観戦記2459 WBOインターナショナルライト級王座戦 デニス・ベリンチクvs荒川仁人 | 人生マイペンライ

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いよいよ今月(10月29日)に元3階級制覇王者のワシル・ロマチェンコがボクシング界に帰ってくる!6月にWBAスーパー&WBCフランチャイズ&IBF&WBOライト級王者のジョージ・カンボソスJrとの対戦が決まりながら、祖国ウクライナ紛争の為に入隊していたが無事に復帰!ウクライナ情勢は全く改善ならないが、闘うのはリングだけにして欲しいとは軽々しく言えない情勢。それでもロマチェンコは 『私はこの試合をすべてのウクライナの人々にささげたい。私はリングに上がるたびに、誇りを持って国旗を身につける』 と話す。ウクライナと言えばK-1MAXで活躍したアルトゥール・キシェンコとクリチコ兄弟のイメージだが、クリチコ兄弟はロシア系でドイツをホームというイメージの方が強かった。しかし、ワシル・ロマチェンコが出現しオレクサンダー・ウシクと共にロマチェンコの父であるアナトニー・ロマチェンコが指導する華麗な足さばきでボクシング界を席巻した。

ウクライナで日本人というと、2012年5月にウクライナの首都キーウでWBAミドル級王者のゲンナディ・ゴロフキンに挑戦した淵上誠さんを思い出す 『観戦記190』 ウクライナ国内で人気のスポーツは圧倒的にサッカーらしいが、あの大横綱の大鵬の父親も実はウクライナ人。

そんな戦闘民族でもあるウクライナに、元々は淵上誠さんと同じ八王子中屋ジム所属でアメリカにて‘ジャパニーズ・ロッキー‘とまで呼ばれたのが荒川仁人選手が乗り込む!

 

1981年12月に東京都武蔵野市に生まれた‘THE Babyfaced Sniper‘荒川仁人選手は高校時代には野球でピッチャーをしていたらしいがWOWOWのエキサイトマッチを観てボクシングを始める決意をし、高校卒業後に同級生の父親が会長を務める八王子中屋ボクシングジムに入会~アマでは全日本実業団のライトウェルター級で優勝。

2004年2月にデビューし、山下真外選手を1RでKO勝ち~5月には中沢勇輝選手を2RでKO、10月に前田拓馬選手に判定勝ち~その後も4連勝3KOで、2005年11月には後の日本&東洋太平洋ライト級王者の加藤善孝選手に2-1の判定勝ちし東日本新人王を獲得~全日本新人王でも小出大貴選手に判定勝ちし、2005年全日本新人王を獲得~しかし、2006年9月には加 藤善孝選手に0-2の判定でリベンジされ初黒星~2007年4月に遠藤智也選手を8RにKOし再起し、3連勝後に東洋太平洋ライト級王者のランディ・スイコに挑戦するも0-1のドローで王座獲得ならず~3連勝後の2010年4月に、近藤明広選手を2-0で降し日本ライト級王座を獲得~9月に、大村光矢選手を5RにTKOで降し初防衛に成功~2011年1月、中森宏選手を8RにTKOで降し2度目の防衛に成功~6月には、生田真敬選手を4RにTKO勝ちで3度目の防衛に成功~10月には、東洋太平洋ライト級王座決定戦でジェイ・ソルミアノを2-1の判定で降し王座栄冠。

2012年2月には、三垣龍次選手に判定勝ちし初防衛に成功~8月にも、嶋田雄大選手を8RにTKO勝ちし2度 目の防衛に成功 『観戦記251』 2012年11月に、メキシコで1位の荒川選手と2位のダニエル・エストラーダでWBCライト級挑戦者決定戦を争い大激闘も10Rに負傷判定負け(しかし、この試合の負傷判定になった原因の5Rの傷は荒川選手のヒッティングであり本来はTKO勝ちのハズ)WBCは再戦を指令するが、エストラーダは再戦を拒否し荒川選手がWBC1位に復帰する~2013年5月に、調整試合でパクプーム・オーベンジャマッドを2RにKOする~アントニオ・デマルコを、2012年11月に8RTKO勝ちでWBCライト級王者を奪い 『観戦記390』 2013年2月にギャビン・リースを5RにTKO勝ちし初防衛に成功している 『観戦記430』 エイドリアン・ブローナーがポール・マリナッジのWBAウェルター級王座に挑戦する為に設定された、WBCライト級暫定王座決定戦をWBCライト級2位のオマール・フィゲロアと対戦し場内大熱狂の激戦も判定負けで世界王座栄冠ならず 『観戦記560』

