また血統のことを書きたくなった。
以前ポプラのようなインブリード牝馬を「種牡馬的繁殖牝馬」と書いたことがあった。それ以来自分の中でもうちょっと良い呼び名はないかと考えていた。
そして考え付いたのがこの純粋繁殖牝馬。
サラブレッドの血統をあちこち覗いているとインブリードの競走馬や母馬インブリードが増えてきている気がする。純粋繁殖牝馬は既に生産界の隠れたトレンドなのかもしれない。
ここで純粋繁殖牝馬についておさらいをしておこう。
1.純粋繁殖牝馬とは自身が濃いクロスを持つインブリードの競走馬である。ポプラを例にとるとポプラはサドラーの3×3でありディンヒルの3×3でもある。
2.純粋繁殖牝馬は自身がレースで実績を上げるつもりはない。その交配の企図はは自分の代の競争馬生活を捨てて母親として次世代に賭けるところにある。
3.インブリードが濃いので気性や体質に支障が出やすいのは当然。なので競走馬としてのキャリアはなかったり1戦のみだったりする。ポプラは1戦。
4.純粋繁殖牝馬を企図した交配でも牡馬が産まれることは1/2の確率だ。その時生産者はどうするだろうか。まず普通は売ろうとするだろう。
名馬誕生のチャンスもないわけではないが普通インブリードの馬はリスクが大きい。純粋繁殖牝馬を狙うことがトレンドになればそういうインブリード牡馬も増える。一口会員はリスクを考えて出資しなければならない。
5.純粋繁殖牝馬のメリットはなんだろう。テシオの3×4など名馬誕生にはその血統上の祖先の名馬へのリバース(re-birth再誕生)願望がある。しかし奇跡の血量を得ようとすると3×4でも3×3でもインブリードによる弊害と裏腹なのは変わりない。
6.純粋繁殖牝馬の場合さらにインブリードを重ねる馬鹿をやらない限りどの種馬をつけても理想の血量を手に入れることが出来る。それは母馬の中にすでに名馬の十分な血があるからであって、その血をインブリードのリスクなしで伝えることができる。
7.たった1代の競走馬生活を捨てるだけでリスクのない次世代を得ることが出来るのは大きい。従来の考え方はインブリードのリスクを回避しているように見えて単にリスクを拡散していたことに気づく。
(続く)