行政書士試験 平成20年度問39 会社法の問題 | 行政書士試験 独学チャレンジ!!

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こんにちは。

 

今日は会社法の問題をやるんですが、珍しく語句の組合せ問題です。

 

語句の組合せ問題と言うことは、解るところから攻略できる問題と言うことです。

 

もちろん、すべて読んで答えることが出来れば一番良いんですけどね。

 

なかなか、それが、、、

 

少しでも一番良い状態に近づけるように、継続することが大切です。

 

今日の過去問は、平成20年度問39の問題です。

 

甲株式会社(以下、甲会社)の資金調達に関し、空欄に入る語句を検討してみましょう。

 

尚、文章中の発言・指摘・提案の内容は、正しいものとします。

 

 

それでは、早速。

 

 

 

問題

東京証券取引所に上場する甲会社は、遺伝子研究のために必要な資金調達の方法を検討している。

 

甲会社取締役会において、財務担当の業務執行取締役は、資金調達の方法として株式の発行、[ ア ]の発行、銀行借入れの方法が考えられるが、銀行借入れの方法は、交渉の結果、金利の負担が大きく、新規の事業を圧迫することになるので、今回の検討から外したいと述べた。

 

次に、株式の発行の場合は、甲会社の経営や既存株主に対する影響を避けるために、[ イ ]とすることが望ましいのであるが、会社法は[ ウ ]について[ イ ]の発行限度を定めているため、十分な量の資金を調達できないことが見込まれると指摘した。

 

社外取締役から、発行のコストを省くという観点では、[ エ ]を処分する方法が考えられるという意見が出された。

 

これに対して、財務担当の業務執行取締役は、株式の発行価額が、原則として資本金に計上されるのに対して、[ エ ]の場合は、その価額はその他[ オ ]に計上されるという違いがあると説明した。

 

こうした審議の中で、甲会社代表取締役は、[ ア ]の発行であれば、経営に対する関与が生じないこと、また[ ア ]を[ カ ]付とし、[ キ ]額を[ カ ]の行使価額に充当させるものとして発行すれば、[ キ ]に応じるための資金を甲会社が準備する必要はなく、現段階では、有利な資金調達ができるだろうと提案した。

 

 

 

いつものごとくサラッと目を通しましょう。

 

今日の問題は会社法の語句の組合せ問題なんですが、珍しいですよね。。。語句は7か所。。。この数も珍しい。。。

 

それでは、1か所ずつ順に確認していきますね。

 

 

 

正解[ ア ]は?

社債

 

 

 

[ ア ]に挙げられていた語句は、「社債×3」、「債権×2」の5肢です。

 

前回、同様の問題で数が多い方に正解が含まれておりましたが、今回はどうなのかはてなマーク興味がありますね

 

[ ア ]は、3ヶ所ありますが、一番初めのところで判断がつくと思います。

 

「資金調達の方法として株式の発行[ ア ]の発行銀行借入れの方法が考えられるが、」ですね。

 

この書き方だと[ ア ]は、「社債」ですね。

 

定義

第二条 この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる

一~二十二 略。

二十三 社債 この法律の規定により会社が行う割当てにより発生する当該会社を債務者とする金銭債権であって第六百七十六条各号に掲げる事項についての定めに従い償還されるものをいう

二十四~三十四 略。

 

募集社債に関する事項の決定

第六百七十六条 会社はその発行する社債を引き受ける者の募集をしようとするときはその都度募集社債について次に掲げる事項を定めなければならない

一 募集社債の総額

二 各募集社債の金額

三 募集社債の利率

四 募集社債の償還の方法及び期限

五 利息支払の方法及び期限

六 社債券を発行するときは、その旨

七~十二 略

 

社債の定義の中に、「会社を債務者とする金銭債権であって、」とありますので、「債権」でも間違いではなさそうですが、ちょっと漠然としています。

 

また、3つ目の[ ア ]が、「また[ア:社債]を[  ]付とし、」からも、具体的な回答の社債」がBESTですね。

 

 

 

正解[ イ ]は?

議決権のない株式

 

 

 

次に、[ イ ]ですが、挙げられていた語句は、「議決権のない株式×3」、「配当請求権のない株式×2」の5肢です。

 

[ イ ]は、2カ所ですが一文です。

 

株式の発行の場合は、

 

甲会社の経営や既存株主に対する影響を避けるために、[  ]とすること望ましいのであるが、」

 

「会社法は[ ウ ]について[  ]の発行限度を定めているため、十分な量の資金を調達できないことが見込まれると指摘した。」

 

[ イ ]のこの内容は、以前見た、「議決権のない株式」ですね。

 

異なる種類の株式

第百八条 株式会社は次に掲げる事項について異なる定めをした内容の異なる二以上の種類の株式を発行することができる。ただし、指名委員会等設置会社及び公開会社は、第九号に掲げる事項についての定めがある種類の株式を発行することができない。

一、二 略

三 株主総会において議決権を行使することができる事項

四~九 略。

2、3 略。

 

三号の「株主総会において議決権を行使することができる事項」について、「異なる定めをした内容の異なる二以上の種類の株式」の発行です。

 

議決権のない株式」ですから、会社に対する発言権がないので、「甲会社の経営や既存株主に対する影響がない」と言うことになります。

 

ですので、[ イ ]は、「議決権のない株式」です。

 

 

 

正解[ ウ ]は?