2014年3月には、MGMガーデンアリーナでホルヘ・リナレスとWBCライト級次期挑戦者決定戦で対戦も判定負け 『観戦記728』

 

7月に近藤明広選手との再戦を制すも、12月に日本ライト級王者の加藤善孝選手との3度目の対戦で判定負け~所属ジムをワタナベジムに移籍するも、2015年6月には元日本スーパーフェザー級王者の内藤律樹選手に判定負けし連敗 『観戦記902』 11月に杉崎由夜選手に判定勝ちで再起し、2016年4月に徳永幸大選手の日本ライト級王座を再栄冠~9月に塚田祐介選手を6RにKOし初防衛に成功~2017年1月には、WBOアジア太平洋ライト級王座決定戦でアンソニー・サバルデを判定で降し栄冠~7月にマルボン・ボディオンガンを6RにTKOで降し、WBOアジア太平洋ライト級王座の初防衛に成功~12月には、フィリピンライト級3位のアドニス・アゲロに判定勝ち 『観戦記1401』

2018年5月に、WBOアジア5位のリメール・マツダとドローでWBOアジア太平洋王座2度目の防衛に成功 『観戦記2415』

 

WBOランキングを7位に上げ、世界的に層が厚いライト級で名を売る為にウクライナに乗り込み対戦するのはWBOインターナショナルライト級王者のデニス・ベリンチク!

 

1988年5月にウクライナのルハンシク州クラスノドンで生まれたデニス・ユーリエビッチ・ベリンチクは、アマチュア歴は長く2010年ユニバーシアード選手権ライト級優勝~2011年度世界選手権準優勝~2012年ロンドン五輪でも、アンソニー・イギットや後のWBOウェルター級王者になるジェフ・ホーンを降しライトウェルター級で銀メダル獲得。

2015年8月にスーパーライト級でデビューして、タリク・マドニに4RでTKO勝ち~さらに4連勝2KOして、2017年6月に元WBAフライ級王者のロレンソ・パーラに判定勝ち~9月にも、イスマエル・ガルシアに6RでTKO勝ち~12月には、アラン・バレスピンを6RにKOしてWBOオリエンタルライト級王座を獲得。

2018年6月に、ホセ・ルイス・プリエトを5Rに棄権に追い込む~12月には、ルーズ・キール・クリストバルを7RにTKOで降しWBOインターナショナルライト級王座を獲得。

 

海外で世界王座挑戦者決定戦、暫定王者決定戦を3連敗したものの大激闘で世界的評価を上げたWBO7位のジャパニーズロッキーが、遥かウクライナで無敗のWBO11位でWBOインターナショナル王者のデニス・ベリンチクに挑戦!リングサイドにはウクライナの英雄であるビタリ・クリチコ、オレクサンダー・グヴォジーク、オレクサンドル・ウシクの姿も!

 

2019年4月20日 WBOインターナショナルライト級王座戦 デニス・ベリンチクvs荒川仁人

 

デニス・ベリンチク 10勝7KO無敗 初防衛戦

 

荒川仁人 32勝18KO6敗2分 元WBOインターナショナル王者

 

1R、荒川選手はドッシリ構えて、細かく動くベリンチクが入ってくるところに左!

 

ベリンチクはガンガン出てくる~荒川選手は距離を取りながらも、ベリンチクの右フックで弾き飛ばされスリップ

 

荒川選手らしい手数が出てくるも、ベリンチクは出続けてボディー!

