【国道1号線徒歩の旅】番外編:水口松尾駅 | きまぐれの国道1号徒歩の旅

松尾交差点から撮影しながら国道307号を北上すること8分、

松尾団地入口前を過ぎたところで、右手には

国道と並行する近江鉄道本線の水口松尾駅が見えてきました。

 

甲賀市においては、国道1号から最も近い場所にある駅です。

そして、滋賀県の上り区間において

国道1号から1km圏内に駅が見られるのは、

当駅と、国道を挟んだ南側にある水口駅の

近江鉄道2駅が最後となります。

 

 

近江鉄道は1896(明治29)年に発足した

滋賀県最古の私鉄であり、

現在は西武グループ傘下の鉄道会社です。

 

かつてはその略称を「近鉄(きんてつ)」としていましたが、

1944年に「近畿日本鉄道」が発足し、

その略称やグループ会社も

同じく「近鉄」で広い範囲で定着したことから、

現在では「近鉄」の略称を避けるようにしているようです。

 

 

 

水口松尾駅は、1989(平成元)年に開業した

比較的歴史の浅い無人駅です。

 

平成に入ってからの近江鉄道では、

企業による請願や支援もあり

新駅が多く設けられるようになる中、この水口松尾駅は

地元の水口町と、付近にある宗教団体による請願で

新設された珍しい例のようです。

 

 

ごらんの通り、簡素な造りの小さな駅であり

国道沿いのため送迎目的以外で車を停めることはできません。

駅周辺に目立った施設がないこともあり、

駅の利用者は乗降者合わせても

1日100人を割り込むようです(2018年現在)。

 

ここまでの国道1号周辺で見かけた利用者の最も少ない駅は

京阪京津線の大谷駅でしたが、

それでさえ乗車人員だけでも1日200人はいるようなので、

これを大幅に下回ることになります。

 

 

 

駅前にはトイレはありませんが、公衆電話ボックスと

無料で利用可能な屋根付き自転車駐輪場があります。

 

付近には酒屋や飲食店があります。

また、南に400mほどの距離である国道1号下には

前日紹介したセブンイレブン水口町松尾店があり、

最寄りのコンビニということになります。

 

 

奥へ進み、水口松尾駅入口へ。

 

 

 

この駅には、駅舎や改札はありません。

 

 

代わりに、ホーム中央には雨避けのための

簡素な屋根付きのベンチが設置されています。

 

 

 

このベンチの置かれた入口に、駅名が表示されています。

 

 

駅名は付近の地区「水口町松尾」に由来したものですが、

駅は同地区ではなく、隣接する水口町水口地区に所在します。

 

 

 

ベンチはごらんの通り、木製です。

 

 

背の壁の掲示板には、電車内への自転車の持ち込みなど

駅利用者に対しての諸注意を知らせる貼り紙が見られるほか、

催し物や地域情報などのポスターなども掲載していました。

 

 

 

本線と2つの支線とで成り立つ近江鉄道。

 

水口松尾駅がある本線は、

米原~貴生川(きぶかわ)間を結びます。

 

 

この駅を発車する電車は、

米原・貴生川のいずれの方面も日中は1時間に1本、

朝や夕方は1時間に2本といったところです。

 

貴生川方面は、

全列車が貴生川駅まで行き終電が遅いのに対し、

米原方面は、米原まで距離があるため

途中駅止まりも多く、22時台で運行が終わるようです。

 

 

 

近江鉄道は単線での運行で、ホームは1面1線のため

上下線の区別やこの駅での列車交換はありません。

 

 

駅ホームの国道側には転落防止柵が、

またホームの米原方にはこの駅唯一の駅名標が設置されます。

 

 

 

南隣りの水口駅は1.1kmで初乗り150円で行けるのに対し、

北隣りの日野駅は、近江鉄道の駅間距離で最も長い

4.9kmも離れており、南に4駅(5km)離れた

貴生川駅と同じ250円の運賃を要します。

 

 

平成最初の年から水口町を見守り続けている駅名標は、

この30年近くの経年劣化により、

駅名標を支える鉄棒が完全に錆びついてしまいました。

 

 

 

駅ホームから見た国道307号、松尾交差点方面を撮影。

 

 

すぐ先には右手に松尾団地の出入口があるため、

スピードを落とすよう注意を促す立て看板が見えます。

 

この入口のところには、

甲賀市コミュニティバス「綾野・松尾・貴生川ルート」の

松尾エリアを経由する一部の便が乗り入れており、

本駅の周辺を発着する唯一のバスとなっています。

 

 

さて、せっかくここまで来たので、このあとは

国道1号から近いもうひとつの近江鉄道の駅、水口駅へも

寄り道して見ていきたいと思います。

 

 

 

つづく