東京電力(株)柏崎刈羽原子力発電所(新潟県柏崎市青山町16)の稲垣武之常務執行役所長は、10日(木)の7月定例記者会見に於いて、柏崎刈羽原子力発電所(新潟県柏崎市青山町16)6号機(135.6万kW)の原子炉検査で、制御棒を炉心に出し入れする電動装置に異常が見つかったと発表しました。
東京電力(株)柏崎刈羽原子力発電所(新潟県柏崎市青山町16)に拠ると、この制御棒は核燃料の核分裂を抑制する重要な設備で、6月30日(月)の原子炉への核燃料装填(装填作業)後の原子炉の緊急停止機能を確認する為に、一旦引き抜いた制御棒を再び原子炉に挿入した後、205本の制御棒の内1本が再度制御棒を引き抜く際などに使用するモーターが正常作動しなかったとのことです。
東京電力(株)に拠ると、この電動装置の制御盤内の部品に異常が有り、制御棒を出し入れする信号が伝送されなかったことが原因とのことです。
当然、東京電力(株)は、既に当該部品を交換し、他の制御棒でも異常が無いかを調査するとのことです
しかし、東京電力(株)はこの不具合については、作業員の熱中症などを都度発表するにも拘わらず、この事故発生時にこの事故を公表していません。
(真に重要・重大な事故は、未だに隠蔽する様です。)
また、6月25日(水)に発表した6月定例記者会見時に於いて、4月1日(火)の柏崎刈羽原子力発電所(新潟県柏崎市青山町16)3号機(110万kW)の低起動変圧器防災装置の定例試験時の不具合も、2007年(H19年)7月16日(月)の新潟県中越沖地震後の点検不足・整備不良が原因とのことで、この程度の点検整備も満足に出来ない状況での再稼働は非常に危険です。
この状況は、世界標準の深層防護以前の問題で、最悪のシナリオとしては、過去の自然災害等に依る潜在的な不具合損傷等が原因でバックアップ設備が稼働出来ず、且つ緊急事態が発生しても制御棒が正常に作動せず原子炉停止が出来なくメルトダウンに繋がる恐れが有ります。
更には、原子力発電所事故に於ける重点区域が当初の8~10㎞圏から2011年(H23年)3月11日(金)の東日本大震災後に30㎞圏にUPZ(Urgent Protective action planning Zone、緊急時防護措置準備区域)が拡大されましたが、後の調査では東京電力(株)福島第一原子力発電所から放出飛散した放射性物質は、福島県だけでは無く、宮城県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県及び静岡県迄の広範囲に及んでおり、土壌、水道水、農畜産物及び上下水道汚泥も汚染した様です。≫
(この時の放出飛散した放射性物質の多くは、太平洋上に拡散した為に追跡調査が出来ていません。もっと広範囲に飛散拡散したシミュレーションも有ります。)
従って、原子力発電所の稼働については、完全に安全なハードウェアを構築した上で、それを運用するソフトウェアを整備し、更にはこれらを誠実・忠実に運用出来る組織体制を整えた上で、加えて世界標準の深層防護迄完璧に行ってから議論が始まるものと思います。
完全に安全な原子力発電所は直ちに稼働すべきですが、やはり、完全に安全ではない原子力発電所はとても危険で、先ずはこうした不具合の解消と安全対策の完遂が必要です。
そして、万一、電力が不足するのであれば電力消費地で節電・計画停電をすれば良く、その方が余程SDG'sだと強く思います。