こんにちは。
先日の体調不良以来、ちょっとセーブ気味です。
昼に時間がとれそうなので、行政書士の講習か、私も何らかの試験を受けようかと考えています。
ただ、どちらもこちらの都合には合わせてくれませんのでどうなることやら。(笑)
今日の過去問は、平成18年度問30の問題を○×式でやりたいと思います。
Aは、B所有の甲土地について地上権の設定を受けて、同土地上に乙建物を建築した。
Aが同建物を建築するについては、そのための資金としてC銀行から融資を受けた。
この内容から問題を検討してみましょう。
それでは、早速。
問題
Aが死亡し、Aの相続人EおよびFが遺産分割により乙建物を共有することになった場合において、EおよびFは、相互に5年間は乙建物の分割を請求することはできない。
正解は?
×
この問題は、Aさんが、Bさん所有の甲土地に地上権の設定を受けて、C銀行から融資により甲土地上に乙建物を建築したと言うものです。
とすると、土地はBさんのものですね。
では、設定を受けた地上権とは
地上権=工作物又は竹木を所有するために、他人の土地を利用するための物権
この地上権は、用益物権と言います。
用益物権=他人の物を利用することを内容とする物権
問題の地上権の他、永小作権、地役権、入会権などがあります。
そして、地上権の具体例としては、問題のように建物を所有するために他人の土地(Bさんの土地)を利用させてもらう場合があります。
Aさんは、乙建物を所有するためにBさんに土地を利用させてもらっていると言うことです。
そのAさんが亡くなって、遺産分割により相続人のEさんとFさんが乙建物を共有することになったってのがこの問題です。
地上権の設定、資金の融資、相続、共有、これはこれはいろんなものが出てきていますね。
ただ、を当てるべきは、「EおよびFは、相互に5年間は乙建物の分割を請求することはできない。」ここだけです。
これ、不分割特約のことですね。
では、条文を確認してみます。
(共有物の分割請求)
第二百五十六条 各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。ただし、五年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない。
2 前項ただし書の契約は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から五年を超えることができない。
条文を見てみると
原則=各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。
例外(不分割特約)=五年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない。
この例外は、例えば「三回忌が終わるまで分割について考えるのはやめよう」とか契約がなされている場合と言うことです。
ちなみに、「五年を超えない期間内は」ですから、1年でも2年でも3年でも5年を超えない期間と言うことです。
問題には、特約云々は書かれていませんので、Eさん及びFさんは乙建物の分割を請求することができます。
問題
Bが死亡し、Bの相続人Dが甲土地を相続した場合に、Aは、甲土地についての地上権登記または乙建物についての保存登記を経由していない限り、Dに対し、Aの甲土地についての地上権を対抗することはできない。
正解は?
×
この問題も相続絡みですね。
地上権を設定してくれたBさんが亡くなって、Dさんが甲土地を相続したようです。
1問目で確認しましたが、地上権は物権です。
とすると、有名な条文がありますね。
物権変動の対抗要件です。
(不動産に関する物権の変動の対抗要件)
第百七十七条 不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。
書いてますね、「不動産に関する物権の得喪及び変更」は、登記をしなければ、第三者に対抗することができない。
一見すると対抗できないようにも感じますが。。。
ここで言う第三者とは
第三者=当事者若しくはその包括承継人以外の者で不動産に関する物権の得喪及び変更の登記のないことを主張する正当の利益を有する者をいう。
相続をしたDさんの立場は
(相続の一般的効力)
第八百九十六条 相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。
書いてますね、「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。」
この「被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。」ことを「包括」と言います。
包括=ひっくるめて一つにまとめること。全体をひっくるめてまとめること。
と言うことで、聞いたことがあると思いますが、Dさんは、「包括承継人」です。
つまり、Dさんは、「当事者(Bさん)」と同様の地位として扱われるんですね。
とするとAさんは、登記がなくてもDさん(Bさんと同様)に対抗することができると言うことですね。
問題
A・B間では賃借権ではなく地上権が設定されたので、その存続期間については、借地借家法の適用はなく民法の規定が適用される。
正解は?
