観戦記2477 WBOアジアパシフィックライト級王座戦 吉野修一郎vs中谷正義 | 人生マイペンライ

人生マイペンライ

格闘技を愛し50歳過ぎても殴り合う

《本日のTV観賞》

 

10月29日に、ロシアのウクライナ侵攻により4団体統一ライト級王座戦をキャンセルして戦地に向かった元3階級制覇王者‘ハイテク‘ワシル・ロマチェンコがリングに帰ってきた。無敗のジャメイン・オルティスを手間取りながらも判定勝ちし、2023年は4団体統一ライト級王者のデビン・ヘイニ―との対戦へ向かうのか!?ロマチェンコも2023年2月には35歳となるが、華麗なステップで世界へ席巻したロマチェンコだけに加齢による衰えはどうなのだろうか・・・ライト級に上げてからは、初のライト級の試合となったホルヘ・リナレス戦では初めてのダウンを喫し 『観戦記2026』 4団体統一戦となったテオフィモ・ロペス戦では、体格で上回りプレスをかけるロペスを捌き切れずに判定敗けした。

本来ならばテオフィモ・ロペスとの再戦が観たかったが、ロペスはジョージ・カンボソスJrに敗けて元々減量苦もありスーパーライト級へ階級を上げた。アマ歴が長く25歳でフェザー級でデビューしたロマチェンコだけに、スーパーフェザー級でも闘えるらしくスーパーフェザー級では5戦全てがKO(TKO)勝ちだったがライト級では8戦中KOは3戦だった。その3戦のうちWBA王座を奪ったホルヘ・リナレス戦、元WBAライト級王者のアンソニー・クロラ戦、そして日本人で唯一ワシル・ロマチェンコと対戦し、しかもテオフィモ・ロペスとも大激闘をした中谷正義選手だった。

 

1989年3月に大阪府大阪市に生まれた中谷正義選手は、あのリカルド・アルレロンドのWBCジュニアライト級王座に挑戦したアポロ嘉男さんのアポロジムに中学生で入会~さらに高校1年生までは少林寺拳法もやっていたらしい。興國高等学校に進学し、ボクシング部で4階級制覇王者の井岡一翔選手やWBAミニマム級王者になる宮崎亮選手などとインターハイで団体で優勝、個人ではベスト8に入る~近畿大学に進学し、60戦するがボクシング部が不祥事で廃部。

2011年6月に井岡ジムからデビューして、塩川勝久選手に4RでTKO勝ち~さらに4連勝3KOして、2013年7月に土屋修平選手とのホープ対決を3RにKO勝ち~2014年1月に、加藤善孝選手に判定勝ちして東洋太平洋ライト級王座を獲得~5月に、東洋太平洋7位の原田門戸選手に判定勝ちして初防衛に成功~12月にも、東洋太平洋12位の宇佐美太志選手に判定勝ちして2度目の防衛に成功~2015年4月に、東洋太平洋8位のアクセル住吉選手を判定で降し3度目の防衛に成功~8月には、東洋太平洋4位の村田和也選手を5R終了時TKOで降し4度目の防衛に成功~2016年4月にも、東洋太平洋15位の闘将青木誠選手を1RにTKOで降し5度目の防衛に成功~11月に、東洋太平洋15位のアラン・タナダを7RにTKOで降し6度目の防衛に成功~2017年4月には、東洋太平洋14位のゲーオファー・トー・ブワマースを判定で降し7度目の防衛に成功~9月に、東洋太平洋1位のライアン・セルモナを4RにTKOで降し8度目の防衛に成功~2018年2月には、東洋太平洋3位のパランペッチ・トー・ブワマースを6RにKOして9度目の防衛に成功~7月にも、日本ユース王者の富岡樹選手を11RにTKOで降し10度目の防衛に成功~12月に、東洋太平洋3位のハリケーン風太選手を4RにTKOで降し11度目の防衛に成功。

そして2019年7月に、IBF3位としてIBF4位のテオフィモ・ロペスとIBFライト級王座挑戦者決定戦で対戦も判定敗け~東洋太平洋王座を返上し 『1回でも敗ければ引退しようと思っていた』 と引退してしまう・・・しかし、1年5ヶ月後に帝拳ジムへ移籍し復帰~2020年12月にラスベガスで、フェリックス・ベルデホとWBOインターコンチネンタルライト級王座決定戦で対戦し2度のダウンを奪われるも9Rに逆転TKO勝ち。

 

さらに2021年6月には、元3階級制覇王者のワシル・ロマチェンコとラスベガスで対戦も9RにTKO敗け。

 

2022年6月に、3年半振りの日本のリングでハルモニート・デラ・トーレを1RでKOして再び世界へ出る為に日本ライト級最強を証明する!対戦するのは無敗のアジア3冠王者吉野修一郎選手!

