観戦記1898 WBOスーパーフェザー級王座戦 ワシル・ロマチェンコvsギジェルモ・リゴンドー | 人生マイペンライ

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《本日のTV鑑賞》

 

「モンスター」井上尚弥選手がデビューしたのが2012年10月、そして「ハイテク」ワシル・ロマチェンコがデビューしたのが2013年10月。

世界的にはロマチェンコの衝撃はデビュー時から話題になっていたが、井上選手は2018年10月には井上尚弥選手がジェイミー・マクドネルを1Rで押しつぶすようなTKO勝利し3階級制覇 『観戦記1470』 そして、WBSSバンタム級で見事な優勝 『観戦記1588』 『観戦記1723』 『観戦記1832』 でパウンド・フォー・パウンドランキングがグングン上がった。

しかし、やはり軽量級なのもあってか・・・・なかなか抜けないのは、実力者であり人気者の4階級制覇王者のサウル・アルバレス、そして井上選手にデビューは1年遅れながら初の世界王座は井上選手が王座栄冠の2ヶ月後、しかし2階級制覇はフェザー級王座を3度防衛したので、1年半後なってしまったのが‘ハイテク‘ワシル・ロマチェンコ!

 

ワシル・アナトリヨビッチ・ロマチェンコは、1988年2月にまだソ連領だったウクライナ南部のビルホロド・ドニストロフスキーという町で生まれる(3年後にソビエト連邦からウクライナは独立)父親が元アマチュアのボクサーで、母親が体操のコーチ、姉が体操選手というアスリート一家で育つ。ロマチェンコは父の指導で、幼い頃からボクシングをして2004年には17歳以下を対象にしたU-17欧州大会で優勝~2006年にはジュニア五輪で優勝~2007年の世界選手権では、シニアのフェザー級決勝でロシアのアルベルト・セリモフに16:11で敗北し準優勝。

2008年の北京五輪ではフェザー級で金メダル、2009年の世界選手権でも金メダル、2011年の世界選手権も金メダル、2012年のロンドン五輪ではフェザー級が無かったのでライト級で金メダルを獲得。なんと!アマで396勝1敗の超人的な戦績でプロに転向。2013年10月にデビューし、WBOフェザー級7位のホセ・ラミレスを4RにKO 『観戦記604』 わずか1戦で世界ランク入り~プロ2戦目で当時WBOフェザー級王者のオルランド・サリドに挑戦するが、サリドは計量オーバーで王座剥奪、頭から突っ込む、ホールディング、ローブローとベテランの味を出しまくられ 1-2 の判定負けで最短王座奪取記録更新ならず 『観戦記723』

しかし3戦目にゲーリー・ラッセルJrとのWBOフェザー級王座決定戦を2-0で勝利し、見事にプロ3戦目の最速タイ記録で王座栄冠 『観戦記817』 初防衛戦はマカオで、マニー・パッキャオvsクリス・アルジェリの前座で チョンラッターン・ビリヤンヨーに判定勝ち~2度目の防衛戦は、あのメイウェザーvsパッキャオの 『観戦記865』 前座でWBO1位のガマリエル・ロドリゲスを9RにKO 『観戦記886』 3度目の防衛戦は、1月にWBOフェザー級7位のロムロ・コアスチャに粘られるも10RにKO 『観戦記1035』 そして正確にはWBOフェザー級王座を保持したまま、プロ7戦目で2016年6月にWBOスーパーフェザー級王者のローマン・マルチネスに挑戦し圧倒的な強さで5RにKO勝ちして 『観戦記1236』 世界最速の7戦目での2階級制覇を達成!

 

2016年11月の初防衛戦で、2階級制覇を狙うニコラス・ウォータースを7R終了時にギブアップに追い込む 『観戦記1486』 ついに100$(約1億1000万)のファイトマネーを得る~2017年4月には、元WBA王者でWBO2位のジェイソン・ソーサを9R終了時にギブアップに追い込み2度目の防衛に成功 『観戦記1674』そして、わずか4ヶ月で3度目の防衛戦にWBO10位のミゲール・マリアガを迎え7R終了後にギブアップさせ3試合連続のロマチェンコ勝ち 『観戦記1792』

 

そして、もう敵がいない!と、言われた中で迎えた4度目の防衛戦には同じくオリンピック2連覇のWBAスーパーバンタム級王者のギジェルモ・リゴンドー・オルティス!

