こんばんは。

ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日も想像力と発掘良品の発掘⑬というテーマで

 

テナント 恐怖を借りた男(1976)

(原題:THE TENANT

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

 

神経衰弱ギリギリの映画たち!

 

本日の作品は、あの「ローズマリーの赤ちゃん」を監督されたロマン・ポランスキー監督の作品!

 

「ローズマリーの赤ちゃん」と言えば、新しいアパートに引っ越して来たローズマリーが、独りぼっちの生活や近隣の住人との軋轢によって神経をすり減らし、次第に狂気の世界に陥ったような状態になってしまうサイコサスペンス!

 

↑新居での孤独、怪しげな隣人、そして妊娠への不安。

 (「ローズマリーの赤ちゃん」より)

 

 

 

けれど、登場人物が神経をすり減らしてゆくロマン・ポランスキー監督の作品は「ローズマリーの赤ちゃん」だけではありません!!

 

発掘良品第38弾にセレクトされている「水の中のナイフ」「REPULSION 反撥」「袋小路」というロマン・ポランスキー監督の初期作品も、登場人物たちが神経をすり減らしてゆくスリリングな展開の作品ばかり!

 

↑家に一人でいるだけで恐怖によって狂ってゆく

 「REPULSION 反撥」の主人公!

 

 

 

 

 

そんな謹啓衰弱ギリギリの人間心理を描く事を得意とする監督による本作は、観終わった後、知らない街に引っ越すのが怖くなってしまうサイコ・サスペンス映画なのです!!

 

 

 

 

アバウトなストーリー 

 

「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。

 

ロマン・ポランスキーが監督・脚本・出演を務めた異常心理サスペンス。

古びたアパートに越してきたトレルコフスキーは、周囲の住人や環境に不安を覚えながら新生活を始める。彼の不安は被害妄想へと変わり、次第に現実のものになっていく。

 

…異常心理サスペンス汗汗

 

これは解説として、ちょっとさっぱりし過ぎている気が致しますので、もう少し詳しく内容を説明させて頂くと、本作はポーランドからやって来たトレルコフスキーという青年が、パリで古いアパートの一室を借りるというストーリー。

 

↑すいません。空き部屋を貸して欲しいのですが…

 

 

空き部屋があると聞いてアパートにやって来たトレルコフスキーでしたが、大家からは、最近シモーヌという借主が飛び降り自殺をして瀕死の状態なので、彼女が死んだら部屋を貸すと伝えられます。

 

↑シモーヌが身投げした場所はこの窓なのよ!

 

 

…普通そんな事故物件の部屋を借りようとは考えなさそうですが、友達も少なく、早く住む家を見つけたかったトレルコフスキーは、入院中のシモーヌがどんな状況なのかが知りたくて病院へ様子を見に行くと、彼女は全身の骨が砕けた瀕死の状態!

 

トレルコフスキーが挨拶しようと近づくと、甲高い声で絶叫したシモーヌは、翌日には亡くなってしまったため、トレルコフスキーは彼女の遺品が置きっぱなしになっている部屋に住む事になりました。

 

↑病院に見舞いに行ったトレルコフスキーですが、

 翌日にはシモーヌは亡くなってしまいます…

 

 

念願のパリのアパート住まいの夢を叶えたトレルコフスキーですが、住み始めると、彼の住むアパートには、得体のしれない不気味な空気が漂っており、ただ部屋に住んでいるだけなのにトレルコフスキーの神経はズタズタになって行くのです!

 

↑古いパートなのでトイレは共同。

 夜、ふと外を見ると共同トイレから自分を見つめる人!?

 

↑夜中、突然部屋をノックしてきた母子は

 「私たちは別の住人たちから虐められている」と

 陰気な訴えを始めます……

 

↑不気味な螺旋階段と、突然電気の消える廊下!

 …なんだか神経がキリキリして来ますあせるあせる

 

 

 

さて、女性が飛び降り自殺した曰く付きの部屋に住む事になったトレルコフスキーは、一体どうなってしまうのでしょう?

 

それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。

 

↑トイレから俺の部屋を覗いたら、俺がこっちを見てた!

 トレルコフスキーは狂ってしまったのか?

 

 

 

ロマン・ポランスキー監督の不安の種

 

本作は公開時、日本での配給が見送られお蔵入りとなっていた作品!

 

後悔されなかった確かな理由は分かりませんが、内容が不条理で分かりにくかった事に加え、ロマン・ポランスキー監督の周辺で起こった様々なショッキングな出来事によって、公開を見合わせた可能性もあると思われます。

 

ロマン・ポランスキー監督の周辺で起きたショッキングな出来事については、ここでは詳しく説明致しませんが、クウェンティン・タランティーノ監督の「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」という作品のモチーフにもなっている1969年に起こった、彼の妻のシャロン・テート惨殺事件は、彼の精神に強いストレスを与えた事は間違いないと思われます。

 

↑ロマン・ポランスキー監督が出張中に暴漢に襲われ

 自宅で惨殺されてしまったシャロン・テート。

 


1976年に作られた本作は1969年に妻が惨殺された監督によって作られた「精神がズタズタになってゆく男を描いた作品」なのです!

 

↑妻を惨殺された男は、どんな夢を見るのでしょう?

 

 

なお、本作でトレルコフスキーを演じているのはロマン・ポランスキー監督自身!

 

ポランスキー監督もポーランド出身であり、失った妻の遺品の中で暮らしていたと考えるのなら…

 

 

 

そう!

 

本作は単なるサイコサスペンスではなく、妻を失ったポランスキー監督自身の心の中を描いた入れ子構造の映画なのかもしれないのです!!

 

 

↑もしや外から自分を見つめていたのは…

 

 

本作は、明快な作品であるとは言い難い作品ですが、愛する伴侶を失った人間の心の中の状態とは、明快な映像にできるものではないのではないかと思います…

 

↑ポランスキー監督は、夜一人で何を見ていたのか…

 

 

 

 

という訳で次回は

 

お話しをしに行っただけなのに

というテーマで

 

読書する女

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