 

1991年9月に栃木県鹿沼市で生まれた吉野選手は、三迫ジムらしくトップアマで実績十分で、作新学園時代に2008年度高校選抜ライトウェルター級優勝~2009年度インターハイライトウェルター級優勝~2009年度高校選抜ライトウェルター級優勝、2009年度国体少年の部ライトウェルター級優勝の高校4冠を達成。後の日本スーパーフェザー級王者になる内藤律樹選手、スーパーバンタム級のOPBFランカーの中澤奨選手も出場していたがMVPに選ばれる~ボクシングの名門・東京農業大学に進学し、大学リーグ戦で活躍し台北市カップ国際トーナメントでは二年連続準優勝。アマチュアで124戦104勝ちの戦績を残し、2015年12月に24歳でデビューしタイのペッジャー・シットパーセーンに3RTKO勝ち~2016年2月の2戦目も、タイのチャイヨン・シットサイトーンに判定勝ち~10月に恩庄健太選手に3RTKO勝ち~2017年4月には、元東洋&日本ライト級王者の加藤善孝選手に判定勝ち~10月に日本ライト級王座決定戦で、スパイシー松下選手を7RTKOで降して王座栄冠。

2018年2月の初防衛戦では、日本ライト級1位の斉藤正樹選手を1RでKO 『観戦記1478』

 

6月の2度目の防衛戦は、日本ライト級7位の前田絃希選手を9RにTKOで降す 『観戦記1669』 12月の3度目の防衛戦でも、日本ライト級10位の小林和優選手を3RにTKOで降す 『観戦記1628』 さらに2019年4月の4度目の防衛戦も、アクセル住吉選手を7RにTKOで降す~そして世界ランキングを上げる為に、10月には東洋太平洋&アジアパシフィックライト級王座決定戦でWBOアジア5位&東洋太平洋10位のハルモニート・デラ・トーレを1RにTKO勝ち 『観戦記1819』

10月に、日本1位も富岡樹選手を8RにTKOで降し日本王座5度目の防衛に成功~9月には、日本&WBOアジア2位&東洋太平洋8位の細川バレンタイン大差判定で降しWBOアジア&東洋太平洋は初&日本王座6度目の防衛に成功~2021年8月に、仲里周磨選手を6RにTKOで降し日本王座7度目の防衛に成功~そして世界への道が険しいライト級で世界挑戦を引き寄せるために、2022年4月に元WBOスーパーフェザー級王者の伊藤雅雪選手と対戦して11Rで負傷判定勝ち 『観戦記2358』

 

全勝でWBA15位、WBC10位、IBF13位、WBO9位にランクされる吉野選手だが、世界を見た時に評価はWBC9位の中谷選手の方が上だろう。吉野選手は 『強い中谷選手と最高の舞台で戦えることがうれしい。海外のスター選手と対戦しているし、ものすごくリスペクトしている選手。もう日本でやることはないかなと思う。海外に向けてやる試合。勝ったほうがアメリカに行けるんじゃないかと思っている』 と話し、世界の超1流と闘ってきた中谷選手も 『日本で最高の選手に勝って、次のステージに行けるという証明をしたい』 と念願の世界王座挑戦を見る!

 

2022年11月1日 WBOアジアパシフィックライト級王座戦 吉野修一郎vs中谷正義

 

吉野修一郎 15勝11KO無敗 3度目の防衛戦

 

中谷正義 20勝14KO2敗 WBC10位

 

1R、ガードを固めながら頭を振って入ろうとする吉野選手に、中谷選手はリーチを生かしたジャブを突く

 

中谷選手は距離を取るが、吉野選手はプレッシャーをかけ続ける~中谷選手の左をかわして右クロスを狙う!

