経営の本などを読みますと、よく「人・モノ・カネ」を<経営の三要素>といい、企業経営においてはその三者をバランスよく充実させることが大切だとされています。
人、つまり優秀な人材
モノ、つまり市場競争力のある商品もしくは生産能力のある設備
カネ、つまり十分な資金
というわけです。それ自体はごもっとも、何の疑いようもありません。
しかし、これらが過不足なく充実している中小企業様や事業者様がどれくらいあるでしょうか。何がしかが不足もしくは欠落しているところを、いろいろと工夫して日々乗り切ってらっしゃるものと思います。
さらに、大企業と中小企業・事業者では明らかな差が存在します。それは、各構成員(役員+従業員)の職務担当領域の「広さ」と「曖昧さ」です。
明らかに中小企業のそれが「広く」て「曖昧で」あるでしょう。
それがどういう影響を与えるのでしょうか。一つずつ考えてみましょう。
・職務担当領域が広いと、
一つのことに集中し辛くなり、業務遂行時に余計に時間を費やさなくてはいけなくなるなど、推進力を欠くということがまず考えられます。
また、様々な業務を少しずつかじることになるため、専門性を育むことが難しくなります。
・次に、その領域が曖昧であると、
境目にある業務を行うに当たって、毎度境を接する担当者同士がどこまでを各自のものと見なすか確認を行う必要があります。それは時間が掛かるし、仮に両者の関係が良くない場合などは、押し付け合いになる可能性も孕みます。加えて、片方が著しくヤル気のない従業員だった場合、もう片方にばかり業務が集中してしまう恐れもあります。
こういったことから、中小企業では単に「人・モノ・カネ」の量が少ないばかりでなく、その量が少ないことを原因とする質の低下も招きかねない状況下で、日々の業務に取り組まなくてはならないのです。
「量は質を凌駕する」ような状態に自らを置くことは中小企業では難しい、というわけです。
では、それをどう克服するのか、ということになるわけですが、この答えとして私は、次のような提案をしたいと思います。
それは、「当初は60点主義で業務を行う」というものです。
どういうことかといいますと、例えば、販促用のチラシを作るとしましょう。
大企業では、広報宣伝の「担当者」が、専門のデザイン会社や印刷会社と協議の上で作成するというようになることでしょう。
それを、中小企業では少ない人数でそれを自前で作るわけです。大抵の場合は、どなたかがメイン業務の合間などに作ることになるはずです。しかもデザインなどに特別詳しいわけでもない誰かが。
当然十分な時間・お金を掛けて作れるものではありません。出来映えが多少見劣りしたとしてもまずは予定通りに販促チラシを作り上げてしまって、そのチラシで販促を行っていく、ということです。
そうなると当然、専門業者がこぎれいに作るようなチラシにはならない。
しかし同じ質のものを人手・知識不足の状態で作ろうとすると膨大な時間と費用が掛かるわけです。時機を逸すると、販促活動そのものにも悪影響です。
ならば、当面必要とされる最低限のクオリティのチラシで取りあえずはスケジュール通りに走り出し、そのあとで、少しずつ量的・質的改善を目指して、理想のものに近づけていく、ということなら、何とかやっていけるのではないでしょうか。
このように、同じ結果を得るのでも、大企業と中小企業ではやり方すら違うのです。
ですから単純に著名な大企業で成果の上がったやり方を手順通りにマネしても上手く出来る可能性は低い、と考えるのが論理的であります。
そういった前提で、それぞれの業務の実施方法・スケジュール・到達目標などを組み立てる必要があります。経営者の皆様はこの点における差配を、とてもデリケートに行わなければなりません。
この「差配」すら、中小企業の経営者の皆様にとっては重荷になる可能性が高いと思われます。理由は、経営者様も第一線で営業・製造をなさっていることが多いから。
そういった時に、私のようなコンサルタントの存在を思い出していただきたいです。外部からの視点で、「人・モノ・カネ」をどう手当てするか、という点に配慮しつつ現状に即した中小企業の皆様向けの実行案を描くことができます。
それは、私自身が中小企業の中で、管理業務従事者として「人・モノ・カネ」の差配を行った経験、および様々な企業様のお手伝いをする中から得たエッセンスがあるから可能になるのです。
是非お手伝いさせていただきたいと思っております。