観戦記2412 WBOスーパーフライ級王座戦 井岡一翔vsドニー・ニエテス | 人生マイペンライ

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《本日のTV鑑賞》

 

先日、とあるインターネットのサイトでのボクシングにおけるタトゥーの問題で井岡一翔選手がダメで対戦相手のニエテスがOKなのはおかしいのではないか!?との論争に参加したが、JBCが管轄するタイトルマッチなのだからJBCのルールに従え!ニエテスが良くて井岡選手がダメなのは時代錯誤だ!と、様々な意見があった。私は、WBO王座戦なのだからWBOが良ければ日本人だろうと良いのかと・・・確かにJBC加入ジムならJBCのルールに従わなければいけないのは分かるが、ならば3ノックダウン制からフリーノックダウン制への変わった時のように時代の流れで日本は世界に追随するときが来たのか!?

ボクシング中継でも、昔の5ポイントでの(1R5-4など)採点方法から世界的な10ポイントマストシステムに代わり、なるべく10-9を付けるシステムが世界的なスタンダードになり放送でも説明がされている。そうすると、技術戦でどちらとも言えないラウンドでも明らかなラウンドでも同じ10-9なのでトータルの印象よりもポイント差がつく場合が出てくる試合がある。

テクニシャン同士の対戦で、初戦も2-1の接戦となりジャッジ3者が揃って10-9を付けたラウンドは12Rのみだった1戦の再戦が井岡選手のWBOスーパーフライ級王座5度目の防衛戦!

 

1989年3月に大阪市で生まれた井岡一翔選手は、実父の一法さんも2戦2勝のボクサーで叔父に2階級制覇した井岡弘樹さんを持つ~中学1年生の時から、井岡弘樹さんが所属したグリーンツダジムで練習をする。中学3年生の時に、井岡弘樹さんが設立した井岡ジムに移籍~興國高等学校に入学し高校6冠を達成~オリンピックを目指し東京農業大学に進学。2008年のキングスカップでは、後のIBFフライ級王者のアムナット・ルエンロンに敗北~大学2年生の全日本選手権の決勝で林田太郎選手に1ポイントの差で敗退~2年連続の準優勝となり、北京オリンピックの道が厳しくなりプロ転向。 2009年4月に、タイ国のフライ級王者のトンタイレック・ポーウォラシンを3RにTKOでデビュー。2戦目に世界挑戦経験もあり、日本ランカーの松本博志選手に2RにTKO勝ちで日本ランキング入り。3戦目は、世界ランカーの國重隆選手に判定勝ちしWBA&WBCとも14位にランク入り。4戦目は、インドネシア国内王者のヘリ・アモルにプロ初ダウンを 奪われるも判定勝ち 『観戦記205』 6戦目には、同ジムの宮崎選手が返上した日本ライトフライ級王座を1位瀬川正義選手と争い10RにTKOで栄冠。そして、2011年2月にオーレイドン・シスサマーチャイを5RにTKOで降し、当時の最速タイの7戦目でWBAミニマム級世界王者になる。

8月の初防衛戦は、1位のファン・エルナンデに判定勝ち。大晦日に初登場となった2度目の防衛戦は、ヨードグン・トーチャルンチャイをわずか98秒で担架送り 『観戦記69』

 

そして、2012年6月に日本人同士による統一戦となったWBC王者八重樫選手との戦いを 『観戦記210』 判定で完勝しWBA&WBCミニマム級統一王者。 王座を返上してライトフライ級に上げると、いきなり2012年の大晦日にホセ・ロドリゲスとWBAライトフライ級王座決定戦を6RにTKOで2階級制覇『観戦記361』しかし・・・正規王者のローマン・ゴンサレスをスーパー王者に追いやって、5位のホセ・ロドリゲスとの決定戦はいかなるものなのか! WBAは90日以内にローマン・ゴンサレスとの統一戦を行うように指令を出し、入札が行われるハズだが・・・噂では井岡陣営が12万5千ドル払って回避したと・・・ 2013年5月の初防衛戦ではWBA3位のヴィサヌ・ゴーキャットジムを悶絶ボディーで9RにKO 『観戦記472』 2度目の防衛戦は、2013年9月にWBA5位のクワンタイ・シスモーゼンも7RにKOし 『観戦記575』 王座奪取から3連続KO!3年連続の大晦日出場となった、フェリックス・アルバラードとの3度目の防衛戦は、タフなアルバラードに判定までいくも完勝 『観戦記671』 そして、2014年5月に井岡家悲願の3階級制覇を目指し、IBFフライ級王者でアマ時代に苦杯を飲まされたアムナット・ルエンロンに挑戦するも・・・天才的なダーティーテクニックに翻弄され判定負け 『観戦記778』 ノン・タイトル戦を挟んで、WBAフライ級王座を日本で黒田雅之選手を含む 『観戦記412』 8度防衛中の2階級制覇王者のファン・カルロス・レベコに挑戦し、2-0の判定勝ちで3階級制覇 『観戦記861』

