こんにちは。
欲望に駆られて時間を無駄にすることがある。
「後悔、そして反省」、、、困ったもんですね。。。
人間、その時は、「まぁ、良いや。」って思っちゃうもんです。
良い歳なんだから、スパッとやめないと。。。
今日の過去問は、平成22年度問31の問題を○×式でやりたいと思います。
保証に関する「相談」のうち、民法の規定及び判例に照らして、正誤判定をしてみましょう。
それでは、早速。
問題
私は、AがB所有のアパートを賃借するにあたりAの保証人となりました。このたびA・B間の契約がAの賃料不払いを理由として解除されたところ、Bは、Aの滞納した賃料だけでなく、Aが立ち退くまでの間に生じた損害の賠償についても保証債務の履行をせよと主張しています。私は保証債務の履行を拒むことは可能でしょうか。
正解は?
×
今日は、「保証」に関する相談ですね。
この問題は、保証人になった「私さん(笑)」が、保証債務の履行を拒むことは可能かどうかってのを相談に来たってことですね。
それでは、問題を確認してみます。
「私さん」は、Aさんの保証人です。
Aさんは、Bさん所有のアパートを借りていたようですが、このアパートを、Aさんの「賃料不払い」を理由に解除されたようです。
「賃料不払い」ですから、解除の原因は、Aさんに「あり」ですね。
この状況下で、
Bさん「「私さん」、Aさんの滞納賃料だけじゃダメだがんね。Aさんが出でぐまでに生じた損害も保証してけせよ。」
私さん「・・・・・・」
こんな図式ですね。(笑)
ちなみに、「Aさんが出でぐまでに生じた損害」は、賃料相当損害金ってものですね。
契約が解除されているので「家賃」とは呼べませんが、簡単に言えば日割りの家賃ってとこです。
もちろん、その他にかかるものがあれば、それらもってことを言ってる訳です。
と言うことは、この問題は、「保証債務」には、どこまでが含まれるのかってのがハッキリすれば、「私さん」も納得するはずですね。
早速、調べてみます。
(保証債務の範囲)
第四百四十七条 保証債務は、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのものを包含する。
2 保証人は、その保証債務についてのみ、違約金又は損害賠償の額を約定することができる。
1項に書かれていますね。
「保証債務は、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのものを包含する。」
包含=つつみふくんでいること。
このように規定されていますので、「私さんは、保証債務の履行を拒むことはできません。」とお話をすることになります。
人様に貸すだけの余裕はないので、「保証人になってくれ。」って言われないのは、ある意味「ラッキー」です。(笑)
問題
私の経営する会社甲は、AがBと新たに取引関係を結ぶにあたり、取引開始時から3ヵ月間の取引に関してAがBに対して負う一切の債務を保証することとし、契約書を作成しましたが、特に極度額を定めていませんでした。このたび、この期間内のA・B間の取引によって、私が想定していた以上の債務をAが負うことになり、Bが甲に対して保証債務の履行を求めてきました。甲が保証債務の履行を拒むことは可能でしょうか。
正解は?
×
問題の内容を確認してみます。
この問題の「私さん」は、会社甲の経営者です。
会社甲は、AさんがBさんと新規取引関係を結ぶにあたって、取引開始から3ヵ月間の取引について、AさんがBさんに対して負う、一切の債務を保証することを約束したようです。
契約書も作成したって書いてありますね。
ただ、特に「極度額」は定めていなかったようです。
極度額=根抵当権や根保証によって受ける担保的負担の最大限度額のこと。
つまり、「このくらいまで」って決めた額がなかったってことです。
これ、会社甲がどのくらいを予想していたのかもわかりませんが、その予想を超えていたってことのようですね。
会社甲が、想定していた以上の保証債務の履行を、Bさんが求めてきたってことです。
会社甲が、保証債務の履行を拒むことは可能かどうかってことです。
この内容に関する民法の規定を確認してみます。
(貸金等根保証契約の保証人の責任等)
第四百六十五条の二 一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約であってその債務の範囲に金銭の貸渡し又は手形の割引を受けることによって負担する債務(貸金等債務。)が含まれるもの(保証人が法人であるものを除く。以下「貸金等根保証契約」という。)の保証人は、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのもの及びその保証債務について約定された違約金又は損害賠償の額について、その全部に係る極度額を限度として、その履行をする責任を負う。
2 貸金等根保証契約は、前項に規定する極度額を定めなければ、その効力を生じない。
3 第四百四十六条第二項及び第三項の規定は、貸金等根保証契約における第一項に規定する極度額の定めについて準用する。
(保証人の責任等)
