行政書士試験 平成24年度問33 民法の問題 | 行政書士試験 独学チャレンジ!!

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こんにちは。

 

やっときました。。。爆  笑

 

平成30年度の許可通知、、、6日付けで8日の日に。。。

 

問い合わせと同じように無視されちゃうかと思ってましたが、良かったです。

 

少しずつ、やっていきますね。

 

ちょっと間が空きましたが、大人の事情ってことでご報告を。。。笑い泣き


今日の過去問は、平成24年度問33の問題○×式でやりたいと思います。


Aは自己所有の甲建物をBに賃貸し(以下、「本件賃貸借」)、その際、BがAに対して敷金(以下、「本件敷金」)を交付した。この場合に関する記述のうち、民法の規定及び判例に照らして、正誤判定をしてみましょう。

 

 

それでは、早速。

 

 

 

問題

AがFに甲建物を特段の留保なく売却した場合、甲建物の所有権の移転とともに賃貸人の地位もFに移転するが、現実にFがAから本件敷金の引渡しを受けていないときは、B・F間の賃貸借の終了時にFはBに対して本件敷金の返還義務を負わない。

 

 

 

正解は?

×

 

 

 

今日の1問目はこの問題です。

 

最初に内容を確認してみます。

 

大前提は、

 

Aさんが、自己所有の甲建物をBさんに賃貸し、その際、BさんがAさんに対して敷金を交付した

 

これは、普通にアパートを借りるときの流れですね。

 

そして、ここからが問題の内容です、、、

 

1.「Aさんが、Fさんに甲建物を特段の留保なく売却した。」

 

2.「建物の所有権の移転とともに賃貸人の地位もFさんに移転する

 

3.「現実にFさんがAさんから本件敷金の引渡しを受けていないとき、Bさん・Fさん間の賃貸借の終了時にFさんはBさんに対して本件敷金の返還義務を負わない。」

 

1.甲建物売った、2.所有権移転ととも賃貸人地位も移転するってところは大丈夫ですね。

 

甲建物を売って、所有権も移転しているのに、Aさんが「賃貸人」ってのは可笑しいですもんね。

 

何の権利も無くなっている訳ですから。。。

 

問題は、その後ですね。

 

3.所有権の移転とともに賃貸人の地位もFさんに移転しているのに、Aさんから「敷金」の引渡しがなされていない。

 

そんな状況下で、「Bさん・Fさん間の賃貸借が終了したら敷金の扱いはどうなるのかはてなマーク 」ってのを聞いている訳です。

 

問題では、「FさんはBさんに対して本件敷金の返還義務を負わない。」と言っています。

 

問題としては、Aさんから「敷金」が引き渡されていない訳だから、Bさんは、Fさんではなく、Aさんに返還依頼すべきって言いたいってところなんでしょうかね。。。

 

それでは、判例を確認してみますね。

 

昭和43(オ)483 家賃金請求 昭和44年7月17日 最高裁判所第一小法廷 判決 棄却 大阪高等裁判所

 

思うに、敷金は賃貸借契約終了の際に賃借人の賃料債務不履行があるときはその弁済として当然これに充当される性質のものであるから、建物賃貸借契約において該建物の所有権移転に伴い賃貸人たる地位に承継があつた場合には、旧賃貸人に差し入れられた敷金は賃借人の旧賃貸人に対する未払賃料債務があればその弁済としてこれに当然充当されその限度において敷金返還請求権は消滅し残額についてのみその権利義務関係が新賃貸人に承継されるものと解すべきである。

 

この判例で言っていること。。。

 

敷金は、賃貸借契約終了の際に賃借人の賃料債務不履行があった場合、その弁済として当然これに充当されるものであると言うこと。

 

そして、賃貸人たる地位が所有権の移転に伴い承継された場合

 

旧賃貸人に対する未払賃料債務があれば弁済として充当され、そして、残額についてのみ新賃貸人に承継される。。。

 

と言うことは、旧賃貸人に対する未払賃料債務がなければ満額承継されるってことになりますよね。

 

つまり、残額にしろ満額にしろFさんはAさんから敷金を受け取っていなくてもBさんに対して本件敷金の返還義務を負う。」ってことになります。

 

残額なのか満額なのかはその時(賃借人次第ってことです。

 

自分がFさんだったら、、、「無い袖は振れません。」って言っちゃいそう。。。(

 

それでも返還する義務はある訳ですね。。。叫び

 

 

 

問題

本件賃貸借において、Bが甲建物のために必要費および有益費を支出した場合、特約がない限り、Bはこれらの費用につき、直ちにAに対して償還請求することができる。

 

 

 

正解は?

