「そんなことは、業界の常識なんだよ。そんなのも知らないで、よくコンサルティングなんてやってるよな」
と、とある経営者様に言われたことがあります。
しかし、その会社(製造小売業態の会社でした。仮に「A社」としましょう)は3期連続赤字経営。売上が完全に頭打ちで、不況分を差し引いても毎期目減りしてきていました。
その改善案として、他業界で行われているマーケティング手法を取り入れて、新規顧客開拓を行い、目減り分を取り戻すようにしてみてはどうかと経営者様に提案しましたら、
「そんなやり方は、我々の業界ではやらない。やり方は業界では既に固まっている」
とおっしゃり、冒頭の言葉が私に発せられたのです。
いろいろデータを揃えて、提案を繰り返しましたが、結局A社様に納得していただくことはできず、前に進むことは叶いませんでした。
その「業界のやり方」が誰もに対して等しく利益をもたらしているなら、私は反論しません。
しかし、A社は赤字なのです。ついでに言えば、業界全体でも利益を多く出していらっしゃるところは少ない。
だとしたら、その「常識」とされるやり方とやらを変えるしか、道はないのでは?と誰しも考えるのではないでしょうか。自分の会社が儲からない「常識」を、一生懸命守っていて、何の役に立つのでしょう?
もちろん、長らく守られてきた伝統を大切になさるお気持ちは理解しますし、理解すべきです。
しかし、それが利益をもたらさなくなったら、もうそのやり方は時代にそぐわなくなっている可能性が高いのです。それは、真正面から受け止めなくてはなりません。
「利益を生まない」とはどういうことなのか、経営者様がお困りになるだけではないはずです。会社が成り立っていることで、並列している全てのことに困難をもたらすのです。従業員の方々の生活を脅かし、取引先に不安を与え、取引金融機関の不信を招きもします。
「自分で作った会社だ、どうなろうと自分の勝手だ」
とおっしゃっても、もちろん構いません。それでご自身が不幸になられるだけならば。
しかし、大抵の場合は、それだけで留まることはありません。
ですので、何かがうまく走っていない時は、「常識だ」「当たり前だ」と思っていることを、少し斜めから見るなどして、疑ってかかってみてはいかがでしょうか。
案外、あっさりと問題解決の筋道が見えたりするものです。
経営者の皆様は、確固たる信念でもってして、現在の会社や事業をお始めになったはずです。そしてそこに大きな社会的責任が伴うことをよく理解された上で、その事業を続けてこられたに違いありません。私はそういう経営者様の心意気に大いなる敬意を払っております。
ですが、それ故に、「世の中の全てのものは、必ず変わっていくのだ」という原理原則を受け入れて、長らく繁栄をしていただきたいと強く願い、その支援をさせていただいています。
その心意気を無為にしていただきたくありませんから。
迷いやお困りごとなどありましたら、是非ご相談いただきたいと思います「常識」にとらわれることなく、「合理的に」問題解決への道を一緒に探っていきませんか?