 

EL Chacal(ジャッカル)の異名を持つ、1980年9月にキューバで生まれたリゴンドーは、2000年8月、20歳の時にシドニー五輪でバンタム級金メダル~2001年の世界選手権も金メダル~2003年7月の世界選手権は2回戦負け~8月のパン・アメリカ選手権では、後の3階級制覇王者になるアブネル・マレスを決勝で破り金メダル~2004年8月のアテネ五輪もバンタム級で金メダルを獲得~2005年の世界選手権でも金メダルを獲得~2007年7月のブラジルで開催されたパンアメリカン大会出場中に、後のWBAスーパーウェルター級王者のエレスランディ・ララと深夜に亡命を企てるが失敗し拘束される。監視体制を取られキューバ代表からも外されて、20 08年の 北京五輪は出場できず。しかし、2009年2月にボートでメキシコのカンクンに渡りさらにアメリカに辿り着き亡命に成功する~わずか3ヶ月後の5月にはアメリカでデビューし、フアン・ノリエガを3RにTKO勝ち~7月には、ロバート・ギーエンを1RでTKO勝ち~9月には、ジョバンニ・アンドラーデとNABA北米スーパーバンタム級王座決定戦で争い3RにTKO勝ちで王座栄冠~12月に、ランテ・アディーに判定勝ち~2010年2月に、アドルフォ・ランデロスを1RでKO~8月に、ホセ・アンヘル・ベランサを7RにTKO勝ち~11月に、元WBAスーパーバンタム級王者のリカルド・コルトバとWBAスーパーバンタム級暫定王座決定戦でダウンを取るが、リゴンドーもダウンを喫し 2-1の判定で世界王座栄冠~2011年3月には、WBA11位のウィリー・ケーシーを1RにTKO勝ちし初防衛に成功~2012年1月に、下田昭文さんから王座を奪ったWBAスーパーバンタム級正規王者のリコ・ラモスと統一戦をして6RにKO勝ちで王座を統一し2度目の防衛に成功 『観戦記121』 6月に、WBA14位のテオン・ケネディと3度目の防衛戦も5RにTKOで防衛に成功~9月にWBA15位のロバート・マロキンを判定で降し、4度目の防衛に成功

 

そして5度目の防衛戦にリゴンドーが度々挑発し対戦を望んだ、この時点で4階級制覇のWBOスーパーバンタム級王者のノニト・ドネアと統一戦をし、ダウンを奪われるも完勝 『観戦記451』 WBA5度目の防衛に成功とともにWBO王座とリングマガジン王座も獲得。

 

しかし、中継をするHBOは「リゴンドーの試合は退屈」と、中継の取りやめを検討し、HBOが主宰する 『チャンピオンたちの夕食会』 に敗れたドネアは招待するがリゴンドーは招待されない。12月に、WBA12位で元IBFバンタム級王者のジョセフ・アグベコにジャッジ3者ともフルマークの判定勝ちしWBA6度目、WBO初防衛に成功~7月に、後に和氣慎吾選手をKOしIBFスーパーバンタム級王者になり 『観戦記1163』 小国選手に王座を奪われた 『観戦記1259』 全勝全KO中のジョナタン・グスマンと対戦が決まるも、ファイトマネーで合意せず流れて、WBA8位&WBA5位のソッド・ゴーキャットジムを1RにKOしWBA7度目とWBOの初防衛に成功~しかし、大手プロモーションのトップランク社から契約を切られる~WBOからの指名試合もクリス・アバロスは避けて、なんと!2014年の大晦日に日本で天笠尚選手と闘い、2度のダウンを奪われるも11R終了時にTKO勝ち~2015年に入り、WBAスーパーバンタム級正規王者のスコット・クィッグや当時WBOフェザー級王者のワシル・ロマチェンコとの対戦の話があがるが決まらず・・・・2015年10月にはWBOスーパーバンタム級王座は剥奪⇒WBAはスーパー王者ではなくなり休養王 者・・・WBAの対応にはツッコミどころ満載ですが、11月にラッパーのジェイ・Z率いるロック・ネイションとマネージメント契約を結ぶ。そして!急遽、ミゲール・コットvsサウル・アルバレス 『観戦記1009』  三浦隆司vsフランシスコ・バルガス 『観戦記1012』 のビックマッチの中で1年振りのノンタイトル戦が決まり、ドリアン・フランシスコと何故か!?WBCスーパーバンタム級インターナショナル王座決定戦で対戦し 『観戦記1031』 ジャッジ2者がフルマークの判定勝ち。しかし、アメリカでの評価は低く 『もうリゴンドーはアメリカで試合をすることはないはずだ』 と、まで言われる。そしてWBAは、2016年2月のWBA&IBFスーパーバンタム級王座統一戦 『観戦記1145』 スコット・クィッグvsカール・フランプトンの勝者とリゴンドーに統一戦の指令を出す~リゴンドーは3月にジェームス・ディケンズとの対戦が決まっていたが、プロモーターの不手際でイギリスへのビザが降りず延期。スコット・クィッグに勝利したカール・フランプトンはリゴンドーとの王座統一戦を避けて?フェザー級に階級を上げて、WBAフェザー級スーパー王者のレオ・サンタ・クルスに挑戦し王座奪取 『観戦記1378』 そして、改めてリゴンドーがイギリスに乗り込んでのWBA10位のジェームス・ディケンズと対戦し2RにKO勝利 『観戦記1380』