 

2R、サウスポーに代えてきたベリンチクも、荒川選手はやり易そうにジャブを通す

 

お互いに手数多いが、ディフェンスも良く当たらない

 

荒川選手が出ていく~何度か左ストレートが当たる

 

3R、ベリンチクがラフに突っ掛かっていき、ブレイクを無視して打つ

 

荒川選手もパンチは出しているが、ベリンチクが先に先に攻める

 

動き廻るベリンチクに、荒川選手のパンチは当たらずカウンターを貰う

 

4R、ゴングと同時に荒川選手が仕掛けるが、ベリンチクはバックステップして右!

 

頻繁にスイッチするベリンチクは、左右どちらの構えでも強烈な右フックを打つ!

 

細かく動くベリンチクに、荒川選手は得意の連打が打てない~追っていくも、抜けられ打たれる

 

5R、荒川選手が前に出て喰らいついていくが、ベリンチクは左右に素早く動き打つ!

 

荒川選手のパンチが空を切る~ベリンチクは動きながら上下に当てる

 

荒川選手が細かく当てるも、ベリンチクの強烈な右フックに動きを止められてしまう!

 

6R、接近戦での打ち合いになる~引かない荒川選手だが、ベリンチクの右フックを貰う

 

大きく廻り出したベリンチクに、荒川選手のパンチは空を切る

 

足を使うベリンチクに、荒川選手は手数で追いかける!

 

7R、このラウンドはベリンチク足を使わない~激しい打ち合いになる!

 

荒川選手は手数は出るも、有効打はベリンチク~それでも荒川選手は打ち続けるが、打ち終わりにベリンチクの右!

 

8R、動きながら、突っ込んできた荒川選手にパンチを合わせるベリンチク

 

ベリンチクは動きながら、打ち終わりやカウンターを狙う!

 

完全に荒川選手の動きを掴んだベリンチクが、カウンターを合わせまくる

 

9R、荒川選手が前に出ている時は廻るベリンチクも、荒川選手が止まるとパンチをまとめる

 

荒川選手が手は出すが、かわされて狙い打たれる

 

頭が当たり荒川選手の右目上から出血~それでも荒川選手突っ込む!

 

10R、ベリンチクは左右に動きながら、軽いながらもダイレクトの右を当てていく

 

動き廻るベリンチクに、荒川選手はボディー!

 

さらに荒川選手がボディー~ベリンチク効いてきているか!?しかし、強烈な右を返す!

 

11R、ベリンチクは右を当てるが、荒川選手は全く止まることなくボディー!

 

ベリンチクは、イラついて荒川選手を投げてしまう~さらに荒川選手のボディー!

 

止まらない荒川選手に、ベリンチクは右ストレート連打~さらにスイッチして左!

 

12R、ポイントでは厳しいだろう荒川選手が振り回す!

 

ベリンチクも足を止め、荒川選手のパンチをかわして右!

 

最後まで手数は荒川選手も、有効打はベリンチクで終了

 

判定は、120-107 120-108 120-107 フルマークでデニス・ベリンチクが初防衛に成功!

 

荒川選手らしいしつこい連打も出ていたが、なにせヒット数が違いすぎた・・・確かに海外での大激闘だった3試合でも奪ったポイントはエストラーダ戦が2ポイント2者と1ポイントが1者。オマール・フィゲロア戦が、1ポイント1者と2ポイントが2者。ホルヘ・リナレス戦が、2者がフルマークと1者が2ポイントとポイントは取れていなかった。

それでも荒川選手の愚直なファイトが、パンチではない何かを魅せてくれて大激闘で次はやってくれる!勝ってもらいたい!と思わせる試合だった。

そして荒川選手は、この試合がラストファイトになる・・・・コロナ禍もあり引退式が伸び伸びだったが、2022年6月に後楽園ホールで開催され三代大訓選手とスパーリングをし 『15年半ぐらい、勝ったり負けたりのキャリアでした。過ぎてしまえば世界を取れなかったのは自分自身が至らなかったからだと思うが、そんな自分に期待してくれていたのは本当にうれしいです。今後は新たなステージで切磋琢磨して進んでいきたいと思います』 と話す。まさに記録より記憶に残るボクサーと言うのは、この人の事を言うのだろう。

 

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