こんにちは。
今日は、一般知識等ですね。
一般知識等を攻略するには、「情報通信、個人情報保護、文章理解を確実に取ること。」ってのを聞いたことがありますよね。
この三つが全て取れるとは限らないので+αは必要なんですが、攻略する上で「肝」になることは間違いありません。
ここのところ出題数が不安定ではあるようですが、ここを計算できるようになれば攻略は楽になります。
とくに、文章理解は開業後に手引書を読んだりするときに役立ちますので確実に3問Getできるようになりましょう。
今日の過去問は、平成18年度問55の問題を○×式でやりたいと思います。
通信の秘密と個人情報の保護に関する問題ですね。
それでは、早速。
問題
個人の秘密に関する情報の漏洩は個人情報保護法により刑事罰の対象となるが、通信の秘密を侵害しただけでは刑事罰の対象とはならない。
正解は?
×
この問題は、「個人の秘密に関する情報の漏洩」と「通信の秘密を侵害した」とそれぞれ刑事罰の対象となるのかならないのかってことですね。
問題では、
①「個人の秘密に関する情報の漏洩」→個人情報保護法により刑事罰の対象となる。
漏洩=秘密などが、もれること。また、もらすこと。
②「通信の秘密を侵害した」→刑事罰の対象とはならない。 と言っていますね。
①から確認してみます。
これは、確認しやすいですね、「個人情報保護法により」と書かれてますから。。。
個人情報保護法
第八十二条 第七十二条の規定に違反して秘密を漏らし、又は盗用した者は、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
(秘密保持義務)
第七十二条 委員長、委員、専門委員及び事務局の職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らし、又は盗用してはならない。その職務を退いた後も、同様とする。
これは、「個人情報保護委員会」に関する罰則です。
第八十三条 個人情報取扱事業者若しくはその従業者又はこれらであった者が、その業務に関して取り扱った個人情報データベース等(その全部又は一部を複製し、又は加工したものを含む。)を自己若しくは第三者の不正な利益を図る目的で提供し、又は盗用したときは、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
この規定は、「個人情報取扱事業者若しくはその従業者又はこれらであった者」に対する規定ですね。
自己若しくは第三者の不正な利益を図る目的で提供=漏洩
提供=自分の持っている物をほかの人の役に立てるよう差し出すこと。
条文に書かれている「懲役」、「罰金」は、刑事罰ですので①は、正しいですね。
次に、②ですが、、、
電気通信事業法
第百七十九条 電気通信事業者の取扱中に係る通信の秘密を侵した者は、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
2 電気通信事業に従事する者が前項の行為をしたときは、三年以下の懲役又は二百万円以下の罰金に処する。
3 前二項の未遂罪は、罰する。
書かれてますね、1項で「電気通信事業者」、2項で「電気通信事業に従事する者」が、「通信の秘密を侵した=通信の秘密を侵害した」場合、「懲役」、「罰金」に処する。。。
と言うことは、②の「通信の秘密を侵害した」場合も「刑事罰の対象となる。」ですね。
ちなみに、、、
通信の秘密とは
通信の秘密(保障)=通信の内容だけでなく、その存在の秘密が確保されることも含む。
保護の及ぶ範囲=通信内容だけでなく、通信当事者の住所、氏名、通信日時、発信場所等通信の構成要素や通信の存在の事実の有無等も含む。
通信の秘密を侵害する=通信の秘密の保障が及ぶ事項の秘密を侵す行為
(通信当事者以外の第三者がこれらの事実を故意に知ったり、自己又は他人のために利用したり、第三者に漏洩することなど全てを含む。)
ちょっと細かいですね。。。
問題
個人情報保護法が私人に対しても適用されるのに比べ、通信の秘密の法理は、公権力による通信の侵害にのみ適用され、私人による通信の秘密の侵害には適用されない。
正解は?
×
この問題で確認すべきは、
①「個人情報保護法が私人に対しても適用される」ってことと、
②「通信の秘密の法理は、公権力による通信の侵害にのみ適用され、私人による通信の秘密の侵害には適用されない。」ってことの2つです。
①に関して言えば、
この過去記事を参照していただければと思いますが、、、
個人情報保護法は、第一章~第三章までの「基本法」と第四章以降の民間部門を規制する「一般法」の規定から成り立っていましたよね。
第四章以降にある「個人情報を取り扱う事業者」とは、「私人」のことを指しますので、①は正しいですね。
それと②ですが、、、
「通信の秘密」って憲法にも書かれてますが、記憶にありますか
日本国憲法
第二十一条
1 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
2 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。
2項の後段ですね。
日本国憲法は、立憲的意味の憲法です。
立憲的意味の憲法=政治権力の組織を定めるのみならず、国家権力を制限して個人の人権を保障することを目的とする。
以前にも書いたと思うんですが、「権力ある国家を縛るものであって国民を縛るものではない。」と言うことです。
ただ、この憲法は、国家の存在を基礎づける基本法ですので、直接にしろ、間接にしろ、その効力は私人にも及びます。
そのため、「公権力による通信の侵害に(のみ)適用され」るのはもちろんですが、「私人による通信の秘密の侵害には適用されない。」とは言えません。
「通信の秘密の法理」は、私人による侵害にも適用されると言うことです。
これは、普通に考えれば、通信事業者(私人)が「通信の秘密」を侵害しても良いのかってことを考えればおのずと答えは出てきますよね。(笑)
問題
受信者が個人情報保護法に基づき匿名通信の発信者情報の開示を求めた場合には、発信者の通信にかかる通信の秘密は保護されない。
正解は?
