こんにちは。
昨日からマイナンバーカードと運転免許証及び運転経歴証明書の一体化が開始されました。
一体化を希望すれば、免許証の代わりに免許情報の記録されたマイナ免許証を保有することが可能、つまり、合わせて1枚で済む。
ただ、初日から「マイナ免許証読み取りアプリ」の不具合が出て、不安な立ち上がりに。
ただでさえ、いろいろ結び付けるところに不安があるのに、こう言う不具合があると不安を増幅する要因になりますよね。
さて、どうするか 考え時ですね。
今日の過去問は、令和6年度問10の問題を○×式でやりたいと思います。
行政法における一般原則に関する最高裁判所の判例について説明する記述について、検討してみましょう。
それでは、早速。
問題
法の一般原則である信義則の法理は、行政法関係においても一般に適用されるものであるとはいえ、租税法律主義の原則が貫かれるべき租税法律関係においては、租税法規に適合する課税処分について信義則の法理の適用により当該課税処分を違法なものとして取り消すことは、争われた事案の個別の状況や特段の事情の有無にかかわらず、租税法律主義に反するものとして認められない。
正解は?
×
今日は、行政法における「一般原則」に関する最高裁判所の判例。
今日の問題は、1問が長い。
早速、始めますが、、、1問目は、
法の一般原則である信義則の法理は、
↓
租税法律主義に反するものとして認められない。
ぶった切るとこうなります。(笑)
過去問がいくつか出てくるんですが、同じ内容が問われたのは、
問
法の一般原則である信義誠実の原則は、私人間における民事上の法律関係を規律する原理であるから、租税法律主義の原則が貫かれる租税法律関係(肢:租税法律主義)には適用される余地はない(肢:反するものとして認められない。)。×
昭和60(行ツ)125 相続税更正処分等取消、所得税更正処分等取消昭和62年10月30日 最高裁判所第三小法廷 判決 破棄差戻 福岡高等裁判所 |
租税法規に適合する課税処分について、
法の一般原理である信義則の法理の適用により、右課税処分を違法なものとして取り消すことができる場合があるとしても、
法律による行政の原理なかんずく租税法律主義の原則が貫かれるべき租税法律関係においては、右法理の適用については慎重でなければならず、
租税法規の適用における納税者間の平等、公平という要請を犠牲にしてもなお当該課税処分に係る課税を免れしめて納税者の信頼を保護しなければ正義に反するといえるような特別の事情が存する場合に、初めて右法理の適用の是非を考えるべきものである。
つまり、特別な事情があれば、信義則の法理の適用で課税処分の取り消しが認められる余地があると。
この肢は、間違いの記述ってことですね。
問題
特定の事業者の個室付浴場営業を阻止する目的で町が行った児童福祉法に基づく児童福祉施設の認可申請に対し、県知事が行った認可処分は、仮にそれが営業の阻止を主たる目的としてなされたものであったとしても、当該処分の根拠法令たる児童福祉法所定の要件を満たすものであれば、当該認可処分を違法ということはできないから、当該個室付浴場営業は当然に違法となる。
正解は?
×
2問目は、この問題。
この判例の争点は、山形県知事のb児童遊園設置認可処分の適法性、有効性です。
特定の事業者の個室付浴場営業
↕
これを阻止する目的で町が行った児童福祉法に基づく
児童福祉施設の認可申請
個室付浴場営業は、当時は、トルコぶろ(現ソープランド)と言われたものです。
問題要点としては、児童福祉施設の近くに風俗営業のお店があるのは好ましくないってことで、知事が判断して認可処分を行ったこと。
過去問よりも問題の内容が具体的ですね。
昭和50(あ)24 風俗営業等取締法違反昭和53年6月16日 最高裁判所第二小法廷 判決 破棄自判 仙台高等裁判所
風俗営業等取締法は、学校、児童福祉施設などの特定施設と個室付浴場業(いわゆるトルコぶろ営業)の一定区域内における併存を例外なく全面的に禁止しているわけではない(同法四条の四第三項参照)ので、
被告会社のトルコぶろ営業に先立つ本件認可処分が行政権の濫用に相当する違法性を帯びているときには、b児童遊園の存在を被告会社のトルコぶろ営業を規制する根拠にすることは許されないことになるからである。
結論
本来、児童遊園は、児童に健全な遊びを与えてその健康を増進し、情操をゆたかにすることを目的とする施設(児童福祉法四〇条参照)なのであるから、児童遊園設置の認可申請、同認可処分もその趣旨に沿つてなされるべきものであつて、
前記のような、被告会社のトルコぶろ営業の規制を主たる動機、目的とするa町のb児童遊園設置の認可申請を容れた本件認可処分は、行政権の濫用に相当する違法性があり、被告会社のトルコぶろ営業に対しこれを規制しうる効力を有しないといわざるをえない。
問題では、個室付浴場営業は当然に違法となると言っていますので、この肢は、間違いの記述です。
トルコぶろの規制を目的にされた児童福祉施設の設置認可処分は、行政権の濫用に相当する違法性があるので、トルコぶろ営業を規制する効力はない=トルコぶろ営業は違法とはならないって判断です。
問題
特定の事業者の廃棄物処理施設設置計画を知った上で定められた町の水道水源保護条例に基づき、当該事業者に対して規制対象事業場を認定する処分を行うに際しては、町は、事業者の立場を踏まえて十分な協議を尽くす等、その地位を不当に害することのないよう配慮すべきであるが、このような配慮要請は明文上の義務ではない以上、認定処分の違法の理由とはならない。
正解は?
