《本日のDVD観賞》
世紀の4団体統一ヘビー級王座統一戦などを開催する中東オイルマネーは、格闘技界のみならずスポーツ界の勢力分布図を変えてしまいそうな勢い。2月8日にサウジアラビアで開催された、クリスティアーノ・ロナウドが出場したサッカーの親善試合。リオネル・メッシまで揃えるオイルマネーは、1試合の放送制作経費でワールドカップ8試合分をつかったらしい。しかも、キックオフ前には場内が暗転してWWEのスーパースターであるアンダー・テイカーが「墓堀人」ギミックのままで登場したのだから驚いた。サウジアラビアでは2018年からWWEが開催されているらしく、1大会で75億~80億のお金が動いているらしい。アンダー・テイカーの入場シーンは、まさに‘金が取れる‘名シーン。2004年に日本武道館で生観戦した入場シーンは天下一品だった。
そんなアンダー・テイカーのニックネームは‘DEAD MAN‘が日本では多く使われるが、リングネームが‘墓堀人‘‘葬儀屋‘であるが故に、アメリカでは‘The Punisher・パニッシャー‘処刑者、懲罰者‘と呼ばれる。本院もアンダー・テイカーのリングネームを使う前に、パニッシャー・ダイス・モーガンと名乗って日本にも来日している。
パニッシャーとは、アメリカでは多くの漫画で登場するダークヒーロー的なキャラクターらしく格闘家には付けやすい異名だが、ボクサーでパニッシャーと言えば元2階級制覇王者のポール・ウィリアムス!
1981年7月にアメリカのサウスカロライナ州で生まれた‘The Punisher(懲罰者)‘ポール・ウィリアムスは、2000年7月に19歳でデビューしてジェレミー・ミケルソンに判定勝ち~その後も早いラウンドでのKOを連発し27連勝20KOで、2006年4月にセルジオ・リオス2RにKOしてUSNBCウェルター級王座を獲得。
5月には、25勝25KO無敗のワルテル・マティセとのNABO北米ウェルター級王座決定戦を10RにTKOで降し王座獲得。8月には、元WBA&IBFスーパーライト級王者のジャンバ・ミッチェルを4RにKOしてUSNBC&NABO王座の初防衛に成功~11月にも、サントス・パカウを6RにTKOで降す~2007年4月に、WBOウェルター級王者のアントニオ・マルガリートに判定勝ちし王座獲得 『観戦記2486』
2008年2月に、カルロス・キンタナに判定敗けしあっさりと王座陥落~しかし、6月の再戦でカルロス・キンタナを1RにTKOで降しWBOウェルター級王座再栄冠~王座を返上して階級を上げ、9月にアンディ・コールを1RにTKOで降す~11月に、バーノ・フィリップスを8RにTKOで降しWBOスーパーウェルター級暫定王座を獲得。
しかし、またも王座を返上してミドル級に上げる~2009年4月に、ロナルド・ライトを大差判定で降す~12月に、元2WBCスーパーウェルター級王者のセルヒオ・マルチネスと対戦し2-0の判定勝ち~2010年5月に、元IBF&WBOウェルター級王者のカーミット・シントロンを4R負傷判定勝ち~11月に、WBCミドル級王者のセルヒオ・マルチネスと再戦も2RにKO敗け。
そして、再起戦ではスーパーウェルター級に戻して対戦するのは無敗のエリスランディ・ララ!
1983年4月生まれ、キューバのグアンタナモ出身のエリスランディ・ララ・サントーヤは、2005年度のキューバ選手権で当時のアマチュアウェルター級世界王者のロレンゾ・アラゴンを降して優勝~その勢いのまま、中国で開催された世界選手権ウェルター級で金メダルを獲得~2005年のAIBAワールドカップで銀メダルも、2006年の中央アメリカ・カリブ海協議会では金メダルを獲得。
そして、2007年に開催されたパンアメリカ選手権に出場する為に訪れたブラジルでギジェルモ・リゴンドーと亡命を試みるも失敗・・・・キューバ代表からは外されるが、2008年にプロモート契約したアリーナボックスプロモーションが計画した密出国エージェントとの手により25人乗りの高速ボートで脱出!
しかし密出国エージェントがララに気づき、密出国の報酬の上増しを迫り脅される!しかし、なんとかメキシコまで辿り着き飛行機でドイツに渡り亡命に成功する。
2008年7月にトルコでデビューして、ロシアのイワン・マスロフに判定勝ち~9月にデニス・アレクセジェブスを1RにKOして、活動拠点をアメリカへ移す~11連勝7KOして、2010年11月にティム・コナーズを1RにTKOで降しWBAラテンアメリカスーパーウェルター級王座を獲得~2011年1月にデルレイ・レインズを1RにKOするが、3月に後のIBFスーパーウェルター級王者になるカルロス・モリナとドロー
キューバから命からがら亡命し、プロ無敗で世界ランカーを駆け上がるエリスランディ・ララが元世界王者を喰うか!?セルヒオ・マルチネスに、歴史に残るKO敗けした元2階級制覇王者のポール・ウィリアムスが再起なるか!?