×
この問題は、「受信者が、個人情報保護法に基づき匿名通信の発信者情報の開示を求めた場合」です。
問題では、「発信者の通信にかかる通信の秘密は保護されない。」と言っていますが。。。
個人情報保護法の開示の規定を確認してみます。
個人情報保護法
(開示)
第二十八条 本人は、個人情報取扱事業者に対し、当該本人が識別される保有個人データの開示を請求することができる。
2 個人情報取扱事業者は、前項の規定による請求を受けたときは、本人に対し、政令で定める方法により、遅滞なく、当該保有個人データを開示しなければならない。ただし、開示することにより次の各号のいずれかに該当する場合は、その全部又は一部を開示しないことができる。
一 本人又は第三者の生命、身体、財産その他の権利利益を害するおそれがある場合
二 当該個人情報取扱事業者の業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合
三 他の法令に違反することとなる場合
3、4 略。
個人情報保護法に基づく開示請求は、「本人が識別される保有個人データの開示」について認められるものと言うことですね。
第二十八条2項では、個人情報取扱事業者に対して本人からの求めに応じて保有個人データを開示する義務を定めています。
ただ、ただし書きの規定で、「全部又は一部」の不開示事由を定めていますね。
不開示事由の三号、「他の法令に違反することとなる場合」ってのがあります。
開示することで第三者の通信の秘密を侵害する場合には、「電気通信事業法等に違反する」こととなるため、この場合は、不開示事由(他の法令に違反することとなる場合)に該当します。
つまり、他の法令等に違反する場合などの「不開示事由」があれば開示請求を拒むことができるため、「発信者の通信にかかる通信の秘密は保護される。」と言うことになります。
受信者が個人情報保護法に基づき発信者情報の開示を求めた場合でも、「不開示事由」があれば「発信者の通信にかかる通信の秘密は保護される。」と言えることになります。
問題
通信の秘密を保護する義務は、回線を保有管理する電気通信事業者には課せられるが、回線を利用するに過ぎない電気通信事業者(プロバイダ)は、個人情報保護法の適用は受けても、通信の秘密を保護する義務は負わない。
正解は?
×
問題では、
通信の秘密を保護する義務について、
①「回線を保有管理する電気通信事業者には課せられる。」
②個人情報保護法の適用は受けても、「回線を利用するに過ぎない電気通信事業者(プロバイダ)には課せられない。」と言っています。
電気通信事業者(私人)も「個人情報を取り扱う事業者」ですので、②の個人情報保護法の適用は受けるってのは問題ありませんね。
続いて、①と②を合わせてみてみますね。
電気通信事業法
(秘密の保護)
第四条 電気通信事業者の取扱中に係る通信の秘密は、侵してはならない。
2 電気通信事業に従事する者は、在職中電気通信事業者の取扱中に係る通信に関して知り得た他人の秘密を守らなければならない。その職を退いた後においても、同様とする。
1項に答えが書かれていますね。
電気通信事業者=①回線を保有管理する、②回線を利用するに過ぎない、どちらであっても電気通信事業者に変わりはありません。
ですので、プロバイダも電気通信事業者として「通信の秘密を保護する義務」を負うと言うことになりますよね。
問題
通信にかかる個人の秘密は個人情報保護法によっても保護されるが、通信にかかる法人の秘密は、通信の秘密の法理により保護される。
正解は?
○
この問題は、
①通信にかかる個人の秘密は、個人情報保護法によっても保護される
②通信にかかる法人の秘密は、通信の秘密の法理により保護される
この二点ですね。
最初に①です。
個人情報保護法
(定義)
第二条 この法律において「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、次の各号のいずれかに該当するものをいう。
一 当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの
(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)
二 個人識別符号が含まれるもの
2~10 略。
1項に書かれている通り、個人情報とは、生存する「個人」すなわち、自然人に関する情報に限定され、法人の情報は含まれません。
法人の秘密は、個人情報保護法の対象ではないと言うことですね。
そのため、①通信にかかる個人の秘密は個人情報保護法によっても保護される、は○ですね。
それと②ですが、、、
ん、あれ、これは、、、2問目で見てますね。。。
「通信の秘密の法理」
ただ、注意点。。。
この問題では、「個人」と「法人」、二問目は、公権力に対する「通信事業者(私人)」です。
この問題の「法人」と二問目の「私人(通信事業者)」はこんがらがりそうですが同じです。
ですので、
②通信にかかる法人の秘密は、通信の秘密の法理により保護される=○ と言うことですね。
「通信の秘密の法理」による保護は、「個人」と「法人」の区別なく適用があるため、個人情報よりも範囲が広くなっていると言うことです。
①通信にかかる個人の秘密は、「個人情報保護法」によっても保護されるが、②通信にかかる法人の秘密は、「通信の秘密の法理」により保護される。
①も②も○と言うことです。
今日も最後まで有難うございました。
今日のところはここまでです。
んでまずまた。
個人情報保護は大切だよ。。。
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