こんにちは。
今日は「民法」です。
問11の行政法から民法にかけて勢いをつけて解けるようだと「合格」も近いですね。
誰しも苦手分野は有りますが、ここは取りたいそんなところです。(笑)
今日も始めましょう。。。
今日の過去問は、平成22年度問28の問題を○×式でやりたいと思います。
時効中断の効力に関する記述について、民法の規定及び判例に照らして、正誤判定をしてみましょう。
それでは、早速。
問題
物上保証人Aに対する抵当権の実行により、競売裁判所が競売開始決定をし、これを債務者Bに通知した場合には、被担保債権についての消滅時効は中断する。
正解は?
○
今日の1問目は、この問題です。
1問目は、「物上保証」に関する問題ですが、、、
残念ながら、債務者の財産ではなく、物上保証人の財産が競売に付されています。
問題では、競売について、「債務者のBさんに通知した場合に、被担保債権についての消滅時効は中断する。」と言っています。
これ、元はどこですか って考えると解りやすいです。
債務者はBさんですよね。
と言うことは、Bさんのために、Aさんが物上保証をした訳です。
物上保証人のAさんの財産を競売しても主たる債務者であるBさんに通知をしなければ、「Bさんの債務に関する手続」ってのがわかりませんよね。
昭和47(オ)723 所有権移転登記抹消登記手続請求 昭和50年11月21日 最高裁判所第二小法廷 判決 棄却 名古屋高等裁判所 金沢支部
債権者より物上保証人に対し、その被担保債権の実行として任意競売の申立がされ、競売裁判所がその競売開始決定をしたうえ、競売手続の利害関係人である債務者に対する告知方法として同決定正本を当該債務者に送達した場合には、債務者は、民法一五五条により、当該被担保債権の消滅時効の中断の効果を受けると解するのが相当である。
第百五十五条 差押え、仮差押え及び仮処分は、時効の利益を受ける者に対してしないときは、その者に通知をした後でなければ、時効の中断の効力を生じない。
債務者Bさんに通知した場合には、被担保債権についての消滅時効は中断するってことです。
問題
債務者Aの債権者Bに対する債務の承認によって被担保債権の時効が中断した場合に、物上保証人Cは、当該被担保債権について生じた消滅時効中断の効力を否定することはできない。
正解は?
○
2問目はこの問題。。。
何やら記憶に新しいような・・・気がする。。。
前回やってますね、、、「債務の承認」。
主たる債務者Aさんの債権者Bさんに対する「債務の承認」。
(時効の中断事由)
第百四十七条 時効は、次に掲げる事由によって中断する。
一 請求
二 差押え、仮差押え又は仮処分
三 承認
三号、「債務の承認」は、時効の中断事由として規定されています。
この問題は、「付従性」でしたよね。
平成6(オ)2325 土地根抵当権設定登記抹消登記手続 平成7年3月10日 最高裁判所第二小法廷 判決 棄却 札幌高等裁判所
他人の債務のために自己の所有物件につき根抵当権等を設定したいわゆる物上保証人が、債務者の承認により被担保債権について生じた消滅時効中断の効力を否定することは、担保権の付従性に抵触し、民法三九六条の趣旨にも反し、許されないものと解するのが相当である。
(抵当権の消滅時効)
第三百九十六条 抵当権は、債務者及び抵当権設定者に対しては、その担保する債権と同時でなければ、時効によって消滅しない。
物上保証人であるCさんは、「被担保債権について生じた消滅時効中断の効力を否定することはできません。」
問題
A所有の甲地をB・Cの2人が占有して取得時効が完成しそうな場合に、AがBに対してだけ時効の中断をしたときは、Bの取得時効のみ中断され、Cの取得時効は中断されることはない。
正解は?
