こんにちは。
今日は商法です。
先日、民法でも見た「寄託」に関する問題ですね。
違いはあるんだろうか
まぁ、その辺を意識して学習してみましょう。
今日の過去問は、平成19年度問40の問題を○×式でやります。
場屋営業等について○×れって問題です。
それでは、早速。
問題
商人がその営業の範囲内において物品の寄託を受けた場合には、報酬を受けないときであっても、善良な管理者の注意をもってその物品を保管する義務を負う。
正解は?
○
「寄託」ですね。
先日やりましたよね。
これ、間違った人~~~。。。
結構いますね。
そうだと思います。
先日との違いは何でしょう
そうですね、民法と商法、つまり、友人、知り合い、親戚などからの寄託と「営業の範囲内で受ける寄託」、仕事上のプロですね、この違いです。
第五百九十三条 商人が其営業の範囲内に於て寄託を受けたるときは報酬を受けざるときと雖も善良なる管理者の注意を為すことを要す
プロの場合は、報酬を受ける、受けないにかかわらず「善管注意義務」です。
民法
寄託(無償)=自己の財産に対するのと同一の注意義務
寄託(有償)=善管注意義務
商法
寄託(有償・無償)=善管注意義務 です。
う~ん、一問目から勉強になりますね。。。
問題
客が物品を特に寄託することなく場屋中に携帯した場合において、場屋の主人または使用人の不注意によってその物品が滅失または毀損したときは、場屋の主人は、損害賠償の責任を負う。
正解は?
○
場屋=旅館・ホテル・飲食店・劇場・映画館・遊園地・テーマ-パーク等のように、不特定多数の人の利用に適する物的・人的設備を備えた場所。
これ、簡単に言うと場屋(例:旅館やホテルの部屋)に寄託することなく持ち込んだ物を施設側の不注意で壊された、滅失されたってことですね。
どうでしょう
普通の感覚なら「壊しちゃいました、ごめんなさい、弁償します。」ってのが当たり前の対応だと思いますが。。。
第五百九十四条
1 略。
2 客が特に寄託せざる物品と雖も場屋中に携帯したる物品が場屋の主人又は其使用人の不注意に因りて滅失又は毀損したるときは場屋の主人は損害賠償の責に任ず
3 略。
これは、普通の感覚で良いってことですね。
条文がちょっと変に感じるのは、旧仮名を修正しているからです。
ご容赦をm(__)m
問題
客が携帯する物品について責任を負わない旨を告示した場合には、場屋の主人は、損害賠償の責任を負うことはない。
正解は?
×
場屋の主人さん。
ちなみに読み方は、「じょうおく」です。
一問目に書きましたよね、「営業の範囲内で受ける寄託」、と言うことは、場屋の主人は商人です。
商人がその「営業の範囲内において」物品の寄託を受けたってことは、プロが寄託を受ける訳です。
「客が携帯する物品について責任を負わない旨を告示する。」
どうでしょうか
現実的に書かれているのを見たことがありますか
これを認めたら場屋営業では、すべて表示してませんか
だって責任は負いたくないじゃないですか。
それはあかんよと言うことです。
第五百九十四条
1、2 略。
3 客の携帯品に付き責任を負わざる旨を告示したるときと雖も場屋の主人は前二項の責任を免るることを得ず
告示しても責任は免れません。
ここで言う責任は、「前二項の責任」です。
前問で「損害賠償責任」を確認していますよね。
問題
場屋の主人は、客より寄託を受けた物品が滅失または毀損した場合には、それが不可抗力によることを証明しない限り、損害賠償の責任を免れることができない。
正解は?
○
不可抗力=人間の力ではどうにもさからうことのできない力や事態。法律で、外部から発生した事実で、普通に要求される注意や予防方法を講じても、損害を防止できないもの。
以下、不可抗力が認められた判例の要旨です。
ホテルの主人が盗難防止設備を設けていたにもかかわらず、暴力をもって侵入して客の物品を盗んでいった場合には不可抗力にあたると言うものがあります。
「盗難防止設備を設けていた」(普通に要求される注意や予防方法)と「暴力をもって侵入」(外部から発生した事実)
まさしく、不可抗力の意味するところですね。
第五百九十四条 旅店、飲食店、浴場其他客の来集を目的とする場屋の主人は客より寄託を受けたる物品の滅失又は毀損に付き其不可抗力に因りたることを証明するに非されば損害賠償の責を免るることを得ず
2、3 略。
前の問題で見た「前二項の責任」の一つです。
これも「損害賠償責任」です。
第五百九十四条
2 客が特に寄託せざる物品と雖も場屋中に携帯したる物品が場屋の主人又は其使用人の不注意に因りて滅失又は毀損したるときは場屋の主人は損害賠償の責に任ず
3 客の携帯品に付き責任を負わざる旨を告示したるときと雖も場屋の主人は前二項の責任を免るることを得ず
これで、第五百九十四条すべてが出揃いました。
1項では、不可抗力によることを証明できなければ損害賠償の責任を免れない。
2項では、場屋の主人又は其使用人の不注意で滅失又は毀損した場合は損害賠償の責任を負う。
3項では、責任を負わざる旨を告示しても場屋の主人は1項と2項の責任は免れないと規定していると言うことです。
原則は、「責任を負う」、例外は「不可抗力を証明できたとき」と言うことですね。
問題
場屋の主人は、客から高価品の寄託を受けた場合には、客がその種類および価額を明告して寄託したときでなければ、その物品の滅失または毀損によって生じた損害を賠償する責任を負わない。
正解は?
○
前の問題で、原則は、「責任を負う」、例外は「不可抗力を証明できたとき」と言うことを確認しました。
この問題はどうなんでしょうか
寄託されるものは、「高価品」です。
判例では、高価品とは、「容積または重量の割に著しく高価な物品をいう」と判断しています。
宝石、貴金属、美術品、骨董品、他にもたくさんありますね。
これ、場屋の主人としては高価品であれば、善管注意義務とはいえ、より慎重な対応をとるはずですよね。
施設によっては、「セーフティボックス」とかありますよね。
関連する条文を確認しますね。
第五百九十五条 貨幣、有価証券其他の高価品に付ては客が其種類及び価額を明告して之を前条の場屋の主人に寄託したるに非されば其場屋の主人は其物品の滅失又は毀損に因りて生じたる損害を賠償する責に任せず
高価品と明告しなかった場合の滅失等は、責任を負わなくても良いみたいですね。
確かに、、、後からなら何とでも言えちゃいますもんね。。。
先ほどの原則と例外の他に、これは「条件付き」とでも言えそうですね。
今日も最後までお付き合い有難うございました。
今日のところはここまでです。
んでまずまた。
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