2011年7月9日 再起戦! ポール・ウィリアムスvsエリスランディ・ララ
ポール・ウィリアムス 39勝27KO2敗 元2階級制覇王者
エリスランディ・ララ 15勝10KO無敗1分
1R、サウスポー同士、大きいウィリアムスが軽快にパンチを出していく
ララは、素早いステップからパンチを合わせる~踏み込んでワン・ツー!
2R、やはり、体格で勝るウィリアムスが豪快なワン・ツーでララを弾き飛ばす
とにかく動くララだが、狙い済ました左でウィリアムスをグラつかせる!
3R、ララは足を使って動き廻りながらも、ウィリアムスが踏み込んでくればカウンターを狙う!
スピードで勝るララが、ウィリアムスのプレスを上手くスカしながら左を打ち込む
4R、ペースを変えたいウィリアムスが、身体ごと当たっていきロープに押し込むもローブローで中断~それでもウィリアムスが、ボディーでララを止めにいく
廻ってクリンチばかりのララに、ウィリアムスもクリーンヒットを奪えない
5R、手数は圧倒的にウィリアムスも、ララは前後にステップしながら左ストレート!
ララは、距離を取りながらワン・ツー~ウィリアムスは、身体を押し付けながらのパンチしか打てない
6R、前に出て攻めまくるウィリアムスも、ノラリクラリのララを捕まえきれない
離れるか、クリンチする時にララ~ウィリアムスは打ちまくるが当たらない
7R、ララが大きくリングを廻る~ウィリアムスが追いかけるも、ララは右を下から伸ばしていく
ウィリアムスは動かさないように密着していくが、逆にロープを背に連打される
8R、手数は多いウィリアムスも、カウンターを狙うララに踏み込めない~ウィリアムスのジャブに、ララが左を被せていく!
それでもウィリアムスは追っていく~体格を生かし、身体を浴びせてボディー連打!
9R、ララは変わらず大きく廻る~ウィリアムスが打っていくも、絶妙な距離感でかわしていく
ララは手数少ないも、ウィリアムスが攻め終わるタイミングでワン・ツー!
10R、ウィリアムスが前へ前へ出ていくが、ララは足を使い距離を取り打ち合わない
ララは、ポイントアウトはリードしていると読んでいるか大きく廻る~それでも、ワン・ツーでウィリアムスを止める
11R、やはり、大きく廻るララ~追いかけ切れないウィリアムスに、軽く当てては動く
焦るウィリアムスが正面から無防備に追うと、ララのワン・ツーが飛んでくる!
ウィリアムスはクリンチが多い~それでも必死に前に出てボディー
12R、ララは打ち合う気はなく廻る~ウィリアムスも、カウンターを警戒し踏み込めない
ウィリアムスが緩慢に追うと、ララの左ストレートが飛んでくる
判定は、114-114 115-114 116-114 2-0でポール・ウィリアムスの判定勝ち!
これは、当時かなり問題になった採点内容・・・・勝ったと思われたが、まさかの初黒星となったララは 『私は心の中で試合に勝ったことをわかっている。だから落ち込んでいる場合じゃないんです』 と話す。ESPNの記者は、このジャッジを「ボクシングの長年の歴史で最悪のジャッジ」と書き、ニュージャージー州のアスレチックコミッション、アーロン・デービスはジャッジのミスを認めて試合の4日後に3人のジャッジに無期限の資格剥奪処分を下した。アーロン・デービスは「私の任期にこんな事態が起き恥ずかしくおもいます。ジャッジ3名は完全に過ちを犯しました」 と話す。この試合は、勝者に150万ドルのファイトマネーで敗者には13万5000$のファイトマネーと言われた1戦。ララは、この後はファイトスタイルを代えていく事となり、2013年6月にアルフレド・アングロとのWBAスーパーウェルター級暫定王座決定戦で10RにTKO勝ちで世界王座初栄冠。
身長で10cmリーチでは17cm勝るポール・ウィリアムスだったが、インサイドに飛び込まれ、ポジショニングと柔らかいディフェンスにパンチは当たらずパニッシャー振りは魅せられなかった。そしてポール・ウィリアムスの次戦は、7ヶ月後の2012年7月に元WBAスーパーウェルター級暫定王者の石田順裕選手と対戦~9月にWBCスーパーウェルター級王者サウル・アルバレスへの挑戦が決まっていたが、5月27日に兄弟の結婚式にバイクで向かう途中に事故・・・・脊髄損傷で下半身は動かず、下半身不随となってしまう。それでも、2016年には車イスでミットを持つ姿が報道され、トレーナーとしてボクシング界に復帰する!
★ウィリアムスは「逆境を乗り越えた勇気」というボクシング協会のビルクロード賞を受賞する 格闘技blogランキングをクリック⇒格闘技 ブログランキングへにほんブログ村