×
3問目は、この問題。
町の水道水源保護条例
↓
特定の事業者の廃棄物処理施設設置計画を
知った上で定められた
当該事業者に対して
規制対象事業場を認定する処分を行うに際しては、
町は、
事業者の立場を踏まえて十分な協議を尽くす等、
その地位を不当に害することのないよう配慮すべきであるが、
問題では、「このような配慮要請は明文上の義務ではない以上、認定処分の違法の理由とはならない。」と言っています。
「廃棄物処理施設設置計画」で検索しても出てきません。
お初の判例です。
平成12(行ツ)209 規制対象事業場認定処分取消請求事件平成16年12月24日 最高裁判所第二小法廷 判決 破棄差戻 名古屋高等裁判所
本件条例は、上告人が三重県知事に対してした産業廃棄物処理施設設置許可の申請に係る事前協議に被上告人が関係機関として加わったことを契機として、上告人が町の区域内に本件施設を設置しようとしていることを知った町が制定したものであり、
被上告人は、上告人が本件条例制定の前に既に産業廃棄物処理施設設置許可の申請に係る手続を進めていたことを了知しており、
また、同手続を通じて本件施設の設置の必要性と水源の保護の必要性とを調和させるために町としてどのような措置を執るべきかを検討する機会を与えられていたということができる。
そうすると、被上告人としては、上告人に対して本件処分をするに当たっては、本件条例の定める上記手続において、上記のような上告人の立場を踏まえて、上告人と十分な協議を尽くし、上告人に対して地下水使用量の限定を促すなどして予定取水量を水源保護の目的にかなう適正なものに改めるよう適切な指導をし、上告人の地位を不当に害することのないよう配慮すべき義務があったものというべきであって、本件処分がそのような義務に違反してされたものである場合には、本件処分は違法となるといわざるを得ない。
「明文上の義務」云々ではなく、本件に関しては、配慮すべき義務があり、配慮義務違反が、認定処分の違法の理由になる。
この肢は、間違いの記述です。
問題
地方公共団体が将来にわたって継続すべき施策を決定した場合でも、当該施策が社会情勢の変動等に伴って変更されることがあることは当然であるが、当該地方公共団体の勧告ないし勧誘に動機付けられて施策の継続を前提とした活動に入った者が社会観念上看過することのできない程度の積極的損害を被る場合において、地方公共団体が当該損害を補償するなどの措置を講ずることなく施策を変更することは、それがやむをえない客観的事情によるのでない限り、当事者間に形成された信頼関係を不当に破壊するものとして違法となる。
正解は?
