こんにちは。
う~ん、ちょっと心配。
の井上選手のビザがまだ発給されていないとか。
新型コロナウイルスの影響があるとは言え、なんとか実現してほしい。
何もかもが中止では、逆に精神的に弱ってしまいそう。
渡航制限に対する特例措置を。。。
今日の過去問は、令和元年度問30の問題を○×式でやりたいと思います。
A所有の甲土地とB所有の乙土地が隣接し、甲土地の上にはC所有の丙建物が存在している。この場合における次の記述を、民法の規定及び判例に照らし、正誤判定してみましょう。
それでは、早速。
問題
Aは、自己の債務の担保として甲土地に抵当権を設定したが、それ以前に賃借権に基づいて甲土地に丙建物を築造していたCからAが当該抵当権の設定後に丙建物を買い受けた場合において、抵当権が実行されたときは、丙建物のために、地上権が甲土地の上に当然に発生する。
正解は?
×
今日は、「物権」に関する問題です。
最初に、基本部分を確認しておきます。
Aさん所有の甲土地とBさん所有の乙土地が隣接
つまり、隣同士になっているってことです。
そして、Aさんの甲土地の上にはCさん所有の丙建物が建っています。
__(C) _____
Aさんの土地 Bさんの土地
(問:抵当権設定)
こんな感じです。
イメージできると問題を考えるのは理解が早いですからね。
そして、ここからが本題の問題に入ります。
Aさんは、自己の債務の担保として甲土地に抵当権を設定した。
つまり、Cさんの丙建物は、抵当地の上に建っているってことになります。
引き続き、、、
「それ以前に賃借権に基づいて甲土地に丙建物を築造していたCさんからAさんが当該抵当権の設定後に丙建物を買い受けた場合」
つまり、Cさんが丙建物を建てたときには、Aさんの土地には抵当権が設定されていなかったと言うこと。
そして、Aさんが甲土地に抵当権を設定した後にCさんから丙建物を譲り受けています。
この場合において、問題では、「抵当権が実行されたときは、丙建物のために、地上権が甲土地の上に当然に発生する。」と言っています。
どうでしょうか ってことですね。
抵当権が実行⇒地上権が当然に
ですから、「法定地上権」のことを言っています。
これは頻出問題ですので大丈夫ですね。
(法定地上権)
第三百八十八条 土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、その土地又は建物につき抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至ったときは、その建物について、地上権が設定されたものとみなす。この場合において、略。
法定地上権の条件は、
土地と建物が同一の所有者に属する
↑↓
この状態でどちらか又は両方に抵当権が設定される
そして、抵当権が実行され、所有者が異なることになる
これが条件です。
この条件にあてはめると、この問題では、抵当権設定当時の所有者が甲土地は、Aさん、丙建物は、Cさんです。
つまり、法定地上権が成立する要件は満たしません。
ですから、「抵当権が実行されたときは、丙建物のために、地上権が甲土地の上に当然に発生する。」と言っているこの肢は、間違いです。
この肢で、法定地上権が成立するには、AさんがCさんから丙建物を購入し、その後に抵当権を設定し、実行された場合です。
問題
A・B間で、乙土地の眺望を確保するため、甲土地にいかなる工作物も築造しないことを内容とする地役権を設定し登記していた場合において、Cが賃借権に基づいて甲土地に丙建物を築造したときは、Bは地役権に基づき建物の収去を求めることができる。
正解は?
○
2問目は、この問題。
内容を確認してみます。
AさんとBさんの間で、
乙土地の眺望を確保するため、甲土地にいかなる工作物も築造しないことを内容とする地役権を設定し登記していた場合
__(C) __
(眺望)
Aさんの土地 Bさんの土地
(問:地役権登記)
問題では、「この場合において、Cさんが賃借権に基づいて甲土地に丙建物を築造したときは、Bさんは地役権に基づき建物の収去を求めることができる。」と言っています。
地役権とは
ある土地(問:B乙土地)の利用価値を高めるために、他人の土地(問:A甲土地)を利用することができる物権。例:通行地役権、眺望地役権
条文を確認しておきます。
(地役権の内容)
第二百八十条 地役権者は、設定行為で定めた目的に従い、他人の土地を自己の土地の便益に供する権利を有する。ただし、略。
Bさんは、甲土地の所有者であるAさんと乙土地の眺望確保のために眺望地役権を設定し、登記しています。
地役権は、第二編物権の中の第六章に規定されています。
と言うことは、不動産に関する物権の変動の規定が適用されます。
(不動産に関する物権の変動の対抗要件)
第百七十七条 不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。
Bさんは、登記を経由してますので、第三者であるCさんに対して、物権的請求権である妨害排除請求権を行使することができます。
その結果、問題が言うように、「建物の収去を求めることができる。」ってことになります。
ですから、この肢は、正しい記述と言うことになります。
問題
Bが、甲土地に乙土地からの排水のための地役権をA・B間で設定し登記していた場合において、CがAに無断で甲土地に丙建物を築造してその建物の一部が乙土地からの排水の円滑な流れを阻害するときは、Bは、Cに対して地役権に基づき丙建物全部の収去および甲土地の明渡しを求めることができる。
正解は?
