行政書士試験 平成22年度問33 民法の問題 | 行政書士試験 独学チャレンジ!!

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こんにちは。

 

いやぁ~、今週はちょっときつかったですね。

 

厳密には10日からなんですが、不規則この上ない状況でした。

 

それも明日まで。。。

 

う~ん、研修なんかもあったので仕方ないんですが、、、少し気持ち的に落ち着きたいですね。

 

10日間か。。。まだ、体力的には大丈夫ってのは良かったんですけどね。

 

そう言えば、今週虫歯抜いたんだ。う~ん、随分前のような気も。。。

 

 

今日の過去問は、平成22年度問33の問題○×式でやりたいと思います。

 

AのBに対する不当利得返還請求等に関する問題で、判例に照らして検討しましょう。

 

それでは、早速。

 

 

 

問題

Cは、BからB所有の家屋を賃借した際に、CがBに対して権利金を支払わない代わりに、Cが当該家屋の修繕義務を負うこととする旨を合意したため、後日、当該家屋の修繕工事が必要となった際、CはAに対してこれを依頼し、Aが同工事を完了したが、CはAに修繕代金を支払う前に無資力となってしまった。この場合に、Aは、Bに対し、不当利得として修繕代金相当額の返還を請求することはできない。

 

 

 

正解は?

 

 

 

1問目から問題が長いですね。

 

しかも難しそうです。

 

Cさんが、Bさん所有の家屋を賃借する契約を締結しています。

 

その際、権利金を支払わない代わりに家屋の修繕をする合意したようですね。

 

権利金=借地借家契約の締結の際に授受される金銭。敷金とは異なり、賃貸借契約終了の時に返還されないもの。礼金。

 

本来、この権利金は必ず支払わなければならないものではありません

 

慣行にならったものってことですね。

 

今回は、CさんとBさんで「権利金を支払わない代わりに家屋の修繕をする」と言う合意契約がなされたと言うことです。

 

そして修繕が必要になったのでCさんは、Aさんに依頼して工事をしてもらった訳です。

 

ただ、Cさんは、Aさんに修繕代金を支払う無資力となってしまったってことですね。

 

無資力=処分できる財産が無く、債務を弁済することができない状態にあること。財産より債務が超過している状態。

 

問題では、この状況下で「修繕をしたAさんは家屋の貸主のBさんに対し不当利得として修繕代金相当額の返還を請求することはできない」と言っています。

 

はたして。。。

 

平成4(オ)524 不当利得金 平成7年9月19日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 大阪高等裁判所

 

建物賃借人との間の請負契約に基づき右建物の修繕工事をしたところ、その後が無資力になったため、に対する請負代金債権の全部又は一部が無価値である場合において、右建物の所有者が法律上の原因なくして右修繕工事に要した財産及び労務の提供に相当する利益を受けたということができるのはとの間の賃貸借契約を全体としてみてが対価関係なしに右利益を受けたときに限られるものと解するのが相当である。

 

この問題は、無資力の場合の「危険負担」も絡んだ問題と言うことです。

 

契約当事者のAさん、それともBさんもはてなマーク

 

確かにBさんは、修繕工事によって建物の価値が上がったという利益を得ています

 

ただ、AさんがBさんに対して請求できるとするとBさんは権利金はもらえない」、「修繕費は負担する」という二重の負担を負うことになります。

 

これではBさんのみがCさんの「無資力」の危険を負担することになりますよね。

 

民法は公平なんですが、これは公平ではありません

 

そのため、今回のケースは、原則に従いAさんは契約者であるCさんに対して請負代金の請求をすることができるにすぎずCさんが支払えない場合は、契約当事者であるAさんがCさんの無資力の危険を負担することになると言うことです。

 

これ、CさんがBさんに権利金を支払っていてCさんが家屋の修繕義務を負っていた場合は、Bさんは権利金も修繕によって建物の価値が増加しているという利益も得るので、AさんはBさんに対して修繕代金相当額の請求をすることができると言うことです。

 

う~ん、最初から難しいですね。

 

 

 

問題

Bは、Cから強迫を受け、同人の言うままに、Aと金銭消費貸借契約を締結し、Aに指示してBとは何らの法律上または事実上の関係のないDに貸付金を交付させたところ、Bが強迫を理由にAとの当該金銭消費貸借契約を取り消した。この場合に、Aは、Bに対し、不当利得として貸付金相当額の返還を請求することができる。

 

 

 

正解は?

