厚生労働省は、『毎月勤労統計調査 令和6年4月分結果速報』を発表しました。
これに拠ると、労働者一人当たりの平均賃金は29万6,884円(前年同月比2.1%増)となり、28か月連続で前年同月を上回った様です。
しかし、実質賃金は前年同月比0.7%減の25か月連続減少(R4年4月以降連続)となりました。
(実質賃金とは物価変動を考慮したもので、実質賃金=名目賃金÷消費者物価指数で算出される。特にR5年のマイナスは大きく年間で-2.5%で、1月は-4.1%のマイナス。)
これだけ長期間実質賃金がマイナスとなるのは、1991年(H3年)以降では過去最長で、結局は国民の暮らしが圧迫されていることになります。≫
(これでは可処分所得が減少し、将来の経済的不安も増して消費行動は抑制され、国内経済は停滞します。)
なお、一昨年から労働者の給与が先進諸国に比較して上昇率が低いことなどから、昨年からベースアップや定期昇給の機運があり、今年に至っては約5%超の基本給の上昇などが報道されていますが、これは本当に労働者の年収(名目)の増加になるかは不明です。
公務員などに於いては概ね基本給が上昇すれば期末手当等も連動して増加しますが、民間に於いては基本給を上昇させても賞与等を業績に連動させたとの理由で大幅に減少させることが可能であり、結局は年収(名目)ベースで減俸(若しくは現状維持)となることが多いです。
(実際に私の場合は、源泉徴収票を確認すると上昇はありませんでした。この様なことを約30年間続けたことが、我が国の国力を低下させました。)
それと、今年は初めて日本商工会議所が中小企業の賃上げの状況に調査した様で、回答のあった1,979社の平均賃上げ率は約3.62%上昇した様です。
規模 | 抽出数 | 賃上げ率 | 平均上昇額 | ベース本給 |
労働者一人当たりの平均賃金(名目) | 29万6,884円 | |||
大企業 | 89社 | +5.58% | 1万9,480円 | 34万9,104円 |
中小企業 | 1,979社 | +3.62% | 9,662円 | 26万6,906円 |
差 | - | - | 9,818円 | 8万2,198円 |
※ 日本商工会議所の資料は、「中小企業の賃金改定に関する調査」調査結果。
※ また、各資料に於いての平均とは加重平均を使用。
因みに、日本商工会議所とは、商工会議所法に基づく特別民間法人とされており、会員は全国の市内の中小規模事業者の加盟者であり515商工会議所(125万事業者)ある様です。≫
(依って、1,979社は0.16%にしか過ぎず、中小企業全体の状況を表しているのかは不明です。中には最低賃金すら遵守しない事業者もある様です。≫)
また、中小企業事業者を取り纏める組織として商工会法に基づく全国商工会連合会も別途存在(特別民間法人)し、こちらは全国の町村内の中小規模事業者の加盟者であり1,643商工会(79万事業者)ある様です。≫