観戦記2251 WBOアジアパシフィックバンタム級王座戦 比嘉大吾vs西田凌佑 | 人生マイペンライ

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《本日のDVD鑑賞》

 

ボクシング軽量級の体重の刻み方は、他のスポーツには無い細かく刻んで設定されている。歴代の日本のジム所属世界王者94人の中でも(勇利アルバチャコフ、オルズベック・ナザロフ、イーグル・デン・ジャンラパン、ホルヘ・リナレスを含む)17階級中4番目に軽いスーパーフライ級(52.163kg)までの世界王者が51人(バンタム級まで制したファイティング原田さん、井上尚弥選手を除いても)と、半数以上。1990年代中盤から前日計量になったのもあり、水抜きなどの失敗で計量オーバーするケースがある。1番軽いミニマム級(47.627kg)から4番目のスーパーフライ級ま(52.163kg)4.536kgまでに4階級あるのもそれだけギリギリの減量のうえだろう。井上尚弥選手のライトフライ級時代から、スーパーフライ級~バンタム級になってからのパワーの違いを観てしまうと、年齢もあるが「適正階級とは」と考えてしまう。

そして、日本のジムで初めて世界王座戦での体重オーバーによる王座剥奪をしてしまった元WBCフライ級王者の比嘉大吾選手。フライ級時代の(50.802kg)15連続KOでの世界王座奪取~2度の防衛。しかし、計量オーバーからの王座陥落~バンタム級(53.524kg)での再起ロードを観ていると、ボクシング&減量の難しさを感じてしまう。

 

1995年8月に沖縄の浦添市で生まれた比嘉選手は、野球少年だったらしいが高校からボクシングを始める~高校卒業後はオリンピック日本代表選手を目指して大学進学を希望するが、具志堅用高さんから実家にスカウトの電話が入りプロ転向を即決。2014年6月にデビューし、セーンゲン・サックナロンを1RでKO~タイ人、フィリピン人、フィリピン人をKOして6連続KOまで伸ばす。そして、2015年7月に敵地タイでコンファー・CPフレッシュマートとWBCユース・フライ級王座決定戦を行い7RにKOして王座獲得。

初防衛戦は、2015年11月にフィリピンのレンレン・テソリオを10RでTKO~2度目の防衛戦は、2016年3月にロメル・オリベロスを2RでTKO 『観戦記1311』 そして、7月に東洋太平洋フライ級王者のアーデ ン・ディアレを4RでKOし王座獲得 『観戦記1158』 初防衛戦でフィリピンのフェリペ・カグブコブJrを4RにKOして初防衛に成功 『観戦記1312』さらに2017年2月の世界前哨戦でフィリピンのディオネル・ディオコスを4RにTKO勝利 『観戦記1294』 そして、5月に計量オーバーで王座を剝奪されたファン・エルナンデスとWBCフライ級王座決定戦で争い6RにTKO勝ちで王座栄冠 『観戦記1319』

 

10月には、WBC5位のトム・マソンを7Rに心ごとTKOで沈め初防衛に成功 『観戦記1391』2度目の防衛戦は、2018年2月に地元の沖縄でWBC8位のモイセス・フエンテスを1RでKO 『観戦記1424』 浜田剛史さんの15連続KOに並ぶ。

そして、2018年4月に新記録を賭けてWBC2位のクリストファー・ロサレスと3度目の防衛戦も・・・・前日計量でフライ級リミットの50,8kgを900gオーバーして王座剝奪~当日の上げ幅を55.3kgに設定されて試合は開催されるが、9Rにセコンドからタオルが投げられTKO負け 『観戦記1441』

 

JBCより無期限の出場停止と復帰の際には1階級以上のアップの処分が降され、比嘉選手は自暴自棄な生活を送ったらしく体重も68kgぐらいまでいったらしい 『1回世界チャンピオンにもなれたし、もういいかな・・・ボクシングを辞めるつもりでいました。月に使っている金額と収入が合わなくて、このままじゃ破産するって言われて。じゃボクシングをやろうかと』そして、2020年2月に2年振りの復帰戦でフィリピンバンタム級13位のジェイソン・ブエナオブラを6RにTKOで降す 『観戦記1896』 しかし、所属ジムで師事していた野木トレーナーがジムを辞めた事もありモチベーションが上がらずに引退を口にする・・・・が!野木トレーバーが所属するAmbition Gymに移籍し、高校時代に2戦2敗だった堤聖也選手とドロー 『観戦記2064』 大晦日にWBOアジアパシフィックバンタム級王者のストロング小林佑樹選手に挑戦し、5Rにアッパー連打でKOして王座栄冠 『観戦記2081』

 

そして、3年2ヶ月振りの沖縄凱旋試合となる初防衛戦の挑戦者はWBOアジアパシフィック5位の西田凌佑選手!

 

1996年8月に奈良県香芝市に生まれた西田凌佑選手は、中学生の時は陸上部に所属し奈良県立王寺工業高校時代にボクシングを始める~2014年度国体少年の部フライ級で優勝。近畿大学に進学し、元WBAスーパーフライ級王者の名城信男さんの指導を受ける。

大学を卒業し、2019年10月にタイでデビューしてサコン・ケークンに1RでTKO勝ち~12月には日本でパブリト・カナダに判定勝ち~2020年12月には、元日本王者バンタム級王者の大森将平選手と123ポンド(スーパーバンタム級122ポンド)契約の1戦を判定勝ちして日本スーパーバンタム級&WBOアジア5位にランクされる。

 

地元・沖縄で3年2ヶ月振りの試合となる比嘉選手が、WBOアジア王座の初防衛戦でバンタム級での世界ランキング上げる事が出来るか!?スーパーバンタム級で闘ってきた西田選手は身長170cmと比嘉選手より8cm(9cm?)高く、サウスポーを生かしてタイでデビューした強心臓振りで元世界王者を喰うか!?