9月の初防衛戦は、WBA10位のロベルト・ドミンゴ・ソーサを大差判定で降す 『観戦記971』 5年連続の大晦日での闘いは4月に王座を奪った前王者でWBAフライ級2位のフアン・カルロス・レベコとの再戦を11RにTKOで降す 『観戦記1055』 7月には3度目の防衛戦では、WBAフライ級6位でWBCラテンアメリカ・フライ級王者のキービン・ララを11RにKO 『観戦記1164』 4度目の防衛戦は、6年連続の大晦日に18才のWBAフライ級暫定王者スタンプ・キャットニワットを迎え7RにTKO勝ち 『観戦記1256』2017年4月の5度目の防衛戦で、WBA2位のノクノイ・シッチパラサートを判定で降す 『観戦記1298』 そして1ヶ月後の5月20日には、比嘉大吾選手がWBCフライ級王座を獲得し 『観戦記1319』 井岡選手との統一戦をアピールなどがあったが・・・・父である一法会長が、WBAが指名する1位のアルテム・ダラキアンとの対戦準備不足と、結婚を機に東京に拠点を移した事などを理由に井岡選手が不在の中で王座返上を発表。そして大晦日には井岡選手自身が引退を発表して、新しい夢の為に進むと・・・・

そして、様々な噂が流れるなかで2018年7月に井岡選手の電撃的な復帰と大手K2プロモーションと契約し、7年振りにイスマエル・サラスと組みアメリカで 「SUPER FLY.3」 への参戦が発表される!2018年9月にWBCスーパーフライ級シルバー王座戦として、WBC&WBOスーパーフライ級3位のマックウィリアムズ・アローヨと対戦。実に攻撃的なスタイルで、3Rにダウンを奪い判定勝ち 『観戦記1533』

 

そして4階級制覇を目指して、マカオでWBO1位同じく3階級制覇王者のドニー・ニエテスとWBOスーパーフライ級王座決定戦で対戦するも判定負け 『観戦記1646』しかし王者のドニー・ニエテスが、井岡選手との決定戦前の王座決定戦で引き分けたアストン・パリクテとの再戦での初防衛戦をWBOに指示されるとビックマッチを求めて拒否・・・・ファン・カルロス・エストラーダや、シーサケット・ソー・ルビンサイとの対戦を求めて王座を返上。そして2018年末に本来はドニー・ニエテスと再戦予定も、ダイレクトリマッチが嫌われたか!?井岡選手に王座決定戦を奪われたWBO1位のアストン・パクリテと、2019年6月にWBO2位の井岡選手がWBOスーパーフライ級王座決定戦を行い10RにTKO勝ちして日本人初の4階級制覇達成 『観戦記1749』

 

大晦日には、WBO1位のジェイピエール・シントロンを判定で降し初防衛に成功 『観戦記1872』コロナウィルスの影響で1年振りとなる2020年大晦日には、4階級制覇を目指す田中恒成選手を見事に8RTKOで降し2度目の防衛に成功 『観戦記2078』

2021年9月の3度目の防衛戦で、元IBF&WBOミニマム級王者のフランシスコ・ロドリゲスJrに判定勝ちして3度目の防衛に成功 『観戦記2225』そしてコロナウィルスの水際対策で日本への入国規制により、IBF王者のジェルウィン・アンカハスとの統一戦が流れ・・・・それでもテレビ局からも期待されている凄さで、大晦日に急遽挑戦者に選ばれた2022年2月に試合予定だった福永亮次選手を判定で降し4度目の防衛に成功 『観戦記2296』

 

そして、コロナウィルスの水際対策での入国規制も緩みWBO1位のドニー・ニエテスと再戦!