○
4問目は、この問題。
この内容、令和3年にも取り上げられているんですが、、、
ご紹介するのは、
問43ですから、多肢選択式。
昭和51(オ)1338 損害賠償 昭和56年1月27日 最高裁判所第三小法廷 判決 その他 福岡高等裁判所 那覇支部
問題を転載します。
長いので、読みやすいように分割します。
・・・[ア:住民自治]の原則は地方公共団体の組織及び運営に関する基本原則であり、また、地方公共団体のような行政主体が一定内容の将来にわたって継続すべき施策を決定した場合でも、右施策が社会情勢の変動等に伴って変更されることがあることはもとより当然であって、地方公共団体は原則として右決定に拘束されるものではない。
しかし、右決定が、単に一定内容の継続的な施策を定めるにとどまらず、特定の者に対して右施策に適合する特定内容の活動をすることを促す個別的、具体的な勧告ないし勧誘を伴うものであり、かつ、その活動が相当長期にわたる当該施策の継続を前提としてはじめてこれに投入する資金又は労力に相応する効果を生じうる性質のものである場合には、右特定の者は、右施策が右活動の基盤として維持されるものと[イ:信頼]し、これを前提として右の活動ないしその準備活動に入るのが通常である。
このような状況のもとでは、たとえ右勧告ないし勧誘に基づいてその者と当該地方公共団体との間に右施策の維持を内容とする契約が締結されたものとは認められない場合であっても、右のように密接な交渉を持つに至った当事者間の関係を規律すべき[ウ:信義衡平]の原則に照らし、その施策の変更にあたってはかかる[イ:信頼]に対して法的保護が与えられなければならないものというべきである。
すなわち、右施策が変更されることにより、前記の勧告等に動機づけられて前記のような活動に入った者がその[イ:信頼]に反して所期の活動を妨げられ、社会観念上看過することのできない程度の積極的損害を被る場合に、地方公共団体において右損害を補償するなどの代償的措置を講ずることなく施策を変更することは、それがやむをえない客観的事情によるのでない限り、当事者間に形成された[イ:信頼]関係を不当に破壊するものとして違法性を帯び、地方公共団体の[エ:不法行為]責任を生ぜしめるものといわなければならない。
そして、前記[ア:住民自治]の原則も、地方公共団体が住民の意思に基づいて行動する場合にはその行動になんらの法的責任も伴わないということを意味するものではないから、地方公共団体の施策決定の基盤をなす政治情勢の変化をもってただちに前記のやむをえない客観的事情にあたるものとし、前記のような相手方の[イ:信頼]を保護しないことが許されるものと解すべきではない。
問題は、青字の部分、この肢は、正しい記述です。
問題
国の通達に基づいて、地方公共団体が被爆者援護法*等に基づく健康管理手当の支給を打ち切った後、当該通達が法律の解釈を誤ったものであるとして廃止された場合であっても、行政機関は通達に従い法律を執行する義務があることからすれば、廃止前の通達に基づいて打ち切られていた手当の支払いを求める訴訟において、地方公共団体が消滅時効を主張することは信義則に反しない。
(注) * 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律
正解は?
×
今日の最後の問題。
国の通達に基づいて、
地方公共団体が被爆者援護法等に基づく
健康管理手当の支給を打ち切った後、
当該通達が法律の解釈を誤ったものであるとして
廃止された場合であっても、
行政機関は
通達に従い法律を執行する義務があることからすれば、
廃止前の通達に基づいて
打ち切られていた手当の支払いを求める訴訟において、
地方公共団体が
消滅時効を主張することは信義則に反しない。
これ、問題とはちょっと違った書き方ですが、過去問ありです。
問
行政主体が一方的かつ統一的な取扱いの下(肢:国の通達)に国民の重要な権利の行使を違法に妨げた(肢:健康管理手当の支給を打ち切った)結果、行政主体に対する債権(肢:打ち切られていた手当の支払い)を消滅時効にかからせた場合、行政主体の側が消滅時効の主張をすることは許されない。○
判例は、
平成18(行ヒ)136 在ブラジル被爆者健康管理手当等請求事件 平成19年2月6日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 広島高等裁判所
上告人が消滅時効を主張して未支給の本件健康管理手当の支給義務を免れようとすることは、違法な通達を定めて受給権者の権利行使を困難にしていた国から事務の委任を受け、又は事務を受託し、自らも上記通達に従い違法な事務処理をしていた普通地方公共団体ないしその機関自身が、受給権者によるその権利の不行使を理由として支払義務を免れようとするに等しいものといわざるを得ない。
そうすると、上告人の消滅時効の主張は、402号通達が発出されているにもかかわらず、当該被爆者については同通達に基づく失権の取扱いに対し訴訟を提起するなどして自己の権利を行使することが合理的に期待できる事情があったなどの特段の事情のない限り、信義則に反し許されないものと解するのが相当である。
本件において上記特段の事情を認めることはできないから、上告人は、消滅時効を主張して未支給の本件健康管理手当の支給義務を免れることはできないものと解される。
消滅時効を主張することは信義則に反しないは、間違いの記述です。
① 免許証は現状通り、つまり、マイナンバーカードとの2枚持ち。
② マイナ免許証を保有、従来の免許証は返納し、合わせて1枚に。
③ マイナ免許証と運転免許証を一体化した上、2枚持ち。
この3パターンがある。
メリットとデメリットを比較検討するか
現在、2枚持ちで ①。
とくになんの不満もないかな。
まわりを見てると身分証(従業員証)を紛失する人が結構いるようで。。。
不安に思う人はいるんだろうなとは思う。
さて、どうしますか
今日も最後まで有難うございました。
今日のところはここまでです。
んでまずまた。
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