×
3問目は、この問題なんですが、2問目とちょっと似てますね。
早速、確認してみます。
Bさんが、甲土地に乙土地からの排水のための地役権をAさんとBさんの間で設定し登記していた場合
__(C) __
(排水)
Aさんの土地 Bさんの土地
(問:地役権登記)
この場合において、「Cさんが、Aさんに無断で甲土地に丙建物を築造してその建物の一部が乙土地からの排水の円滑な流れを阻害するとき」
問題では、「Bさんは、Cさんに対して地役権に基づき丙建物全部の収去および甲土地の明渡しを求めることができる。」と言っています。
2問目との違いは、
眺望を妨げるか、排水か、それとCさんが、賃借権に基づくか、無断でってところが違います。
設定行為は、地役権、そしてBさんは、「登記済」です。
これは、○ ×
ってことなんですが、いかがでしょうか
2問目を見た後ですから、○って感じもするんですが、、、
そう思った方は、地役権をちょっと理解していないですね。
地役権は、ある土地(問:B乙土地の排水)の利用価値を高めるために、他人の土地(問:A甲土地)を利用することができる物権です。
地役権の条文にもありましたが、「地役権者は、設定行為で定めた目的に従い、」利用できます。
と言うことは、この問題はBさんの土地から排水を良好にするために設定されたものと言えますよね。
問題では、排水を妨害しているのは、Cさんの丙建物の一部のようです。
ですから、Bさんは、Cさんに対して、丙建物のその一部の収去を妨害排除請求として求めることができます。
丙建物の全部の収去や甲土地の明渡しは、できません。
この問題は、×です。
問題
甲土地が乙土地を通らなければ公道に至ることができない、いわゆる袋地である場合において、Cが、Aとの地上権設定行為に基づいて甲土地に丙建物を建築し乙土地を通行しようとするときは、Cは、甲土地の所有者でないため、Bとの間で乙土地の通行利用のため賃貸借契約を結ぶ必要がある。
正解は?
×
4問目は、この問題です。
問題がガラッと変わったような、、、(笑)
問題を確認してみます。
甲土地が乙土地を通らなければ公道に至ることができない、いわゆる袋地である場合
_(C) → __
__ 公道
Aさんの土地 Bさんの土地
(問:地上権設定)
袋地とは
他の土地(問:B乙土地)に囲まれて公道に通じていない土地(問:A甲土地)
「この場合において、Cさんが、Aさんとの地上権設定行為に基づいて甲土地に丙建物を建築し乙土地を通行しようとするとき」
問題では、「Cさんは、甲土地の所有者でないため、Bさんとの間で乙土地の通行利用のため賃貸借契約を結ぶ必要がある。」と言っています。
袋地に対して、「袋地を囲んでいる他の土地」のことを、囲繞地と言います。
この囲繞地を通行することができる権利のことを「囲繞地通行権」と言うんですが、聞いたことはありますよね。
(公道に至るための他の土地の通行権)
第二百十条 他の土地(B乙土地)に囲まれて公道に通じない土地(A甲土地)の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地(B乙土地)を通行することができる。
ただ残念なことに、Cさんは、甲土地の所有者ではありません。
Cさんは、地上権の設定を受けた地上権者です。
この規定が、地上権者に適用されれば、問題が言うような「賃貸借契約を結ぶ必要」はありませんよね。
おぉぅ、ありますね。
地上権の規定の中に、
(相隣関係の規定の準用)
第二百六十七条 前章第一節第二款(相隣関係)の規定は、地上権者間又は地上権者と土地の所有者との間について準用する。ただし、略。
先ほどの囲繞地通行権の規定は、この規定にある相隣関係の中にあります。
つまり、Cさんは、甲土地の所有者ではありませんが、地上権設定を受けていますので、相隣関係の囲繞地通行権の規定が準用されますので、賃貸借契約を締結することなく、乙土地を通行することができると言うことになります。
と言うことで、この問題は、間違いってことになります。
問題
Cが、地上権設定行為に基づいて甲土地上に丙建物を築造していたところ、期間の満了により地上権が消滅した場合において、Aが時価で丙建物を買い取る旨を申し出たときは、Cは、正当な事由がない限りこれを拒むことができない。
正解は?
○
今日の最後の問題ですね。
問題を確認してみます。
Cさんが、地上権設定行為に基き甲土地上に丙建物を築造していた
その地上権が期間満了により消滅した場合
_(C)__ __
__
Aさんの土地 Bさんの土地
(問:地上権設定)
一応、期間を確認しておきます。
借地借家法
(借地権の存続期間)
第三条 借地権の存続期間は、三十年とする。ただし、契約でこれより長い期間を定めたときは、その期間とする。
この規定、、、ただし書きが有るので最短が30年ってことです。
まぁ、契約の内容はわかりませんが、それが満了したってことですね。
そして、問題では、
「Aさん(土地の持主)が時価で丙建物を買い取る旨を申し出たときは、Cさんは、正当な事由がない限りこれを拒むことができない。」と言っています。
さぁ~、どうでしょうか
考えてみましょう。
地上権の存続期間が満了すると、Cさんは、丙建物を収去して、土地を元の状態に戻して返還する必要が出てきます。
原状回復義務ですね。
でも、最低でも30年間は生活してきたちゃんとしたです。
勿体なくないですか
法律って、その辺もちゃんと考えてるんですよ。
(工作物等の収去等)
第二百六十九条 地上権者は、その権利が消滅した時に、土地を原状に復してその工作物及び竹木を収去することができる。ただし、土地の所有者が時価相当額を提供してこれを買い取る旨を通知したときは、地上権者は、正当な理由がなければ、これを拒むことができない。
2 前項の規定と異なる慣習があるときは、その慣習に従う。
ってことで、この肢は正しい肢ってことになります。
それと、、、地上権者の「正当な理由」。
どんな理由でしょうかってことなんですが、今一つ、調べても出て来ない。(笑)
ただ、考えられるのは、「移築」かなと。
やはり、長い年月住んでくれば情も湧きますし、別の土地で住み慣れた我が家でってとこかなと。
どう思いますか
今日の5問、いかがでしたか
抵当権、地役権、地上権、それぞれの内容をきちんと理解していれば、多少内容が変わっても対応できるはずです。
この対応力を磨かないといけませんね。
今日も最後までありがとうございました。
んでねぃ。
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