第四百四十六条 保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。
2 保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。
3 保証契約がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。
会社甲のした保証契約は、1項にある「貸金等根保証契約」と言うものです。
契約書(書面)もあるようですので、保証契約は、効力を生じます。
問題をあてはめてみます。
一定の範囲に属する=AさんとBさんの取引開始から3ヵ月間の取引
不特定の債務を主たる債務とする保証契約=AさんがBさんに対して負う一切の債務の保証
「保証人は、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのもの及びその保証債務について約定された違約金又は損害賠償の額について、その全部に係る極度額を限度として、その履行をする責任を負う。」
保証人は、その全部に係る極度額を限度として、その履行をする責任を負うと規定しています。
そして、2項です、、、
「貸金等根保証契約は、前項に規定する極度額を定めなければ、その効力を生じない。」
と言うことは、この問題、「極度額」の定めがないので、会社甲は「保証債務の履行を拒むことは可能」ってことになりそうです。
・・・・・・・・・
いやいや、これではいけませんね、よく読んでいる方は気づきますし、間違ったことを書く訳にはいきませんよね。。。
かっこ書き。。。
貸金等根保証契約=保証人が法人であるものを除く。
つまり、先ほどの2項、「個人の貸金等における極度額を定めない根保証契約は、効力が生じない。」ってことです。
会社甲は、法人ですので「この規定は適用されない。」と言うことになります。
ですので、「会社甲は、保証債務の履行を拒むことはできません。」とお話することになります。
問題
私は、AがBから金銭の貸付を受けるにあたり、Aに頼まれて物上保証人となることにし、Bのために私の所有する不動産に抵当権を設定しました。このたびAの債務の期限が到来しましたが、最近資金繰りに窮しているAには債務を履行する様子がみられず、抵当権が実行されるのはほぼ確実です。私はAに資力があるうちにあらかじめ求償権を行使しておきたいのですが、これは可能でしょうか。
正解は?
×
この問題の「私さん」は、不動産持ちです。
Aさんが、Bさんからお金を借りるのに、Aさんに頼まれて「物上保証人」となっています。
Bさんのために、所有する不動産に抵当権を設定したってことですね。
問題では、「Aさんの債務の期限が到来したけれども、Aさんは最近資金繰りに窮していて、債務を履行する様子がうかがえない。」ってことのようです。
そのため、「私さん」の設定した抵当権が実行されるのはほぼ確実。
「私さん」としては、Aさんに資力があるうちにあらかじめ求償権を行使しておきたいってことのようです。
これは可能ですかってのがこの問題。
こんな求償権の規定がありましたよね。
(委託を受けた保証人の事前の求償権)
第四百六十条 保証人は、主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、次に掲げるときは、主たる債務者に対して、あらかじめ、求償権を行使することができる。
一 主たる債務者が破産手続開始の決定を受け、かつ、債権者がその破産財団の配当に加入しないとき。
二 債務が弁済期にあるとき。ただし、保証契約の後に債権者が主たる債務者に許与した期限は、保証人に対抗することができない。
三 債務の弁済期が不確定で、かつ、その最長期をも確定することができない場合において、保証契約の後十年を経過したとき。
「委託を受けた保証人の事前の求償権」の規定ですが、問題の物上保証人云々の規定はありませんね。
ただ、二号に「債務が弁済期にあるとき。」ってのがあります。
債務が弁済期にあるとき。=問題で言う「このたびAの債務の期限が到来しました」ですが、、、
これは判例の確認が必要ですね。
平成2(オ)801 求償金 平成2年12月18日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 大阪高等裁判所
債務者の委託を受けてその者の債務を担保するため抵当権を設定した者(物上保証人)は、被担保債権の弁済期が到来したとしても、債務者に対してあらかじめ求償権を行使することはできないと解するのが相当である。
と言うことは、このケースは事前求償はできないってことですね。
「私さんに、あらかじめ求償権を行使することはできない。」とお話することになります。
問題
私は、AがBとの間に締結した土地の売買契約につき、売主であるAの土地引渡等の債務につき保証人となりましたが、このたびBがAの債務不履行を理由として売買契約を解除しました。Bは、私に対して、Aが受領した代金の返還について保証債務を履行せよと主張しています。私が保証債務の履行を拒むことは可能でしょうか。
正解は?