○
3問目は、「取得時効の中断」についてです。
問題は、「Aさん所有の甲地をBさんとCさんの2人が占有して取得時効が完成しそうな場合」です。
BさんとCさん
当然ですが、違う人格です。
ですから、「所有者であるAさんがBさんに対してだけ時効の中断をしたときは、Bさんの取得時効のみ中断され、Cさんの取得時効は中断されることはない。」ってのは当たり前っちゃ当たり前ですよね。
(時効の中断の効力が及ぶ者の範囲)
第百四十八条 前条の規定による時効の中断は、その中断の事由が生じた当事者及びその承継人の間においてのみ、その効力を有する。
時効の中断は、「相対効」ってことです。
それと、、、
「当事者及びその承継人」
ここ注意ですね。
Bさんは、当事者。
Bさんに承継人(相続人とか)がいれば、その人にも中断の効力は及ぶってことです。
この問題は、BさんとCさん、違う人格なので、それぞれにしないといけないってことですね。
問題
甲地の共有者A・B・Cの3人が乙地の上に通行地役権を時効取得しそうな場合に、乙地の所有者Dは、A・B・Cのうち誰か1人に対して時効の中断をすれば、時効中断の効力はA・B・Cの3人に及ぶ。
正解は?
×
この問題は、「通行地役権の時効取得」についてです。
甲地の共有者は、Aさん、Bさん、Cさんの3人です。
問題では、「乙地の上に通行地役権を時効取得しそうな場合」です。
この場合に、「乙地の所有者であるDさんは、3人のうち誰か1人に対して時効の中断をすれば、時効中断の効力はAさん、Bさん、Cさんの3人に及ぶ。」と問題では言っている訳です。
どうでしょうか ってのがこの問題。
通行地役権の「時効取得」って利益を受けたい人が3人いるってことです。
この3人は、甲地の「共有者」です。
ってことは、誰か1人に対して時効の中断をしたとしても「その人ひとりが中断する」ものでもないってことです。
つまり、
第二百八十四条
1 略。
2 共有者に対する時効の中断は、地役権を行使する各共有者に対してしなければ、その効力を生じない。
3 略。
乙地の所有者Dさんは、Aさん、Bさん、Cさんの全員に対して時効の中断をしなければ、「時効中断の効力」は、生じないってことになります。
考えてみましょう。。。
通行地役権=自分の土地の便益のために他人の土地を通行できる権利のこと。この場合の自分の土地を「要役地」、他人の土地を「承役地」という。
甲地の便益のために乙地の土地を通行する。
甲地=要役地
乙地=承役地
つまり、Aさん、Bさん、Cさんの3人がDさんの土地を通行するってことです。
この場合に、例えば、Aさん1人に時効中断した場合、Aさんだけが通れないってのは可哀想ですよね。
同じ甲地に住んでるのに、、、
ですので、全員に対して「時効中断」しないと効力は生じないってことです。
それと注意点が。。。
第二百八十四条 土地の共有者の一人が時効によって地役権を取得したときは、他の共有者も、これを取得する。
2、3 略。
この規定。。。
共有者の一人が時効によって地役権を取得したとき、他の共有者も利益を享受します。
これは、考え方が逆で、1人だけ通れるのは可笑しいでしょってことですね。。。(笑)
問題
要役地である甲地をA・B・Cの3人が共有しているが、承役地である乙地の通行地役権について消滅時効が進行している場合に、Aのみが通行地役権を行使して消滅時効を中断したときは、時効中断の効力はA・B・Cの3人に及ぶ。
正解は?
○
今日最後の問題です。
「通行地役権の消滅時効の中断」ですね。
問題の中身は前の問題と同じです。
要役地=甲地、共有者は、Aさん、Bさん、Cさんの3人
承役地=乙地、所有者は、
問題では、「通行地役権について消滅時効が進行している場合」です。
消滅時効=一定の期間権利が行使されなかったことにより、権利が消滅すること
つまり、一定の期間、Aさん、Bさん、Cさんの3人が承役地を利用していなかったってことですね。
通行できる権利がなくなってしまうってことです。
問題では、「Aさんのみが通行地役権を行使して消滅時効を中断したときは、時効中断の効力はAさん、Bさん、Cさんの3人に及ぶ。」と言っています。
これは、大丈夫ですね。
前の問題で最後に見たものと考え方は同じです。
第二百九十二条 要役地が数人の共有に属する場合において、その一人のために時効の中断又は停止があるときは、その中断又は停止は、他の共有者のためにも、その効力を生ずる。
Aさんだけが継続して通れるのは可笑しいでしょって話。。。
3人は共有者ですから~~~、(残念)
今日も最後までありがとうございました。
んでまずまた。
お願いします。m(__)m
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