公開会社

 

 

 

次に、[ ウ ]ですが、挙げられていた語句は、「公開会社×3」、「上場会社×2」の5肢です。

 

[ ウ ]は、[イ:議決権のない株式]からの引き続きなんですが、「議決権のない株式」には、決まりごとがありましたよね。

 

覚えてますかはてなマーク

 

それが問題に書かれているところですね。

 

「会社法は[  ]について[イ:議決権のない株式]の発行限度を定めているため、」

 

そうですね、[ ウ ]は、「公開会社」です。

 

議決権制限株式の発行数

第百十五条 種類株式発行会社が公開会社である場合において、株主総会において議決権を行使することができる事項について制限のある種類の株式(議決権制限株式の数が発行済株式の総数の二分の一を超えるに至ったときは、株式会社は直ちに議決権制限株式の数を発行済株式の総数の二分の一以下にするための必要な措置をとらなければならない

 

 

 

正解[ エ ]は?

自己株式

 

 

 

次に、[ エ ]です。

 

挙げられていた語句は、「金庫株式×2」、「自己株式×2」、「募集株式×1」の5肢です。

 

ここは、選択肢が3つになってますね。

 

[ エ ]は、2カ所あります。

 

「社外取締役から、発行のコストを省くという観点では、[  ]を処分する方法が考えられるという意見が出された。」

 

「株式の発行価額が、原則として資本金に計上されるのに対して、[ エ ]の場合は、その価額はその他[ オ ]に計上されるという違いがあると説明した。」

 

ヒントは、「発行のコストを省くという観点では、」ですね。

 

と言うことは、「既に発行されている会社が保有している株式を処分する」と言うことです。

 

株券発行会社株式を発行する場合には、紙代や印刷代等の費用がかかりますよね。

 

発行が済んでいる自己株式の場合、それを処分することで資金調達をするんであれば、そのコストは省くことができます

 

 

ん、そう言えば、以前、「自己株式」は、「金庫株」って呼ばれることもあるってのを書きましたよね。

 

覚えてますかはてなマーク

 

選択肢に「金庫株式」ってのがありますが、、、

 

そこんとこどうなのはてなマーク って感じている人もいるんじゃないでしょうかはてなマーク

 

呼ばれることもある」=俗称ってことです。

 

条文に、「自己株式」って書かれていますので、やっぱり正しい方で答えなきゃいけませんね。

 

募集事項の決定

第百九十九条 株式会社はその発行する株式又はその処分する自己株式を引き受ける者の募集をしようとするときはその都度募集株式について次に掲げる事項を定めなければならない

一~五 略

2~5 略。


[ エ ]は、「自己株式」です。

 

 

 

正解[ オ ]は?

資本剰余金

 

 

 

次に、[ オ ]です。

 

挙げられていた語句は、「資本準備金×2」、「資本剰余金×2」、「利益準備金×1」の5肢です。

 

ここも選択肢が3つになってますね。

 

[ オ ]は、[ エ ]からの引き続きで1カ所です。

 

「株式の発行価額が、原則として資本金に計上されるのに対して、[エ:自己株式]の場合は、その価額はその他[ オ ]に計上されるという違いがあると説明した。」

 

資本金の額及び準備金の額

第四百四十五条 株式会社の資本金の額この法律に別段の定めがある場合を除き設立又は株式の発行に際して株主となる者が当該株式会社に対して払込み又は給付をした財産の額とする

2~5 略。

 

書かれてますね。

 

株式を発行した場合は、「原則」、資本金に計上されます。

 

問題の自己株式の場合ですが、、、
 

企業会計基準第1号

自己株式の処分

9 自己株式処分差益はその他資本剰余金に計上する

 

自己株式を処分した場合には、その他資本剰余金」に計上することが企業会計基準によって決められています

 

自己株式は、既に発行済の株式を市場から買い取ったものです。

 

つまり、自己株式になった時点で単なる会社の「財産」となってしまいます。

 

ですので、その自己株式を処分した場合には、その他資本剰余金」に計上される訳です。

 

資本剰余金資本取引から生じた剰余金のこと。資本剰余金は「資本準備金」と「その他資本剰余金」に分けられる。


[ オ ]は、「資本剰余金」ですね。

 

 

 

正解[ カ ]は?

