観戦記2394 3団体統一バンタム級王座戦 井上尚弥vsノニト・ドネア | 人生マイペンライ

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《本日のDVD観賞》

 

私が生まれるちょうど20年前の1952年に、日本で初めてボクシング世界王者の白井義男さんが誕生する。そして70年経ち、世界王者不在時や日本人王者同士の統一戦などの時を経て2022年は世界王者誕生70年に相応しい年となった。なんと言っても 「日本ボクシング界最大の1戦」 と言われた、WBAミドル級スーパー王者の村田諒太選手とIBFミドル級王者のゲンナディ・ゴロフキンの統一戦 『観戦記2355』 さらに日本ボクシング最高傑作と云われる、WBAスーパー&IBFバンタム級王者の井上尚弥選手がWBCバンタム級王者のノニト・ドネアと日本初の3団体統一世界戦が開催された!

あのWBSSバンタム級トーナメントで、神に導かれるように決勝に進出し 『観戦記1606』 『観戦記1718』 埼玉スーパーアリーナで井上尚弥選手と名勝負を繰り広げた 『観戦記1832』 ノニト・ドネアは、最後の輝きだと思われた。しかし、コロナ禍で井上選手の4団体統一が進まず、WBO1位のジェイソンモロニー、IBF1位のマイケル・ダスマリナスと指名挑戦をアメリカで退けるも本格アメリカ進出は成らなかった。

そして、井上選手に判定負けしキャリアを終えるのかと思われたノニト・ドネアが、WBCバンタム級王座を獲得し再び埼玉スーパーアリーナで対戦となるとは想像もしなかった!

 

1993年4月生まれの井上尚弥選手は父親の真吾さんがアマチュアでボクシングをしていた事もあり、小学校1年生の時に父が経営するジムでボクシングを始める~史上初の高校7冠を達成し~ロンドン五輪を目指すが、アジア選手権決勝でカザフスタンのビルジャン・ジャキポフに負けて銀メダル。ロンドン五輪を諦めて父親の考えもあり、父から離れ大橋ジムに入門も 『塗装業を経営していた父が、それを捨ててまで自分たちのトレーナーに就いてくれたからもっと頑張らなきゃと思うし、親子で二人三脚でやって世界王者になる事が一番意味がある事だから他の人では駄目』 と、真吾さんもトレーナーとして大橋ジムに入る。

2012年10月のデビュー戦は、東洋太平洋ミニマム級7位のクリソン・オマヤオを4RでKO 『観戦記289』 早くも、日本ライトフライ級6位&東洋太平洋10位。2戦目は、2013年1月にTV的にはタイの王者ガオフラチャーン・チューワッタナを(知っている人は、ガオフラチャーンが日本での戦績が1勝6敗のそういうボクサー)110秒でKO 『観戦記366』そして4月の3戦目に日本ライトフライ級1位の佐野友樹選手を10RにTKO 『観戦記453』 8月に日本記録の辰吉丈一郎選手に並ぶ、4戦目での日本王者を狙って現WBCライトフライ級王者の田口良一選手の日本ライトフライ級王座に挑戦し判定で日本王座栄冠 『観戦記563』12月の5戦目に、小野心選手が返上した東洋太平洋ライトフライ級王座をヘルソン・マンシオと決定戦を行い5RにTKOで八重樫選手と並ぶ5戦目で栄冠。そして、2014年4月に当時は日本最速の6戦目で(現在は田中恒成選手が5戦目で奪取 『観戦記888』)アドリアン・エルナンデスを6RにTKOでWBCライトフライ級王座を栄冠。これは、師匠の大橋会長、大橋会長の師匠の米倉会長の6戦目での世界王者挑戦失敗の無念を晴らした50年越しの悲願達成。

 

9月には初防衛戦でサマートレック・ゴーキャットジムを11RにTKO勝ち~WBCライトフライ級王座を返上。強いな。と思いましたが、ボクシング関係者や大橋ジムの関係者や現役から聞く 『井上尚弥の減量前は怪物どころじゃない!ローマン・ゴンサレスに勝てる』 と言う言葉を信じきれなかった。 しかし・・・フライ級&スーパーフライ級で通算27度防衛しているWBOスーパーフライ級王者のオマール・ナルバエス(ノニト・ドネアにはフルボッコされたが(『観戦記38』)を衝撃の2RにKOして2階級制覇。怪物なんてものじゃなかった!とんでもない者を観た・・・同じ時代に生きていて良かったとさえ思えた 『観戦記1947』

 