 

1982年5月にフィリピンの中部ヴィサヤ諸島ネグロス島で生まれた‘Snake‘ドニー・リボーン・ニエテスは、当初はALAジムのスタッフだったらしいくデビューは遅く21歳になる3週間前にデビューしウォールター・スアイバガイオーに判定勝ち~その後も7連勝4KOで、ジョセフ・ビラシズとPBFフィリピンライトフライ級王座決定戦を1RにTKO勝ちして王座獲得~その後も3連勝3KOするも、2004年9月にインドネシアのアンキー・アンコッタに1-2の判定負けし初黒星。11月のカルロ・ベセーレズとの再起戦もドロー~しかし、その後は7勝2KO1分で2006年11月に後に井岡一翔選手とも対戦する 『観戦記205』 ヘリ・アモルとのWBOアジア太平洋ミニマム級王座決定戦を2RKO勝ちして王座獲得~2007年4月にトンタイレック・ポーウォラシンを2RにKOして初防衛に成功~7月にはサエングペッチ・ソーサカルファンを7RにTKOで降し2度目の防衛に成功~9月に、後のWBA&WBCミニマム級王者になるポンサワン・ポープラムックとWBOミニマム級王座決定戦で対戦し判定勝ちで世界王座を栄冠。

2008年8月に、エディ・カストロを2RにKOして初防衛に成功~2009年2月にも、エリック・ラミネスを判定で降し2度目の防衛に成功~9月に、WBOミニマム級暫定王者のマヌエル・バルガスを2-1の判定で降し3度目の防衛に成功~2010年1月にも、後に日本で宮崎亮さんとWBAミニマム級統一戦をする 『観戦記576』 ヘスス・シルベストレを10RにTKOで降す~8月にも、後のIBFミニマム級王者になるマリオ・ロドリゲスに判定勝ちして3度目の防衛に成功~2011年4月にノンタイトル戦を1RでKOして、10月にラモン・ガルシアのWBOライトフライ級王座に挑戦し判定勝ちで2階級制覇達成~2012年6月に、フェリペ・サルゲロに判定勝ちし初防衛に成功~11月のノンタイトル戦を5RにKOして、2013年3月には、元WBOミニマム級王者のモイセス・フエンテスとドローで2度目の防衛に成功~11月にも、元WBAミニマム級暫定王者のサミー・グティエレスを3RにKOして3度目の防衛に成功 『観戦記696』 2014年5月には前年に引き分けたモイセス・フエンテスと再戦し、9RにKOして4度目の防衛に成功 『観戦記843』 11月には、WBO5位のカルロス・ベラルデを7RにTKOで降し5度目の防衛に成功~2015年3月には、WBO13位のヒルベルト・パーラを9R終了時にTKOで降し6度目の防衛に成功 『観戦記908』7月には、元IBF&WBOミニマム級王者のフランシスコ・ロドリゲスJrを判定で降し7度目の防衛に成功~10月にはアメリカに進出し、WBO8位のファン・フレホを大差判定で降し8度目の防衛に成功~2016年5月にも、元IBF&WBOミニマム級王者でWBO6位のラウル・ガルシアを5RにTKOで降し9度目の防衛に成功~そしてWBOライトフライ級王座を返上してフライ級に階級を上げ、2016年9月に元WBCライトフライ級王者のエドガル・ソーサとWBOインターナショナルフライ級王座決定戦で対戦しジャッジ3者フルマークの判定で勝利し王座栄冠~2017年4月にエクタワン・クルンテープトンブリと、IBFフライ級王座決定戦で対戦し判定勝ちで3階級制覇達成.

2018年2月の「SUPER FLY.2」で、元WBAライトフライ&フライ級王者のファン・カルロス・レべコに7RにKOして初防衛に成功

 

IBFフライ級王座を返上して、2018年9月の「SUPER FLY.3」でWBO1位としてWBO2位のアストン・パリクテとWBOスーパーフライ級王座決定戦をするもドローで4階級制覇ならず。

パリクテ陣営はニエテスとの再戦を訴えていたものの、WBOはドニー・ニエテスvs井岡一翔を承認する代わりにパリクテvsWBO4位のホセ・マルティネスの次期挑戦者決定戦を決める~大晦日にWBO1位として、WBO3位の井岡選手と再戦し2-1の判定勝ちで4階級制覇達成 『観戦記1646』

 

そして、同国のWBO1位アストン・パリクテとの指名挑戦試合を拒否して王座返上~さらに所属するAKAジムが閉鎖するなどで試合ができなくなり、2021年4月に1年4ヶ月振りの試合をドバイでパブリョ・カリージョを判定で降しWBOインターナショナルスーパーフライ級王座を獲得~12月にもドバイで、ノベルト・ヒメナスとドローでWBOインターナショナル王座初防衛に成功。

 

4階級制覇王者同士の対決が、今や井岡選手のホームと言えるスーパーフライ級防衛戦は総て開催している大田区体育館で5戦連続開催!前回がマカオで1-2の判定で敗けた井岡選手としては、地の利も生かして3年半前の借りを返せるか!