×
いろんな保証の形があるもんですね。
この問題の「私さん」は、AさんがBさんとの間に締結した土地の売買契約について、売主であるAさんの「土地引渡等の債務について保証人」となったと言うことのようです。
「私さん」は、「土地引渡等の債務についての保証人」です。
ところが、Aさんが債務不履行をしてしまった、「土地引渡等の債務について」履行しなかったってことですね。
当然、BさんはAさんの債務不履行を理由として売買契約を解除する訳です。
問題を読んでみると分かるんですが、Bさんは、契約に基づいてAさんに代金を支払っているようですから、怒りもMAXです。
Bさん「私さん、Aさんが受けとった代金返してけろ。」
代金の返還について「私さん」に保証債務を履行してって言ってる訳です。
「私さん」、保証人ではありますが、Aさんが受け取った代金を返還する保証債務の履行を拒むことはできるのかってのが、この問題です。
保証人とは言っても「それはAさんが受け取ったんだし。」って言いたくなりそうですよね。。。
昭和38(オ)1294 物件引渡等請求 昭和40年6月30日 最高裁判所大法廷 判決 破棄差戻 名古屋高等裁判所
保証人は、債務不履行により売主が買主に対し負担する損害賠償義務についてはもちろん、特に反対の意思表示のないかぎり、売主の債務不履行により契約が解除された場合における原状回復義務についても保証の責に任ずるものと認めるのを相当とする。
Aさんが受け取った代金を返還する
↓↑
売主の債務不履行により契約が解除された場合における原状回復義務
つまり、買主Bさんが売主Aさんに支払った代金の返還は、原状回復にあたり「保証債務」に含まれるってことです。
そのため、「保証債務の履行を拒むことはできない。」と回答することになります。
問題
私は、AがBから400万円の貸付を受けるにあたり、Aから依頼されてCと共に保証人となりましたが、その際、私およびCは、Aの債務の全額について責任を負うものとする特約を結びました。このたび、私はBから保証債務の履行を求められて400万円全額を弁済しましたが、私は、Cに対して200万円の求償を請求することが可能でしょうか。
正解は?
○
この問題は、「私さん」は、AさんがBさんから400万円の貸付を受けるにあたり、Aさんから依頼されてCさんと共に保証人となったって内容です。
「私さん」とCさんが保証人です。
と言うことは、
(数人の保証人がある場合)
第四百五十六条 数人の保証人がある場合には、それらの保証人が各別の行為により債務を負担したときであっても、第四百二十七条の規定を適用する。
第四百二十七条の規定を適用する
(分割債権及び分割債務)
第四百二十七条 数人の債権者又は債務者がある場合において、別段の意思表示がないときは、各債権者又は各債務者は、それぞれ等しい割合で権利を有し、又は義務を負う。
「それぞれ等しい割合で権利を有し、又は義務を負う。」
これは「分別の利益」と言うものですね。
「私さん」とCさんは、「分別の利益」が認められるってことです。
分別の利益=数人の保証人がある場合、各保証人は主たる債務を平等に分割した額についてのみ保証債務を負担すること
ただ、この問題、重要なことが問題に書かれています。
「私さん及びCさんは、Aさんの債務の全額について責任を負うものとする特約を結びました。」
この1文ですね。
分別の利益を、特約によって排除してるってことです。
この状況下で、「私さん」がBさんから保証債務の履行を求められて400万円全額を弁済しています。
問題とするところは、「私さん」は、共同保証人のCさんに対して200万円の求償を請求することができるかってことです。
(共同保証人間の求償権)
第四百六十五条 第四百四十二条から第四百四十四条までの規定は、数人の保証人がある場合において、そのうちの一人の保証人が、主たる債務が不可分であるため又は各保証人が全額を弁済すべき旨の特約があるため、その全額又は自己の負担部分を超える額を弁済したときについて準用する。
2 略。
(連帯債務者間の求償権)
第四百四十二条 連帯債務者の一人が弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得たときは、その連帯債務者は、他の連帯債務者に対し、各自の負担部分について求償権を有する。
2 略。
この2つの規定から「私さん」は、共同保証人のCさんに対して200万円の求償を請求することができるってことになります。
ここで注意しなければならないのは、「分別の利益」と「負担部分」です。
大丈夫ですか、混乱してませんか
分別の利益=数人の保証人がある場合、各保証人は主たる債務を平等に分割した額についてのみ保証債務を負担すること
問題の場合、400万円を二人で平等に分割すると各自200万円の保証債務を負担すると言うことです。
今回は、「特約」でこれを排除してますので、「私さん」は、400万円全額を弁済しています。
これ、「特約」で排除していない場合、その場合は、分別の利益が認められるため、債権者から全額の履行を求められてもそれに応じて全額弁済する必要はありません。
そして、
負担部分=数人の保証人がある場合、弁済をしたときにそれぞれが負担する割合のこと
問題の場合、400万円を二人で平等に分割すると各自200万円を負担すると言うことです。
ん、ほぼ同じような書き方ですね。
だから混乱する訳ですが、、、
つまり、「私さん」Cさんの負担部分を代わりに支払ったから返して(求償できる)って言える訳です。
これ、実は「分別の利益」でも負担部分って言えるんですね。
先ほどの「特約」で排除していない場合、分別の利益が認められるので、債権者から全額の履行を求められた場合、負担部分である200万円を弁済すれば良いってことになります。
う~ん、表裏一体。。。
こんなのは大丈夫だぁ~
だと思います。
今日のところはここまでです。
最後までありがとうございました。
んでまずまた。
自分が混乱した
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