こんにちは。
今日は、前振りが長いので直ぐに始めたいと思います。
基本的な問題かな。。。
今日の過去問は、平成23年度問4の問題を○×式でやりたいと思います。
設例
Aは、日本国籍を有しない外国人であるが、出生以来日本に居住しており、永住資格を取得している。
Aは、その居住する地域に密着して暮らす住民であれば、外国人であっても地方自治体の参政権を与えるべきであり、国が立法による参政権付与を怠ってきたのは違憲ではないか、と考えている。
Aは、訴訟を起こして裁判所にあらためて憲法判断を求めることができないか、かつて行政書士試験を受けたことのある友人Bに相談したところ、Bは昔の受験勉強の記憶を頼りに、次の見解を述べた。
この見解を、最高裁判所の判例に照らして、正誤判定してみましょう。
それでは、早速。
問題
憲法の基本的人権の保障は、権利の性質上日本国民のみを対象とすると解されるものを除き、外国人にも等しく及ぶものと考えられており、政治活動の自由についても、外国人の地位にかんがみて相当でないものを除き外国人にも保障される。
正解は?
○
今日の1問目は、この問題です。
まぁ、文章を読んでみて「これは。。。」って思う判例です。
それだけ有名なものですね。
「マクリーン事件」
昭和50(行ツ)120 在留期間更新不許可処分取消 昭和53年10月4日 最高裁判所大法廷 判決 棄却 東京高等裁判所
憲法第三章の諸規定による基本的人権の保障は、権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるものを除き、わが国に在留する外国人に対しても等しく及ぶものと解すべきであり、政治活動の自由についても、わが国の政治的意思決定又はその実施に影響を及ぼす活動等外国人の地位にかんがみこれを認めることが相当でないと解されるものを除き、その保障が及ぶものと解するのが、相当である。
基本的人権の保障、政治活動の自由、どちらも言い方が違いますが、外国人にも「等しく及び」、「保障」されます。
・権利の性質上日本国民のみを対象とすると解されるものを除き、
⇕
・外国人の地位にかんがみて相当でないものを除き
外国人の地位にかんがみて相当でないもの→わが国の政治的意思決定又はその実施に影響を及ぼす活動等
わが国の政治的意思決定、つまり、同盟とか国家間での取引ですね。
今はアメリカと仲良くしてます。
今後、韓国とは疎遠になるかも知れません。
それは、我々日本人が考え、意思決定をし、そして決めることです。
外国人が、「外国人の地位」において口出しすべきものではありません。
つまり、「言い方が違う」=権利の性質上日本国民のみを対象とするです。
この問題、判例通りです。
問題
憲法93条2項で地方公共団体の長や議会議員などを選挙することとされた「住民」とは、その地方公共団体に住所を有する日本国民のみを指している。
正解は?
○
日本国憲法
第九十三条 略。
2 地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。
この条文に書かれた、「その地方公共団体の住民が、」の「住民」は ってことです。
地方自治法には、「選挙」の章に、「日本国民たる年齢満十八年以上の者で引き続き三箇月以上市町村の区域内に住所を有するもの」とは書かれていますが、、、
最高裁がした憲法判断です。
平成5(行ツ)163 選挙人名簿不登録処分に対する異議の申出却下決定取消 平成7年2月28日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 大阪地方裁判所
憲法九三条二項にいう「住民」とは、地方公共団体の区域内に住所を有する日本国民を意味するものと解するのが相当であり、右規定は、我が国に在留する外国人に対して、地方公共団体の長、その議会の議員等の選挙の権利を保障したものということはできない。
問題はここまでで ○です。
引き続き判例を見てみましょう。。。
このように、憲法九三条二項は、我が国に在留する外国人に対して地方公共団体における選挙の権利を保障したものとはいえないが、憲法第八章の地方自治に関する規定は、民主主義社会における地方自治の重要性に鑑み、住民の日常生活に密接な関連を有する公共的事務は、その地方の住民の意思に基づきその区域の地方公共団体が処理するという政治形態を憲法上の制度として保障しようとする趣旨に出たものと解されるから、我が国に在留する外国人のうちでも永住者等であってその居住する区域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至ったと認められるものについて、その意思を日常生活に密接な関連を有する地方公共団体の公共的事務の処理に反映させるべく、法律をもって、地方公共団体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を講ずることは、憲法上禁止されているものではないと解するのが相当である。
しかしながら、右のような措置を講ずるか否かは、専ら国の立法政策にかかわる事柄であって、このような措置を講じないからといって違憲の問題を生ずるものではない。
前半部分、ちょっと長いですが重要です。
ここまで頭に入れときましょう。。。
問題
国民の選挙権の制限は、そのような制限なしには選挙の公正を確保しつつ選挙権の行使を認めることが著しく困難であると認められる場合でない限り、憲法上許されず、これは立法の不作為による場合であっても同様であると解されている。
正解は?