しかし、強打者ゆえに拳を痛めて1年のブランクをつくる~2015年12月の初防衛戦でも、WBO1位のワルリト・バレナスをガードごと吹き飛ばして2RにKO 『観戦記1036』 5月の2度目の防衛戦では、試合中に両拳を痛めながらもパレナスと暫定王者決定戦で引き分けているWBO1位のデビッド・カルモナを圧倒し判定勝ち 『観戦記1121』 3度目の防衛戦も3位と伝えられていたが、ランキング1位で31歳のペッチバンボーン・ゴーキャットジムを10RにKO 『観戦記1190』

そして、防衛戦の1週間後の9月10日にカルロス・クアドラスのWBCスーパーフライ級王座に挑戦して 『観戦記1203』 4階級制覇したローマン・ゴンザレスをアメリカで視察し統一戦の気運も高まるが・・・井上陣営はWBAスーパーフライ級王者のルイス・コンセプシオンにも対戦オファーをしたらしいが、ルイス・コンセプシオンは12月10日にボクシング熱が燃え上がっているイギリスで防衛戦(しかし体重超過の上に判定負け) そして、そのルイス・コンセプシオンに8月にWBAスーパーフライ級王座を奪われた 『観戦記1188』 WBO10位の河野公平選手と4度目の防衛戦も6Rに見事すぎるTKO勝利 『観戦記1251』

 

2017年5月に、WBO2位のリカルド・ロドリゲスを3RにTKOで降し5度目の防衛に成功 『観戦記1321』 9月にはアメリカで開催されたSuper FlyでWBO7位のアントニオ・ニエベスを6R終了時TKOに降す 『観戦記1367』バンタム級に上げて山中慎介選手に挑戦の噂もあったが、山中選手が8月にルイス・ネリに4RにTKO負けし王座陥落 『観戦記1356』 井上選手はスーパーフライ級では統一戦も望めず、2018年にはバンタム級に上げる事を宣言し2017年年末にWBO6位のヨアン・ボワイヨを3RにTKOで降す 『観戦記1416』 そして2018年5月にWBAバンタム級王者のジェイミー・マクドネルに挑戦し(この時点で暫定王者にレイマート・ガバリョ、スーパー王者にライアン・バーネットがいるWBA3人王者問題)わずか1R112秒でKOして3階級制覇 『観戦記1470』

そして統一戦に飢えている井上選手にこれほど待ち望んだ大会はないWBSSに参戦し、2018年10月の1回戦で元WBAバンタム級スーパー王者のファン・カルロス・パヤノをわずか1R70秒でKO 『観戦記1588』

 

準決勝は2019年5月にイギリスで、IBF王者のエマヌエル・ロドリゲスを2RでKO 『観戦記1723』

 

そして10月に、運命に導かれたかのように勝ち上がってきた5階級制覇王者のノニト・ドネアとの決勝戦!2Rにドネアの左フックで右目を負傷するも、11Rに左ボディーでダウンを奪い判定勝ちしてWBSSバンタム級優勝 『観戦記1832』

 

4月にWBOバンタム級王者のジョンリエル・カシメロと3団体統一戦をする予定も、コロナウィルスの影響で延期~10月にWBA2位、IBF4位、WBO1位のジェイソン・マロニーをラスベガスで7RにKOする 『観戦記2053』

 

さぁ~4団体統一へ向けて!と思われたが・・・・王座戦には4団体で1番厳格なIBFが、エマニュエル・ロドリゲスへの挑戦権を掴むもWBSS開催で挑戦を2年待たされているIBF1位のマイケル・ダスマリナスとの防衛戦を指令され、2021年6月に再びラスベガスで挑戦を3RにTKOで退ける『観戦記2181』

 

そして、今度こそ統一戦かと期待されたが簡単には決まらず日本でWBA&IBF王座の防衛戦となりWBA10位&IBF5位のアラン・ディパエンを8RにTKOで降す 『観戦記2285』

 

このまま防衛戦なのか!?と思われたが、再び井上選手の前に現れたWBCバンタム級王者となったノニト・ドネアと3団体統一戦が日本で開催!

 

1982年11月にフィリピンボホール州で生まれたノニト・ゴンザレス・ドネアJrは、少年時代はイジメにあい自殺を考えた程の気弱な少年だったらしい。しかし、ボクシングをしていたお兄さんのグレン・ドネアの影響でボクシングを始める~フィリピン人ではあるが11歳の時に家族でアメリカに渡り、アマ戦績はアメリカで築く。16歳の時には、後のミドル級の世界ランカーになるジェームス・カークランドに勝利しナショナル・ジュニアオリンピックで優勝~2000年のシドニーオリンピック予選では、後のWBO&IBFライトフライ級、WBA&WBOフライ級王者になるブライアン・ビロリア に負けて オリンピック出場ならず~2001年にフライ級でデビューし1RでKO勝利も、2戦目にロセンド・サンチェスに判定負け~6戦目にカイチョン・ソーウォラピンを2RにKOしWBOアジア太平洋フライ級王座を獲得。その後も連勝を重ね、2006年1月にはカレン・ハルツニャンを2-1の判定で破りNABF北米スーパーフライ級王座を獲得~ホセ・ルイス・カルデナス 『観戦記317』 オスカル・アンドラーデ、ケビン・ハギンズを破る~2007年7月に兄のグレン・ドネアの敵討ちとIBFフライ級王座を目指し、猛牛ビック・ダルチニャンに挑戦し衝撃の5RTKOで初の世界王座を獲得 『観戦記28』