×

 

 

 

Bさんは、Cさんから強迫を受けているようですね。

 

Cさんから言われるままに、Aさんと金銭消費貸借契約を締結したようです。

 

そして、Bさんは、Aさんに指示してBさんとは何らの法律上又は事実上の関係のないDさんに貸付金を交付させた訳です。

 

Bさん、言われるがままではいかんと思ったんでしょうね。

 

Cさんからの強迫を理由にAさんとの金銭消費貸借契約を取り消した訳です。

 

このケースで、貸付金を交付したAさんは、Bさんに対して不当利得として貸付金相当額の返還を請求することができるのかはてなマークってことですね。

 

この問題のポイントは、「AさんがDさんに貸付金を交付してBさんが利益を得たかどうか」ですね。

 

もし、BさんがDさんに何らかの借りがあり、Aさんが交付した貸付金でBさんの借りがなくなれば、これは不当利得にあたります

 

今回の問題は「Bとは何らの法律上または事実上の関係のないDに貸付金を交付させた」とあるので、BさんとDさんには何の関係もありません
 

平成8(オ)497 約束手形金 平成10年5月26日 最高裁判所第三小法廷 判決 破棄自判 大阪高等裁判所

 

上告人との間には事前に何らの法律上又は事実の関係はなく上告人はDの強迫を受けてただ指示されるままに本件消費貸借契約を締結させられた上貸付金をの右口座へ振り込むよう被上告人に指示したというのであるから、先にいう特段の事情があった場合に該当することは明らかであって、上告人は右振込みによって何らの利益を受けなかったというべきである

 

Bさんは何の利益も得ていませんので、Aさんは貸付金相当額の返還請求をすることはできません

 

 

 

問題

Aは、賭博に負けたことによる債務の弁済として、Bに高価な骨董品を引き渡したが、その後、A・B間でBがこの骨董品をAに返還する旨の契約をした。この場合に、Aは、Bに対し、この骨董品の返還を請求することができる。

 

 

 

正解は?

 

 

 

問題の賭博は、公序良俗違反にあたりますね。

 

公序良俗

第九十条 公の秩序又は善良の風俗反する事項を目的とする法律行為は、無効とする


そして、賭博に負けたことによる債務の弁済として、Bさんに高価な骨董品を引き渡す行為不法原因給付にあたります。

 

不法原因給付

第七百八条 不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができないただし不法な原因が受益者についてのみ存したときは、この限りでない

 

前段に書かれていますね。

 

不法な原因のために給付をした者はその給付したものの返還を請求することができない。」

 

返して。」って言えないと。。。

 

はたしてどうなんでしょうかはてなマーク

 

昭和24(オ)179 約束手形金請求 昭和28年1月22日 最高裁判所第一小法廷 判決 棄却 大阪高等裁判所

 

被上告人の上告人に対して交付した金八万四千円が不法原因給付であつてその返還を請求し得ないものであるとしても元来同条が不法の原因のため給付をした者にその給付したものの返還を請求することを得ないものとしたのは、かかる給付者の返還請求に法律上の保護を与えないというだけであつて、受領者をしてその給付を受けたものを法律上正当の原因があつたものとして保留せしめる趣旨ではない

 

従つて、受領者においてその給付を受けたものをその給付を為した者に対し任意返還することは勿論、曩に給付を受けた不法原因契約を合意の上解除してその給付を返還する特約をすることは、同条の禁ずるところでないものと解するを相当とする。そして、かゝる特約が民法九〇条により無効であると解することのできないことも多言を要しない

 

給付者の返還請求に法律上の保護を与えない給付者が裁判所を利用して返還請求をすることができない

 

ただ、後半に書いてありますね。

 

受領者においてその給付を受けたものをその給付を為した者に対し任意返還すること

 

給付を受けた不法原因契約を合意の上解除してその給付を返還する特約をすること

 

これらの行為は、有効であり、民法第七百八条禁止するところではありません

 

また、任意返還することも、不法原因契約を合意解除して特約を締結することも、民法第九十条により無効と解することもできません

 

任意返還することも、特約も有効ってことです。

 

ですので、この問題では、返還する契約をしているので、Aさんは、Bさんに対して、骨董品の返還を請求することができると言うことですね。

 

 

 

問題

Aは、Bに対する未払い賃料はないことを知りつつ、Bから賃料不払いを理由とした賃貸建物明渡請求訴訟を提起された場合における防禦方法として支払いをなすものであることを特に表示したうえで、Bに弁済を行った。この場合に、Aは、Bに対し、不当利得として給付した弁済額の返還を請求することができる。

 

 

 

正解は?