○
う~んと「設例」どこ行ったって感じですね。(笑)
Aさんは、日本国籍を有しない外国人である←これ。。。
この問題の判例は、「在外日本人」に関するものです。
在外日本人=国外に居住していて国内の市町村の区域内に住所を有していない日本国民
裁判が行われた当時の公職選挙法では、在外日本人には、選挙権を行使する機会がありませんでした。
そのため、これに対する立法不作為は憲法に違反するとして、投票することのできる地位の確認や国家賠償請求を求めた事件と言うことです。
早速判例を確認してみます。
平成13(行ツ)82 在外日本人選挙権剥奪違法確認等請求事件 平成17年9月14日 最高裁判所大法廷 判決 その他 東京高等裁判所
最初に問題前半部分、
「国民の選挙権の制限は、そのような制限なしには選挙の公正を確保しつつ選挙権の行使を認めることが著しく困難であると認められる場合でない限り、憲法上許されず、」
この部分から。。。
自ら選挙の公正を害する行為をした者等の選挙権について一定の制限をすることは別として、国民の選挙権又はその行使を制限することは原則として許されず、国民の選挙権又はその行使を制限するためには、そのような制限をすることがやむを得ないと認められる事由がなければならないというべきである。
ここで言う「制限をすることがやむを得ないと認められる事由」。。。
そして、そのような制限をすることなしには選挙の公正を確保しつつ選挙権の行使を認めることが事実上不能ないし著しく困難であると認められる場合でない限り、上記のやむを得ない事由があるとはいえず、このような事由なしに国民の選挙権の行使を制限することは、憲法15条1項及び3項、43条1項並びに44条ただし書に違反するといわざるを得ない。
そして、問題後半部分、
「これは立法の不作為による場合であっても同様であると解されている。」
この部分について、、、
また、このことは、国が国民の選挙権の行使を可能にするための所要の措置を執らないという不作為によって国民が選挙権を行使することができない場合についても、同様である。
この事件では、在外日本人に選挙権を認めていない、立法不作為は、やむを得ない事由はなかったので、憲法15条1項及び3項、43条1項並びに44条ただし書に違反するとしました。
そして判決後、公職選挙法の改正により、在外日本人についても選挙権を行使することができるようになっています。
参照
第十五条 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
2 略。
3 公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。
4 略。
第四十三条 両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。
2 略。
第四十四条 略。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない。
問題
国が立法を怠ってきたことの違憲性を裁判所に認定してもらうために、国家賠償法による国への損害賠償請求が行われることがあるが、最高裁はこれまで立法不作為を理由とした国家賠償請求は認容されないという立場をとっている。
正解は?
×
この問題では、最高裁判所は、「立法不作為」を理由とした国家賠償請求は認容されないという立場をとっていると言っています。
認容=認めて受け入れること。認めて許すこと。容認。
と言うことは、問題では、「立法不作為」では、国家賠償請求は認められないって言っている訳です。
なぁ~んか、行政法でやったような、、、
立法不作為に対する国家賠償請求は、他にもあるんですが、せっかくなので前の問題と同じ判例から。。。
何が「せっかく」なのかわかりませんが。。。(笑)
立法の内容又は立法不作為が国民に憲法上保障されている権利を違法に侵害するものであることが明白な場合や、国民に憲法上保障されている権利行使の機会を確保するために所要の立法措置を執ることが必要不可欠であり、それが明白であるにもかかわらず、国会が正当な理由なく長期にわたってこれを怠る場合などには、例外的に、国会議員の立法行為又は立法不作為は、国家賠償法1条1項の規定の適用上、違法の評価を受けるものというべきである。
例外的にとは言え、「違法の評価を受けるものというべきである。」ってことは、最高裁は、立法不作為を理由とした国家賠償請求は認容されないという立場をとっていないってことです。
と言うことは、この問題は、 ×ってことです。
問題
仮に立法によって外国人に対して地方参政権を認めることができるとしても、その実現は基本的に立法裁量の問題である。
正解は?
○
今日の最後の問題です。
外国人に対する「地方参政権」についてです。
問題では、「仮に外国人に地方参政権を認めるとしても、その実現は立法裁量の問題である。」と言っています。
どうなんでしょうか
どう考えますか
いやいやいやいや、実はこれ、今日確認してますよね。
スル~してませんか
2問目の判例です。
我が国に在留する外国人のうちでも永住者等であってその居住する区域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至ったと認められるものについて、その意思を日常生活に密接な関連を有する地方公共団体の公共的事務の処理に反映させるべく、法律をもって、地方公共団体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を講ずることは、憲法上禁止されているものではないと解するのが相当である。
しかしながら、右のような措置を講ずるか否かは、専ら国の立法政策にかかわる事柄であって、このような措置を講じないからといって違憲の問題を生ずるものではない。
「右のような措置を講ずるか否かは、専ら国の立法政策にかかわる事柄」
つまり、問題で言うところの「その実現は基本的に立法裁量の問題である。」ってことになります。
今日も最後まで有難うございました。
今日のところは、ここまでです。
んでまずまた。
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