 

2022年7月13日 WBOスーパーフライ級王座戦 井岡一翔vsドニー・ニエテス

 

井岡一翔 28勝15KO2敗 5度目の防衛戦

 

ドニー・ニエテス 43勝23KO1敗6分 WBO1位

 

1R、お互いに距離を計りながら左を突く~井岡選手がアッパーも、ニエテスの左が伸びる

 

ニエテスは、よく見ながらも前に出て低い踏み込みから右~井岡選手は手数多く上下に左を出す

 

2R、井岡選手から左を伸ばしながら前に出るが、ニエテスも上手い距離感で外しながらカウンターの右!

 

井岡選手が、細かくジャブを当てながら入っていく~ニエテスも合わせるが、井岡選手はガード固い

 

3R、井岡選手はキッチリ顎を引き、ニエテスのパンチも額で受けてダメージを残さない~井岡選手手数多く、上下に攻める

 

さらに井岡選手がガンガン攻める!ニエテスも返しているが、井岡選手の攻勢が目立つ

 

4R、井岡選手が、さらに積極的に出ていく~ニエテスをロープに追い込み右!しかし、ニエテスはガード固い

 

ニエテスがジャブは多く当てるが、井岡選手は止まらずに右ストレート!

 

5R、井岡選手が出ていき右!ニエテスを下がらせ、さらに右ストレートも外れる

 

やはり井岡選手が先に先に打って手数は圧倒も、ニエテスもロープを背にしながらも右を合わせる!

 

6R、前に出て手数多い井岡選手も、ニエテスも足を使いながらジャブを通す

 

しかし、井岡選手が様々な角度のパンチでニエテスを追い込む~ワン・ツーからボディー!

 

7R、前に出てくる井岡選手に、ニエテスは左右に動きながら左を当てる

 

井岡選手は、全く怯むことなく綺麗なコンビネーションで攻める!

 

井岡選手の回転が上げ、ニエテスにパンチを出させない

 

8R、ニエテスはボディーが効いて気にしているところに、井岡選手が左ボディーから左フック!

 

ニエテスは右目尻から出血~井岡選手が手数は圧倒も、クリーンヒットはしていないか!?

 

9R、ジャブでも井岡選手が当てまくると、ニエテスは右を打ち込むが井岡選手しっかりガード

 

ニエテスがアッパーで入ってきても、井岡選手はバックステップでかわしワン・ツー!

 

10R、ポイントでは厳しいだろうニエテスが出てくるが、井岡選手は細かく当てながらかわす

 

ボディーを効かせてから井岡選手がワン・ツー!ニエテスが左目尻から出血しドクターチェックが入る~井岡選手がプレッシャーをかけ続け、ニエテスを追い込み右!

 

11R、出血が止まらないニエテスに、井岡選手が機械のように追い詰めていく!

 

コンビネーションで攻める井岡選手に、ニエテスは単発しか出ない

 

12R、ポイントではリードしているだろう井岡選手から出ていく~ニエテスも右を振るが当たらない

 

ニエテスも必死に手は出すが、井岡選手は最後まで手を緩めず右でニエテスを追い込み試合終了

 

判定は、117-111 118-110 120-108 意外や大差3-0で井岡選手が5度目の防衛に成功!いいなぁ~こういう、お互いの得意な距離で闘いたい陣地の奪い合いみたいな技術戦は痺れるものがある。しかも、3分の中での攻勢劣勢があり 「このラウンドは井岡選手の手数か!?ニエテスのヒットか!?」と考えながら採点するスローでヒット具合を確認しながら観るテレビ中継ボクシングの醍醐味を味わった。

採点表を見ると1R、4R、5R、6R、10R、11R、12Rがジャッジ3者が井岡選手に10点。3R、9Rがジャッジ2者が井岡選手で、2R、のみがジャッジ2者がニエテスに10点。前半は老獪な動きを魅せたニエテスだったが、前戦でのデータと感覚を陣営で分析し実行できる井岡選手のボクシングIQの高さを魅せた井岡選手の完勝。

でも、井岡選手の勝ちでいいのだがフルマークや2ポイントしかニエテスに行かなかったか~という印象を残した試合。確かに井岡選手は攻勢を強め、顔も腫らしていないがジャバーが好きな私としては9.5-9.5と付けたいラウンドもあった。それでも井岡選手のパンチを打つ手と逆手のガードの素晴らしさ、多彩な角度のジャブなど3度観てもご飯のおかずになる1戦だった。

 

★視聴率は8%か~二桁いってほしかったなぁ~ 格闘技blogランキングをクリック格闘技 ブログランキングへにほんブログ村 格闘技ブログへにほんブログ村