×

 

 

 

この問題は割とメジャーな問題です。

 

ですので、外してはいけません。

 

この問題のポイントは何でしょうはてなマーク

 

Bさんが負担したこれらの費用、つまり、「必要費および有益費」です。

 

必要費=使用収益のために必要な費用。給湯機の修理、交換。雨漏りの修繕など。

 

有益費=使用収益のために必ずしも必要ではないが賃貸目的物の価値を高めた費用。クロスを張り替えたり、トイレをウォシュレットへしたりなど。

 

同じ費用と言っても「使用収益のために必要なもの」と「賃貸目的物の価値を高めるためのもの」と違いがあります。

 

早速、条文を確認してみます。

 

賃借人による費用の償還請求

第六百八条 賃借人は賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し直ちにその償還を請求することができる

2 賃借人が賃借物について有益費を支出したときは、賃貸人は賃貸借の終了の時に第百九十六条第二項の規定に従いその償還をしなければならないただし裁判所は賃貸人の請求によりその償還について相当の期限を許与することができる

 

これ、考え方は、

 

賃貸人も賃借人もどちらも必要費および有益費」を支出できるってところにあるんじゃないでしょうかはてなマーク

 

つまり、

 

必要費であれば、「使用収益のために必要な費用」な訳ですから、賃貸人も請求があればすぐに対応しなければなりませんよね。

 

ですが、有益費の場合、「使用収益のために必ずしも必要なものではない。」、「賃貸目的物の価値を高めるものの費用」な訳ですから、賃借人の感覚で良いもの新しいものに交換されて、その都度請求されたら賃貸人もたまったもんじゃありません

 

そのため、必要費と有益費では償還の仕方に違いがあるってことです。

 

ちなみに、有益費の第百九十六条第二項の規定とははてなマーク

 

占有者による費用の償還請求

第百九十六条 

1 略

2 占有者が占有物の改良のために支出した金額その他の有益費についてはその価格の増加が現存する場合に限り回復者の選択に従いその支出した金額又は増価額を償還させることができるただし悪意の占有者に対しては裁判所は回復者の請求によりその償還について相当の期限を許与することができる

 

書いてますね、、、

 

価格の増加が現存する場合に限り、回復者の選択に従い、」

 

1.その支出した金額を償還する

2.増価額を償還させる

 

いずれにおいても「価格の増加が現存する場合に限り、」ですから、型が古くなるくらい入居していた場合は認められないってこともあるかも知れませんね。

 

それと、

 

回復者=占有の回復をしてもらう者(占有物の返還請求権を持つ者)。この問題では賃貸人のAさんですね。

 

問題の賃貸人だけではなく、占有を回復をすべき権利者すべてをひっくるめた規定ってことです。

 

そのため、「回復者」って表現ってことです。

 

この問題の「必要費と有益費」では、償還の時期が違うってのは必須の知識ですからね。

 

 

 

問題

BがAの承諾を得て本件賃貸借に基づく賃借権をCに譲渡した場合、特段の事情がない限り、AはBに対して本件敷金を返還しなければならない。

 

 

 

正解は?

 

 

 

この問題は、賃借人のBさんが、「Aさんの承諾を得て賃借権をCさんに譲渡した場合です。

 

問題になるのは、やはり、「敷金」ですね。

 

この敷金アパートとかを借りるときに当たり前のように話に出てきますが、賃貸借契約とは別の契約です。

 

ですが、「敷金契約をしないと賃貸借契約が成立しないケースもある訳です。

 

困ったもんですね。。。

 

他にも敷金だけじゃなく「礼金」なんてのもあります。。。

 

だから引越しするとお金がかかるんですね。

 

問題に戻しますね。

 

この問題、1問目の逆のケースですね。

 

借りている側で「賃借権」が移転し、そして、問題は、「敷金の扱いがどうなるかはてなマーク ってことです。

 

早速、判例を確認してみます。

 

昭和52(オ)844 取立債権 昭和53年12月22日 最高裁判所第二小法廷 判決 棄却 大阪高等裁判所

 

賃借権が旧賃借人から新賃借人に移転され賃貸人がこれを承諾したことにより旧賃借人が賃貸借関係から離脱した場合においては、敷金交付者が賃貸人との間で敷金をもつて新賃借人の債務不履行の担保とすることを約し、又は新賃借人に対して敷金返還請求権を譲渡するなど特段の事情のない限り右敷金をもつて将来新賃借人が新たに負担することとなる債務についてまでこれを担保しなければならないものと解することは敷金交付者にその予期に反して不利益を被らせる結果となつて相当でなく敷金に関する敷金交付者の権利義務関係は新賃借人に承継されるものではないと解すべきである。

 

つまり、賃貸人たる地位の移転とは違うってことです。

 

敷金」は、旧賃借人に返還しなければなりません

 

そして、Aさんは、新賃借人のCさんと敷金契約を結び直す必要があるってことになります。

 

ここで、注意してほしいのは、「特段の事情があれば」ってことです。

 

特段の事情

1.Bさんが、賃貸人との間で敷金をもつて新賃借人Cさんの債務不履行の担保とすることを約すること

2.新賃借人Cさんに対して敷金返還請求権を譲渡すること

 

敷金」って言っても家賃1ヶ月や2ヶ月分、場合によっては3ヶ月分ってこともあるでしょう。

 

特段の事情」が無ければ返還は必須と言うことです。

 

 

 

問題

BがAの承諾を得て甲建物をDに転貸したが、その後、A・B間の合意により本件賃貸借が解除された場合、B・D間の転貸借が期間満了前であっても、AはDに対して甲建物の明渡しを求めることができる。

 

 

 

正解は?