 

 

 

この問題はAさんは、未払い賃料はないってことを知っていた訳です。

 

ただ、あくとく家主のBさんから難癖をつけられ賃料不払いを理由とした賃貸建物明渡請求訴訟を提起された訳です。

 

酷いですね。

 

許せません。

 

そこで、Aさんは、未払賃料はないことを知った上で、「訴訟に対する防禦方法として支払います特に表示した上でBさんに弁済を行った訳です。

 

このケースで、Aさんは、Bさんに対し、不当利得として給付した弁済額の返還を請求することができるのかはてなマークって内容です。

 

う~ん、返還請求できそうな感じはしますよね。

 

まず、基本から確認しますね。

 

Aさんは、未払い賃料はないってことを知って支払っています

 

民法には次のような条文があります。

 

債務の不存在を知ってした弁済

第七百五条 債務の弁済として給付をした者は、その時において債務の存在しないことを知っていたときは、その給付したものの返還を請求することができない

 

Aさんは、債務の不存在を知っていたので、原則では給付したものを返還してくれとは言えないんですね。

 

ただ、この条文は任意に弁済した場合です。

 

今回のように事情があってのものではありません

 

判例はどのように判断したのでしょうかはてなマーク

 

昭和37(オ)904 不動産取得登記抹消等請求 昭和40年12月21日 最高裁判所第三小法廷 判決 その他 東京高等裁判所

 

上告人らは被上告人B1に対し賃料支払の義務はない訴を提起されることを慮つて支払う旨留保の表示までしているのであり、このように債務の不存在を知つて弁済したことも無理からぬような客観的事情の存する場合には、民法七〇五条は適用されないものと解すべきである

 

債務の不存在を知つて弁済したことも無理からぬような客観的事情の存する場合

Bから賃料不払いを理由とした賃貸建物明渡請求訴訟を提起された場合における防禦方法として支払いをなす

 

無理からぬような客観的事情が認められるため、Aさんは、Bさんに対し、不当利得として給付した弁済額の返還を請求することができると言う訳ですね。

 

悪徳家主を認める訳にはいきませんね。

 

 

 

問題

Aは、Bとの愛人関係を維持するために、自己の有する未登記建物をBに贈与し、これを引き渡した。この場合に、Aは、Bに対し、不当利得としてこの建物の返還を請求することができる。

 

 

 

正解は?

×

 

 

 

愛人関係を維持するために、物を贈与する行為は、先ほど見た公序良俗違反ですね。

 

給付しているものがあれば不法原因給付としてその給付の返還を請求することはできません

 

今回、Aさんは自己の所有する未登記の建物を愛人のBさんに贈与し、引渡しています

 

昭和41(オ)436 建物明渡等請求 昭和45年10月21日 最高裁判所大法廷 判決 破棄自判 東京高等裁判所

 

原審の認定した右事実関係のもとにおいては、右贈与は公序良俗に反し無効であり、また、右建物の引渡しは不法の原因に基づくものというのを相当とするのみならず本件贈与の目的である建物は未登記のものであつて、その引渡しにより贈与者の債務は履行完了したものと解されるから、引渡しが民法七〇八条本文にいわゆる給付に当たる旨の原審の前示判断も、正当として是認することができる

 

未登記の建物は、「その引渡しにより贈与者の債務は履行を完了した」と言っています。

 

不法原因として給付されているので、返還を請求することはできないと言うことですね。

 

それでは、登記済だった場合は、、、

 

登記済の建物の書面によらない贈与は、原則として移転登記がなくても引渡しがあれば所有権は移転することになります。

 

ですが、不法原因給付に基づく登記済の建物の書面によらない贈与は、給付がなされたという判断は、引渡しのみでは足りず所有権移転登記がなされていることを要するとされています。

 

昭和45(オ)10 建物所有権移転登記手続等請求 昭和46年10月28日 最高裁判所第一小法廷 判決 棄却 東京高等裁判所

 

しかし、原判決によれば、本件建物は既登記のものであつたことが窺われるのであるが、本件においては、右贈与契約当時上告人は被上告人B2から本件建物の引渡を受けたことを認めうるにとどまり被上告人B2はその後本件建物の所有権を取得し、かつ自己のためその所有権移転登記を経由しながら上告人のための所有権移転登記手続は履行しなかつたというのであるから、これをもつて民法七〇八条にいう給付があつたと解するのは相当でないというべきである。

 

贈与が有効な場合特段の事情のないかぎり所有権の移転のために登記を経ることを要しないことは所論のとおりであるが、贈与が不法の原因に基づくものであり、同条にいう給付があつたとして贈与者の返還請求を拒みうるとするためには、本件のような既登記の建物にあつては、その占有の移転のみでは足りず所有権移転登記手続が履践されていることをも要するものと解するのが妥当と認められるからである原審が右と同趣旨の見解のもとに、本件につき民法七〇八条の適用を否定した判断は正当として是認することができる

 

 

今日も内容が濃かったですが、最後まで有難うございました。

 

今日のところはここまでです。

 

 

 

んでまずまた。

 

 

 

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