 

12月にはルイス・マルドナドを8RにTKOで初防衛に成功 『観戦記330』 2008年11月にモルティ・ムラザネを6RにTKOで2度目の防衛成功 『観戦記340』 2009年4月、3度目の防衛戦は無敗のラウル・マルチネスを4RでTKO 『観戦記139』 8月には階級を上げて、ラファエル・コンセプションのWBA暫定スーパーフライ級王座に挑戦し判定勝ちで2階級制覇 『観戦記345』 2010年2月に初防衛戦の予定も、ガーソン・ゲレロがドクターストップで代打のマヌエル・バルガスを3RでKO 『観戦記99』 あらためて7月の初防衛戦は、WBA10位のエルナン・マルケスを8RでTKO 『観戦記135』 12月にはバンタム級に上げて、元WBAバンタム級王者のウラジミール・シドレンコとWBA米大陸バンタム級王座決定戦をし寒気がするほど4RにKO 『観戦記115』 (私はこのシドレンコ戦のドネアが1番好き)

そして、長谷川穂積選手をKOして 『観戦記178』 WBC&WBOバンタム級王者の、フェルナンド・モンティエルに挑戦して衝撃の2RTKO勝ち 『観戦記2』

初防衛戦では無敗でWBOフライ級王座を16度防衛したオマール・ナルバエスを、ジャッジ3者とも120-108を付けるフルマークで完勝 『観戦記38』 2014年2月には、ウィルフレド・バスケスJrとWBOスーパーバンタム級王座決定戦をし判定勝ちで4階級制覇 『観戦記103』 7月にはIBFスーパーバンタム級王者のジェフリー・マセブラと統一戦をし大差判定勝ち 『観戦記225』 そして10月には、WBCスーパーバンタム級名誉王者の西岡利晃さんと統一戦をし(IBFは返上)9RでTKO勝ち 『観戦記297』

 

12月には5階級制覇のホルヘ・アルセを3RでKO 『観戦記349』そして、2014年4月にWBAスーパーバンタム級王者のギジェルモ・リゴンドーと統一戦をするも判定負け 『観戦記451』 11月の再起戦ではフェザー級契約で復讐に燃える、猛牛ビック・ダルチニャンを力ずくでKO 『観戦記623』 5月にはシンピウェ・ベチェカを5R負傷判定で破り5階級制覇 『観戦記799』 しかし、10月の正規王者のニコラス・ウォータースとの統一戦ではパワーの差が歴然で6RにTKO負け~2015年3月に再起戦でウィリアム・プラドとNABFスーパーバンタム級王座決定戦を争い2RにTKO 『観戦記859』 7月にはアントニー・セットウルを2RでKO 『観戦記948』 12月にはセサール・フアレスとWBOスーパーバンタム級王座決定戦を行い判定で栄冠 『観戦記1050』 初防衛戦は、2016年4月に故郷フィリピンでの凱旋試合となりWBO4位のゾルト・ベダックを圧倒し3RでTKO勝ち 『観戦記1231』 2016年11月にWBO1位のジェシー・マグダレノの挑戦を受けるも、マグダレノにスピード負けして判定負けで王座陥落 『観戦記1235』2017年に入りトップランク社との契約をドネアから契約解除を申し出て、元ゴールデンプロモーションのCEOリチャード・シェイファー率いるリングスター・スポーツ社と契約。9月にルーベン・ガルシア・エルナンデスとWBCフェザー級シルバー王座決定戦して、判定勝ちし王座栄冠~2018年4月に、元2階級制覇王者のカール・フランプトンとWBOフェザー級暫定王座決定戦で対戦するも判定負け~そして7年振りにバンタム級に落としてWBSSに参戦し、WBAバンタム級スーパー王者のライアン・バーネットを4R終了時にTKO勝ちで準決勝へ進出 『観戦記1606』

そして5月にゾラニ・テテと対戦予定も、テテが負傷でリザーバーのWBA5位ステファン・ヤングを6RにKOして 『観戦記1718』

 

ついに決勝へ進出も、11月に埼玉スーパーアリーナで井上尚弥選手に判定負けで準優勝 『観戦記1832』 敗けても評価を上げたドネアは、2020年に入りWBCバンタム級王者のノルディーヌ・ウバーリに挑戦予定もウバーリがコロナウィルスに感染し流れる~ウバーリが休養王者になり、エマニュエル・ロドリゲスとWBC王者決定戦となるもドネアがコロナウィルスに感染。ロドリゲスとレイマート・ガバリョで2020年12月にWBC暫定王座決定戦となりガバリョが2-1の判定勝ちで新王者~2021年5月に復帰してきたロドリゲスがドネアと防衛戦も、ドネアが4RにKO勝ちして王座奪取。

 

さらに12月には、WBC暫定王者のレイマート・ガバリョも4RにKOしてWBC王座を統一!