 

2021年4月21日 WBOアジアパシフィックバンタム級王座戦 比嘉大吾vs西田凌佑

 

比嘉大吾 17勝17KO1敗1分 元WBCフライ級王者

 

西田凌佑 3勝1KO無敗 WBOアジアパシフィック5位

 

1R、比嘉選手はいつも通りガード高く体勢低く詰めていく~やはり、大きい西田選手は長いパンチで止める!

 

西田選手は廻りながら打っていく~入っていきたい比嘉選手だが、真っすぐすぎてかわされる

 

それでも比嘉選手は、ガンガン突っ込む~西田選手は、サウスポーらしく右フックで廻す

 

2R、やはり比嘉選手は、多少貰おうとも低く入って打っていく!

 

しかしパンチが続かない比嘉選手は、西田選手に廻られて上下に打たれる!

 

徐々に西田選手が前に出て手数を増し、比嘉選手を追い込んでいく!

 

3R、ゴングと同時に飛び込んでいく比嘉選手が連打~的中率は悪いか!?

 

西田選手が右を伸ばして距離を取ると、比嘉選手の手数が止まる~西田選手の上下の打ち分けが上手い

 

しかし比嘉選手は、打たれようが頭から突っ込んで押し込んでいくがクリーンヒットは奪えない

 

4R、比嘉選手が気持ちの入ったフルスウィングで振っていく~しかし、入りすぎて転倒してしまう

 

突っ込んでくる比嘉選手に、西田選手は廻りながらボディーを叩く~左右のフック!

 

さらに西田選手は、廻りながら左ストレートで突き離していく!

 

5R、突っ込む比嘉選手と廻る西田選手~比嘉選手の右ストレートも、西田選手はしっかりガード

 

それでも比嘉選手は振り回していく!廻る西田選手は、ボディー~左カウンター!

 

6R、比嘉選手が頭を付けての接近戦に持ち込む~ロープに押し付けボディー!

 

西田選手も左右のボディー~手数で西田選手が押し返す!

 

7R、西田選手が細かくパンチを打ち、比嘉選手がガードを固めたところにボディー!

 

比嘉選手も右を振るがかわされ、西田選手が連打で比嘉選手をロープに追い込み連打!

 

比嘉選手は、ボディーが効いているのか手数が止まる~西田選手が追い回してボディー!

 

8R、ラウンド開始直後から比嘉選手がラッシュ!廻る西田選手を追いかけ右!

 

しかし西田選手は、廻りながらポンポン上下に打っていく!

 

9R、やはり比嘉選手が開始と同時に出るが、西田選手がボディーで迎え撃つ!

 

比嘉選手は前に出るが、手数は西田選手が圧倒する!

 

10R、比嘉選手が右で突っ込む~廻る西田選手がカウンターの左!

 

それでも比嘉選手はモノ凄いラッシュ~西田選手は、クリンチもしながらいなして右フック!

 

しかし比嘉選手は、しつこく詰めていき右!一瞬、西田選手の腰が落ちる!

 

11R、ポイントでは厳しいだろう比嘉選手が出る~廻りながら西田選手も返す~ボディーを突き刺す!

 

さらに西田選手が押していき、ボディーで比嘉選手をロープに押し込む!

 

揉み合いでも西田選手が打ち勝つ~下がった比嘉選手にボディー!

 

12R、体を寄せての接近戦でも、西田選手が打ち勝つ~下がる比嘉選手にボディー連打!

 

比嘉選手は出られない~西田選手が先に先に打ちまくる!

 

判定は117-111 117―111 118-110 3-0で西田選手がWBOアジアパシフィック王座を奪取!

 

あわずかプロ4戦目の西田選手が、見事に元世界王者の比嘉選手に完勝といっていい勝利!西田選手は 『嬉しい気持ちでいっぱいです。比嘉選手は元世界王者で、しんどい試合でした。実感はまだありません。』 と話す。これで西田選手の世界ランキング入りが確実となり、西田選手の陣営は 『想定した中で12ラウンドを終えれた。チャンスがあれば、何時でも何処でもやります!』 と、日本タイ記録となる5戦目での世界挑戦も見据えるが、西田選手は世界戦に 『最終的な目的ではあるが・・・決まった試合を1つづつクリヤーしていきたい。』 と、話す。

接近戦での強打でフライ級世界ランカーをなぎ倒してきた比嘉選手だったが、体格で2回り大きい西田選手に覆い被されるように前に出られボディーを効かされて手数も止まった。当たり前だが体重競技のボクシングで、前日計量は同じであっても上げてきた選手と下げてきた選手の差がありすぎた。しかし・・・・これが格闘技であり、比嘉選手は今後もバンタム級で闘っていくのだろうか!?それを考えると井上尚弥選手も、スーパーフライ級以降からの無双ぶりを観るとライトフライ級は世界王座を奪取~防衛戦はもったいなかったか!?複数階級制覇が特別な王者になる主流だが、適正階級というのは難しくボクシング&減量という 「あしたのジョー」 からの日本の考え方も変革期なのかも。

 

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