新株予約権

 

 

 

次に、[ カ ]です。

 

挙げられていた語句は、「新株予約権×2」、「取得請求権×2」、「買取請求権×1」の5肢です。

 

ここも選択肢が3つになってますね。

 

[ カ ]は、最後のブロックですね。

 

こうした審議の中で、甲会社代表取締役は、[ア:社債]の発行であれば、経営に対する関与が生じないこと、また[ア:社債]を[ カ ]付とし、[ キ ]額を[ カ ]の行使価額に充当させるものとして発行すれば、[ キ ]に応じるための資金を甲会社が準備する必要はなく、現段階では、有利な資金調達ができるだろうと提案した。

 

ここのヒントは、「また[ア:社債]を[ カ ]付とし、」ですね。

 

[ア:社債]が解った時点で、[ カ ]は、「新株予約権」と判断して欲しいところです。

 

定義

第二条 この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる

一~二十 略。

二十一 新株予約権 株式会社に対して行使することにより当該株式会社の株式の交付を受けることができる権利をいう

二十二 新株予約権付社債 新株予約権を付した社債をいう

二十三~三十四 略。

 

「社債」は、「会社を債務者とする金銭債権」です。

 

と言うことは、社債を持っている人は、「会社債権者」であって株主ではありませんので経営に関与することはありません

 

ですが、「社債」は、株式のような出資ではないので、期限がきたら返済しなければなりません

 

返済しなければならない返済額を準備しておく必要がある

 

そう言った会社の負担を軽減する策が、「新株予約権社債です。

 

例えば、「社債」と「募集株式の発行を組み合わせたとします。

 

社債を発行した後、期限が来たら一度返済しなければなりませんよね。

 

そして、その後、募集株式を発行するときに改めて出資してもらうって言う形をとることになります

 

それぞれが独立した手続を踏むと言うことです。

 

これを「新株予約権社債にすると、会社は返済する必要はなくなり、社債権者も改めて払込をする必要もなく株主になれる訳です。

 

会社は返済する必要はなくなり=返済するお金を新株予約権の行使価額に充当すると言うこと

 

そのため、返済に応じるための資金を会社が準備する必要はない訳です。

 

つまり、「新株予約権社債を持ってると株主になれる権利を持っているのと同じことです。

 

どうです、会社、社債権者の両方にメリットがありますよね。

 

と言うことで、[ カ ]は、「新株予約権」です。

 

 

 

正解[ キ ]は?

償還

 

 

 

最後に、[ キ ]です。

 

挙げられていた語句は、「払戻し×3」、「償還×2」の5肢です。

 

ここは選択肢が2つになってますね。

 

[ キ ]も、最後のブロックですね。

 

こうした審議の中で、甲会社代表取締役は、[ア:社債]の発行であれば、経営に対する関与が生じないこと、また[ア:社債]を[カ:新株予約権]付とし、[ キ ]額を[カ:新株予約権]の行使価額に充当させるものとして発行すれば、[ キ ]に応じるための資金を甲会社が準備する必要はなく、現段階では、有利な資金調達ができるだろうと提案した。

 

払戻しはてなマーク

 

これはちょっと違いますね。

 

私が、「払戻し」と聞いてイメージするのは、「競馬競輪」ですね、やりませんけど。。。

 

「社債」は、「会社を債務者とする金銭債権」です。

 

そして、この債券などで、期限が来て投資家にお金を返すことを「償還」すると言います。

 

つまり、[ キ ]は、「償還」です。

 

ここは、1問目の条文で出てきてるんですけどね。。。

 

 

 

最後に、問題から資金調達の方法は、4つあることがわかりました。

 

1.株式の発行

2.社債の発行

3.銀行借入れ

4.自己株式の処分

 

 

 

参照

 

東京証券取引所に上場する甲会社は、遺伝子研究のために必要な資金調達の方法を検討している。甲会社取締役会において、財務担当の業務執行取締役は、資金調達の方法として株式の発行、[ア:社債]の発行、銀行借入れの方法が考えられるが、銀行借入れの方法は、交渉の結果、金利の負担が大きく、新規の事業を圧迫することになるので、今回の検討から外したいと述べた。次に、株式の発行の場合は、甲会社の経営や既存株主に対する影響を避けるために、[イ:議決権のない株式]とすることが望ましいのであるが、会社法は[ウ:公開会社]について[イ:議決権のない株式]の発行限度を定めているため、十分な量の資金を調達できないことが見込まれると指摘した。社外取締役から、発行のコストを省くという観点では、[エ:自己株式]を処分する方法が考えられるという意見が出された。これに対して、財務担当の業務執行取締役は、株式の発行価額が、原則として資本金に計上されるのに対して、[エ:自己株式]の場合は、その価額はその他[オ:資本剰余金]に計上されるという違いがあると説明した。こうした審議の中で、甲会社代表取締役は、[ア:社債]の発行であれば、経営に対する関与が生じないこと、また[ア:社債]を[カ:新株予約権]付とし、[キ:償還]額を[カ:新株予約権]の行使価額に充当させるものとして発行すれば、[キ:償還]に応じるための資金を甲会社が準備する必要はなく、現段階では、有利な資金調達ができるだろうと提案した。

 

 

あぁ~残念。。。ショボーン

 

何がはてなマーク って。。。

 

最後の「償還だけ個数の少ない方が正解でした。

 

と言うことは、こういう形式の場合、多い方に正解が含まれている可能性はやはり、「少し」高いと言うことになりそうです。

 

まぁ、可能性ですね。(

 

 

今日も最後まで有難うございました。

 

 

今日のところはここまでです。

 

 

 

んでまずまた。

 

 

 

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