に気づいて愕然とします!

 

そんな本作は、もし自分が有罪だと

マスコミに断罪された場合は

自分の無罪は自分で証明するしかない

という事実を描いているのです…

 

 

 

 

 

という訳で次回は

 

サム・ペキンパーの生き様①

 

というテーマで

 

キラー・エリート

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆

 

★おまけ★

併せて観たい発掘良品!
「狼たちの街」

 

原題はMULHOLLAND FALLS
(マルホランド・フォール)

 

デヴィッド・リンチ監督の傑作

マルホランド・ドライブと同様の場所で

体中の骨を砕かれ

死んでいた女性は刑事の元愛人。

 

事件の真相を探っていく中で

強面の刑事たちは

自分たちより恐ろしい存在がいる事を

身をもって知る事となるのです…