 

2戦連続で日本での試合となった井上選手だが、念願の王座統一戦がWBSS決勝で名勝負を繰り広げたドネアとの再戦!場所も同じ埼玉スーパーアリーナで実現したリマッチに、ファイトマネーも2億1000万円とも言われ4月の村田選手とともにボクシング世界王者の地位を上げる存在となる!

 

2022年6月7日 WBAスーパー&WBC&IBFバンタム級王座統一戦 井上尚弥vsノニト・ドネア

 

井上尚弥 22勝19KO無敗 WBA7度目、IBF5度目の防衛戦

 

ノニト・ドネア 42勝29KO6敗 WBC2度目の防衛戦

 

1R、ドネアが威嚇の意味もあるのか、いきなり左フックで入る!

 

井上選手はジャブで距離を取りながらも、強烈な左フックも返していく~ドネアがガンガン詰めてくるが、かわした井上選手は左フック!

 

ドネアが前に出続けるが、井上選手も早くも振っていく~ドネアが踏み込んできたところに、井上選手が死角から右ショートを打ち降ろす!

 

ドネアは一瞬意識が飛んだか!?虚ろげな表情でダウン!

 

それでもドネア立ち上がり、井上選手が詰めるもラウンド終了のゴング

 

2R、井上選手が左を伸ばす~ドネアがダッキングしながら左フックて入ってくるも、井上選手の左フックがドネアを捕らえる!

 

ドネアも体格を活かして押し返すが、井上選手の左フックにグラつく!

 

一気に井上選手がラッシュ!ドネア効いている!

 

井上選手が右!ドネアは打たれながらも、打ち終わりに左フックを狙う!

 

さらに井上選手が強烈な左ボディー~ドネアも押し込んでいき右アッパー!

 

頭を付けた展開から、井上選手の左フックでドネアの足が踊る!

 

井上選手が一気に極めにいく~連打でドネアをロープに追い込む!

 

コーナーに詰まったドネアに、井上選手がワン・ツー~左フック!

 

ドネア吹っ飛んだ!これは無理!井上選手はコーナーに上って雄叫びも、後方では父親の真吾トレーナーはドネアを気遣い走る!

 

見事に井上選手が、宣言通りに「ドラマ」にはさせない一方的なKO勝利!雪辱成らなかったドネアだが、四方の観客に深々と頭を下げて」からリングを降りる。そして、先導する日本人スタップが転んだのを見て自ら身体を起こしにいく素晴らしき人間性。

 

いや~井上選手の的確かつ爆発的なパンチで、WBAスーパー7度目&IBF5度目の防衛に成功するともにWBC王座も獲得して3団体統一バンタム級王者になる!井上選手は、試合開始直後にいきなり放たれたドネアの左フックに 『おかげでしっかりとピリついて、試合を立て直せた』 と話すなど完璧な内容で、2年7ヶ月前に判定に持っていかれたドネアを完璧に斬ってみせた。それでも井上選手は肩を痛めていたらしく、2週間に1回注射を打っていたらしい。

今後は当然4団体統一を目指す井上選手だが、ジョンリエル・カシメロの王座剥奪によりWBOバンタム級王座決定戦で新王者になったポール・バトラーは 『4団体王者になるチャンスを逃す手は無い』 と日本開催でもいいと言っている。早くも井上選手陣営化が年末に都内会場を押さえたとの噂もあり、2022年10月?12月?に4団体統一戦が日本で開催されるのか!?

ついにリング誌のパウンド・フォー・パウンドランキングでも1位となった井上選手に契約するTOP RANK社のボブ・アラムも 『バトラーとの4団体統一戦実現を望んでいる。帝拳ジムの本田明彦会長と方向性を話し合う。金銭的な状況次第だが日本開催で構わない。日本ではアマゾンプライムがボクシングビジネスに参入し、先日の試合で素晴らしい成果を上げた(配信初日視聴数史上1位)と聞いている。彼らが次戦も日本開催を望むのであれば私たちも構わない。できれば年内に井上の試合を米国でも組みたいが、次戦でなくても構わない』 と話す。

 

★ドネアには実父からも引退を薦めるコメントが出ていたが・・・ 格闘技blogランキングをクリック格闘技 ブログランキングへにほんブログ村 格闘技ブログへにほんブログ村