そして、2017年2月にWBAスーパーバンタム級暫定王者のモイセス・フローレスと統一戦が決まるが・・・・今度は大会のメインカード、ミゲール・コットvsジェームス・カークランドが流れて大会が中止。そして再度、フローレスと仕切り直しとなり11ヶ月振りの試合を1R終了時KOするが・・・リゴンドーが放ったパンチが1R終了のゴング後で「パンチは意識的に放ったものではなく、攻防の流れの中で繰り出したもの」と、するものの裁定は無効試合 『観戦記1711』

 

3試合連続で「ロマチェンコ勝ち」と呼ばれる対戦相手をコーナーから立がらせずに諦めさせるロマチェンコが、対戦相手の光を消して完勝し、挑戦者が名乗り出なく試合が組まれないリゴンドーとまさかの2階級を飛び越えた金メダリスト対決!ロマチェンコのアマチュアでの唯一の1敗はサウスポーだっただけにリゴンドーのスピードがハイテクを惑わすことができるか!?

 

2017年12月9日 WBOスーパーフェザー級王座戦 ワシル・ロマチェンコvsギジェルモ・リゴンドー

 

ワシル・ロマチェンコ 9勝7KO1敗 4度目の防衛戦

 

ギジェルモ・リゴンドー 17勝11KO無敗1無効試合

 

1R、ロマチェンコは、慎重にステップを踏みながら廻る~リゴンドーはドッシリ構えて凄まじい初速で踏み込む!

 

2R、リゴンドーは近い距離になると、巧くホールドしながら距離を取りスピードで勝負~ロマチェンコは、手数多く細かくジャブを打ちながらプレッシャーをかけていく

 

3R、高度過ぎる駆け引きをし合っている両者~その中でも、ロマチェンコの手数が増す!リゴンドーは柔らかくかわすが、反撃ができなくクリンチを連発

 

4R、ロマチェンコのスピードが増す!手数もさらに多くなり、リゴンドーはほとんど返せなくなり追い廻される!

 

リゴンドーは距離を取るかクリンチをするが、ロマチェンコは手数多く素晴らしいステップでリゴンドーを追い詰めパンチを当てていく!

 

5R、まさにリゴンドーは手も足もでない~下げさせられて、ロマチェンコに狙い打たれる!

 

なんとか避けようとリゴンドーは低く頭を振るが、ロマチェンコはサイドに廻り込みながら打ち降ろす!

 

6R、あのリゴンドーがスピード負けしてサイドも取れれ動けない~リゴンドーはホールドばかりで減点1を受ける

 

リゴンドーは必死に右に廻るが、ロマチェンコに簡単に追い詰められて狙い打たれる!

 

ラウンド終了後にリゴンドー陣営はギブアップ!4試合連続のロマチェンコ勝ち!

 

見事にロマチェンコが、WBOスーパーフェザー級王座の4度目の防衛に成功。アマチュア時代からダンスで鍛えたと云われる下半身の強さと滑るような華麗な動きだが、スーパーフェザー級に上げてからのあの動きをしながら強いパンチを打てることが現代ボクシングの最終系とも呼ばれるところなのだろう。

初黒星を喫したリゴンドーは2Rの時点で左手を痛めたらしいが、2Rで完璧に距離を支配したロマチェンコに階級下のリゴンドーに勝ち目は消えた。頭を上げるリゴンドーを、オチョクルように後頭部をポンポン叩くロマチェンコを焦らせコンピューターを狂わせる相手として、この試合後に6階級制覇のマニー・パッキャオとの対戦話が上がるほどだった。

そしてロマチェンコの次戦は、世界最速12戦目での3階級制覇を狙ってWBAライト級王者の3階級制覇王者のホルヘ・リナレスと半年後の2018年5月に対戦!

 

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