×

 

 

 

この問題は、「転貸借」ですね。

 

転貸借=賃借人が賃借物をさらに第三者(転借人)に使用・収益させること。

 

あてはめてみますね。

 

賃借人Bさんが賃借物をさらに第三者(転借人Dさん)に使用・収益させること

 

Bさん、ちゃんと「Aさんの承諾を得て」転貸しているようです。

 

そして、問題はここからです。

 

Aさん(賃貸人)とBさん(賃借人であり、転貸人)の間の合意によって、二人(AさんとBさん)の間の賃貸借が解除された

 

このような状況下で、

 

問題では、「BさんとDさんの間の転貸借が期間満了前であっても、Aさんは、Dさんに対して甲建物の明渡しを求めることができる。」と言っている訳です。

 

どうでしょうかはてなマーク ってのがこの問題です。

 

言わんとしているところは、BさんとAさんの契約が解除されているんだからってことを言いたいんでしょうね。。。

 

昭和59(オ)1178 建物収去土地明渡 昭和62年3月24日 最高裁判所第三小法廷 判決 その他 広島高等裁判所 岡山支部

 

賃貸人は賃借人と賃貸借を合意解除しても特段の事情のない限り転貸借について承諾を与えた転借人に対しては右合意解除の効果を対抗することはできないものである

 

この判例の抜粋部分、古い判例を引用したものですが、問題そのものが書かれています。

 

つまり、AさんとBさんの間で賃貸借が合意解除されてもAさんは転借人のDさんに対して甲建物の明渡しを求めることはできないと言うことです。

 

考えてみましょう。。。

 

転貸借について、Aさんは承諾している訳です。

 

それをAさんとBさんの間の勝手な合意によって、自分達の賃貸借を解除する訳です。

 

承諾した転貸借な訳ですから、自分達の合意とは言え、転借人のDさんを巻き込んで不利益を被らせることは出来ませんよね。

 

ですので、転貸借契約が有効に成立した場合には、賃貸人と賃借人の賃貸借契約を合意解除しても、「特段の事情のない限り転借人には対抗できないと判断したと言うことになるんだと思います。

 

 

 

問題

BがAの承諾を得て甲建物をEに転貸したが、その後、Bの賃料不払いにより本件賃貸借が解除された場合、B・E間の転貸借が期間満了前であれば、AはEに対して甲建物の明渡しを求めることはできない。

 

 

 

正解は?

×

 

 

 

この問題も「転貸借」です。

 

ただ、先ほどの「合意解除」とは違い、Bさんの「賃料不払い」により、賃貸借契約が解除された訳です。

 

解除の理由が違うってことですね。

 

どうなんでしょうかはてなマーク ってことです。

 

平成6(オ)456 建物賃料等請求本訴、保証金返還請求反訴 平成9年2月25日 最高裁判所第三小法廷 判決 破棄自判 東京高等裁判所

 

賃貸借契約が転貸人の債務不履行を理由とする解除により終了した場合賃貸人の承諾のある転貸借は原則として賃貸人が転借人に対して目的物の返還を請求した時に転貸人の転借人に対する債務の履行不能により終了すると解するのが相当である。

 

賃貸借契約が転貸人(Bさん)の債務不履行を理由とする解除により終了した場合」ってのは、まさしくこの問題ですね。

 

賃貸人の承諾のある転貸借は、、、これも問題の内容です。賃貸人のAさんは転貸を承諾していますから。

 

そして、

 

原則として、賃貸人(Aさん)が転借人(Eさん)に対して目的物の返還を請求した時に、転貸人(Bさん)の転借人(Eさん)に対する債務の履行不能により終了すると解するのが相当である。」

 

今まで見てきた内容から確認してみます。

 

賃貸借の終了によって転貸借は当然にその効力を失うものではない

 

これは、前の問題で確認した「合意解除の場合です。

 

そして、この問題の「賃料不払い」による「債務不履行解除」の場合、

 

賃貸人(Aさん)が転借人(Eさん)に対して、「Bさんとの賃貸契約は債務不履行で解除したから、甲建物返してけろ。」って返還請求をしたときに、「Bさんが履行不能に陥るって判断です。

 

つまり、AさんがEさんに「甲建物返してけろ。」って言った時に、Bさん、Eさん間の「転貸借」は、「履行不能」に陥って終了する訳です。

 

Bさんとの賃貸借が解除されている訳ですから。。。

 

と言うことは、「転貸借」は、賃借人の賃貸借契約の存在を前提としているってことですね。

 

合意解除であれば問題ないけど、「債務不履行解除」の場合は、その前提を失うため、Aさんからの返還請求により、「転貸借」は、「履行不能」に陥って、BさんとEさんの間の転貸借契約も終了するって訳です。

 

 

違いは押さえないといけませんね。。。

 

 

今日のところはここまでです。

 

 

最後までありがとうございました。

 

 

んでまずまた。

 

 

 

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