リキュール四方山話 その4『フランジェリコ』 | 空閨残夢録

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リキュール




 1980年代中頃から、おりしも、トム・クルーズ主演映画は『カクテル』の中でも出てくる、米国の都市部で流行っていたカクテルに「フライアー・タック」がある。作者や由来が不明のカクテルで、日本のカクテル・ブックにはレシピだけしか載っていない。


 それでは、そのカクテルのレシピを紹介すると、ベースのフランジェリコ・リキュールに、ライムジュースにグレナデン・シロップを加えて、これをシェークしてカクテルグラスに注ぎ、オレンジのスライスを飾りつけて供す。



 ベースのリキュールはイタリア産のバルベロ社のもので、ヘーゼルナッツの風味が主体の酒、つまりハシバミの香りとナッツの芳しい甘いリキュールなんですネ。瓶はお坊さんの形をしておりまして、この酒を造ったフランジェリコという修道士の姿をボトルのイメージにして、リキュールの商品名もフランジェリコ。



 カクテルの「フライアー・タック」というネーミングには、多分、このカクテルを創作した或る米国人のバーテンダーが、1973年のディズニー映画のアニメである『ロビン・フッド』を観ていたからだと思われるとボクは個人的に推察するのでした。







 このアニメは、ロビンが狐で、相棒のリトル・ジョンは熊、そして仲間の穴熊はフライアー・タックことタック修道士である。この修道士とカクテルのベースであるフランジェリコ・リキュールのイメージを重ねて、自ら創作したカクテルに「フライアー・タック」と名付けたのだと想像している。


 さて、ボクはこのカクテルのオリジナル・レシピに、オレンジジュースを少々加えて作っていた。そのレシピは以下に・・・・・・・





 ※フランジェリコ/40ml
 ※ライム・ジュース/15ml
 ※グレナデン・シロップ/5ml
 ※オレンジ・ジュース/10ml

 上記をシェイクしてカクテル・グラス(3オンス)に注ぎ供する。






 
 このカクテルはアルコール度数は12度ぐらいで、甘味と酸味が柔らかく調和していて、ヘーゼルナッツの香りが上品である。オレンジ・ジュースを加えると、さらに柔らかく優しい飲み口になり、女の子ウケする。料理ではフレンチのディナーにボクならお口直しのグラニテに、このカクテルをメインディシュの前に楽しんでもらいたい。



 グラニテにするなら、このカクテルをフラッペなんかでお口直しにするといいのだが、お酒がダメな人はフランジェリコのリキュールを、ノンアルコールのヘーゼルナッツシロップに変えるとヨイだろう。



 シロップはフランスの『モナン』社の製品で、「ノアゼット」のシロップがお薦めである。ノアゼットはフランス語で、ハシバミの意味で、英語ではヘーゼルナッツのこと。