コラム第60回 2015年2月28日 「マクロよりミクロ」 | GTBコンサルティング 平賀 正志(中小企業診断士)


今年も、既に2ヵ月が過ぎ去ろうとしています。
個人事業の方は確定申告で、会社組織の方は(多くの方が)年度末が近付いて、何かと落ち着かない状況だろうと思います。



当方がよく支援を依頼されることに「売上回復」とか「事業の見直し」という内容があります。
どちらも非常に重いテーマです。ECサイトの構築とか商品パッケージなどという各論・個別論ではなくて、組織全体を揺るがすことになるような方向性を考える内容ですので。

(・・・但し、お断りしておきますと、私は「重い」テーマを考えるほうが診断士としては適切であろうと思っており、それを優先していますし、またそれこそが私自身が診断士を志した理由の一つでもありますから、そういうご依頼をいただくことこそ冥利につきます)



しかし、そういう支援の場で思うのは、事業者の方々の側で、マスメディアとか行政、ないしは金融機関が発する情報に惑わされ過ぎなのではないだろか?ということです。

景気回復(ないしはその基調)なんてのは、東京のような経済がもともと活発な地域での話であって、私の住む京都ですと、観光客で賑わうような地域でもなければ、テレビで映るような人々が引っ切り無しに行き交う姿など皆無とまでは言いませんが、お目にかかるのは稀です。回復なんてしているのか?と思っているところです。

ですから、とりわけ事業の地理的範囲が狭い事業者様ほど、マーケティングや事業方向性・今後の商品構成などを考えるに当たっては、どちらかというと、

「マクロ的な事柄(国全体の流行であるとか、国際的なトレンドであるとか)よりも、その事業の置かれている身近な要件を可能な限り正確に捉える」

ほうが大切だと私は考えます。


身近な要件とは、自分達の売っているモノや提供するサービスを

・どのくらいの範囲に住む方々が
・何歳くらいの方々が
・どんな暮らし向きの方々が
・どの時季に(季節、月初・月中・月末、朝なのか夜なのか、週末なのか、など)


必要となさっているのか、というようなことです。
(上の4点も一例です。もっと細かに考えてみましょう)

要は、東京の銀座で人々が何を思っているのかよりも(もちろん、それを知ることは大切ですが)、それこそ近所のスーパーの特売日に朝早くから並んでいる地域の皆さんが何を思ってらっしゃるのか、そちらをわかる範囲で良いので、正確につかむほうが大切だ、ということです。

その方が、その事業者の方々のビジネス圏で、まず取っ掛かりとして何をすべきなのかが、見えてくる・見えやすいです。
(そういう意図で、私自身も時折、その特売の列に自分もエコバッグを持って並びます。それを繰り返していると、大手の新聞やテレビ放送からでは見えないものが見えて来るのです)


その情報で以てして、会社・事業所として

「これから先、どうしていこうか」
「今の商品構成は、変えるべきなのか、今のままでいいのか」
「どんな人物を採用したらいいのか」
「役員・従業員はどんな能力開発をするのが良いのか」

というようなことを考えていただくほうが、より現実に即していると思われます。


何とぞ、中小企業・事業者の皆様には、巷にあふれるマクロ情報に惑わされずに、ご自身の目で確かめられたことを中心に方向性を考えていただきたいと願っております。そこへ何らかのエッセンスを私が加え、よりよい明日へ一緒に向かっていければと思います。ぜひお声かけください。

梅の花は咲き誇っていますが、まだしばらくは寒暖の差が非常に大きい日々が続きます。ご自愛くださることもお忘れになりませんように。

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