 

中谷選手も、低く入ってくる吉野選手にアッパーを狙う~吉野選手は潜って左フック!

 

吉野選手がガンガン低く前に出るが、中谷選手が狙い済ましたアッパー!

 

2R、中谷選手が左を当てながら廻るが、吉野選手はタイミングが掴めてきているか!?

 

吉野選手潜ってボディー連打~揉み合いの中からアッパー!

 

吉野選手が追う~中谷選手は下がりなからも右を振り落とす!

 

それでも吉野選手は突っ込んで、中谷選手をロープまで追い込み右!中谷選手も首を捻って威力を逃がす

 

3R、アップライトな中谷選手に、低く入る吉野選手でバッティング!中谷選手が左目下をカット~止まらない吉野選手に、中谷選手が右を打ち降ろす!

 

中谷選手はジャブ~クリンチで吉野選手の突進を止めながら右!

 

さらに中谷選手は、ボディーを入れながら右を外から廻す!

 

4R、中谷選手が、様々な角度からの左で吉野選手を止める

 

中谷選手のタイミングがいいアッパーもあり、吉野選手は入れない~それでもくっついていき左フック!

 

吉野選手が強引に出ていく~中谷選手が右も、吉野選手は止まらず連打!

 

5R、吉野選手が強く出ていく~揉み合いの中から右!中谷選手をロープに追い込み連打!

 

勢いにのってくる吉野選手に、中谷選手も距離を取らずに凄まじい打ち合いになる!

 

吉野選手も止まらない~身体を振りながら前に出て、飛び込むような左フック!

 

中谷選手は廻るが、吉野選手は凄まじい手数で追い込んでくる!

 

中谷選手は必死にクリンチ~ブレイク後も吉野選手止まらない!左フック!右!

 

中谷選手なんとか廻るが、吉野選手は直ぐに詰めて右!中谷選手は膝をつく!ダウン!

 

中谷選手はダメージあるが、立ち上がったところでラウンド終了

 

6R、中谷選手のダメージはどうか!?中谷選手は足を止めてまとめてくる!

 

凄まじい打ち合いになる~吉野選手のボディー!

 

一瞬、中谷選手が止まったように見えたが左を伸ばす~しかし、吉野選手は右を被せる!

 

中谷選手効いた~一気に吉野選手がラッシュ!中谷選手はガードできない!

 

吉野選手の右が中谷選手を打ち抜く!必死に吉野選手に、しがみつく中谷選手も崩れ落ちていく!

 

なんとか立ち上がった中谷選手だが、陣営からはストップの要請で終了!

 

痺れる闘いは見事に吉野修一郎選手が6RにTKO勝ち!長いジャブを突いていく中谷選手と、グイグイ低く出ていく吉野選手のスリリングな闘いは正にサバイバルマッチとなり世界戦にも劣らない緊張感だった。吉野選手は 『下馬評はボクの負け予想。皆さん、見ました?倒しました!不利予想でメチャメチャ燃えました。中谷選手は雲の上の存在で、僕がチャレンジャーのような気持ちでいった。5Rにダウンを取って、6R、相手が仕留めに来たので、大振りに気をつけた。真に当たれば倒れるなと思った。中谷選手はラスボス的存在なので、勝って自信をもって世界に行ける』 と話す。

採点表を見ると、1Rはジャッジ3者とも中谷選手、2Rはジャッジ2者が吉野選手、3Rはジャッジ3者とも中谷選手、4Rはジャッジ3者とも吉野選手、5Rはダウンがあるのでジャッジ3者とも吉野選手と、47-47、48-46,48-46と試合が終わった時は吉野選手の強さの印象しか残らなかったが採点は競っていた。

そして吉野選手が所属する三迫ジムの三迫貴志会長は 『期待以上の結果を出してくれた。何としてでも世界戦線に打って出るようにしたい』 と話すが、ライト級は4団体統一王者のテビン・ヘイニ―、WBAレギュラー王者に無敗の3階級制覇王者のジャーボンテイ・デービス、そしてワシル・ロマチェンコがウクライナ紛争からリングに帰ってきている。

 

★吉野選手のリング上でのアナンサーへの対応も素晴らしかった 格闘技blogランキングをクリック格闘技 ブログランキングへにほんブログ村 格闘技ブログへにほんブログ村