×
賃借権ではなく地上権が設定された=借地借家法の適用はなく民法の規定が適用される
う~ん、借地借家法とは
借地借家法
(趣旨)
第一条 この法律は、建物の所有を目的とする地上権及び土地の賃借権の存続期間、効力等並びに建物の賃貸借の契約の更新、効力等に関し特別の定めをするとともに、借地条件の変更等の裁判手続に関し必要な事項を定めるものとする。
「建物の所有を目的とする地上権」とハッキリと書かれていますね。
さらに、
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 借地権 建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権をいう。
二 借地権者 借地権を有する者をいう。
三 借地権設定者 借地権者に対して借地権を設定している者をいう。
四、五 略。
それぞれ用語も定められていますが、特に注目すべきは一号です。
問題では、「賃借権ではなく地上権が設定されたので、」と言っていますが、「建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権。」を借地借家法では「借地権」と言います。
地上権だろうが賃借権だろうが「借地権」なんですね。
つまり、地上権については「民法は一般法」、「借地借家法は特別法」と言うことです。
と言うことは、問題の存続期間は「借地借家法」が適用されると言うことになりますよね。
(借地権の存続期間)
第三条 借地権の存続期間は、三十年とする。ただし、契約でこれより長い期間を定めたときは、その期間とする。
存続期間は、「三十年」です。
ただし書きは、この規定より長い分には良いよって規定ですね。
それと
(強行規定)
第九条 この節の規定に反する特約で借地権者に不利なものは、無効とする。
この規定ですね、つまり「三十年」ってのは最短と言うことで、これより短いのは借地権者に不利だから無効とすると決められています。
借地権=三十年以上 です。
問題
AがC銀行のために抵当権を設定するには、乙建物のみを抵当権の目的とすることができ、Aの甲土地に対する地上権を抵当権の目的とすることはできない。
正解は?
×
Aさん、乙建物を建築するにあたり、C銀行より融資を受けています。
と言うことは、担保が必要ですね。
担保=債務不履行の際に債務の弁済を確保する手段として、あらかじめ債権者に提供しておくもの。質権・抵当権などの物的担保と保証人などの人的担保がある。
書かれてますね、抵当権は物的担保です。
問題にある乙建物に抵当権を設定するのはよくある話ですね、問題はないでしょう。
問題は、「Aさんの甲土地に対する地上権を抵当権の目的とすることはできない。」のかと言うことです。
地上権=工作物又は竹木を所有するために、他人の土地を利用するための物権
他人の土地を使用できる権利と言ったところですね。
「権利」を抵当権の目的とすることができるのか
(抵当権の内容)
第三百六十九条 抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
2 地上権及び永小作権も、抵当権の目的とすることができる。この場合においては、この章の規定を準用する。
1項で「不動産」、2項で「地上権及び永小作権」を抵当権の目的とすることができると規定しています。
Aさんは、「乙建物」と「Aさんの甲土地に対する地上権」を抵当権の目的とすることができると言うことですね。
問題
AのC銀行に対する債務の担保のために、Aが乙建物についてC銀行のために抵当権を設定するとともに、Bが物上保証人として甲土地についてC銀行のために抵当権を設定していた場合において、C銀行が抵当権を実行するには、まず乙建物から行う必要はない。
正解は?
○
AさんのC銀行に対する債務の担保です。
1.Aさんが乙建物についてC銀行のために抵当権を設定
2.Bさんが物上保証人として甲土地についてC銀行のために抵当権を設定
2つの抵当権が設定されていますのでC銀行としては安心ですね。
Bさんの立場は
物上保証人ですね。
と言うことは、連帯保証人とは違い、主債務者が弁済できなくなった場合、担保として提供した財産を失うことはあっても、それ以上の責任を負うことはありません。
つまり、弁済の義務はないと言うことです。
この主たる債務者が弁済できなくなった場合に履行しなければいけない義務のことを「補充性」と言います。
Bさんは物上保証人ですから「補充性」は有りません。
と言うことは、
(催告の抗弁)
第四百五十二条 債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、保証人は、まず主たる債務者に催告をすべき旨を請求することができる。ただし、略。
(検索の抗弁)
第四百五十三条 債権者が前条の規定に従い主たる債務者に催告をした後であっても、保証人が主たる債務者に弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、債権者は、まず主たる債務者の財産について執行をしなければならない。
Bさんは、この2つの権利を有しませんね。
財産を失うことはあっても、弁済の義務が無いからですね。
そうすると、この状況を債権者側から見るとたんに担保が2つあるってだけのことです。
民法上、抵当権者が複数の抵当権を有するとき、先に「債務者所有の不動産から実行すること」を義務付ける規定はありません。
そのため、C銀行は甲土地から抵当権を実行することも、乙建物から抵当権を実行することもできる訳です。
どっちでも良いってことですね。
今日は、いろいろと絡んで面白かったですね。
今日のところはここまでです。
今日も最後までありがとうございました。
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