こんにちは。
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今日の過去問は、平成29年度問10の問題を○×式でやりたいと思います。
それでは、早速。
問題
執行罰については、それを認める一般法は存在せず、これを認める個別の法令の定めが必要であるが、行政代執行法は、執行罰の規定を条例で定めることも明文で許容している。
正解は?
×
今日の過去問は執行罰です。
過去記事を検索したところ6件の記事が出てきました。
結構書いてますね。
と言うことは、この五肢は全て正解しないとマズいですね~。
最初に執行罰について復習しておきましょう。
執行罰=非代替的作為義務や不作為義務が履行されない場合、行政庁が一定の期限を示し、期限内に履行されない場合に過料を科す旨を予告し、義務者に心理的圧迫を加え、間接的に義務の履行を強制すること。義務を果たすまで、何度でも過料を科すことができる。
非代替的作為義務=作為を行うべき義務のうち、特定の義務者(他人が代つてなすことのできない行為)でなければ履行できない義務。
不作為義務=特定の作為を行ってはならないことを内容とする義務。
簡単に言うと行政庁が、「Aさん、お酒売っちゃダメでしょう。」ってイメージです。
お酒の販売許可がなければなりませんから。
このケースで、Aさんがお酒の販売をやめなかった場合に、行政庁がAさんに対し「お酒の販売を継続するなら、過料○○万円を支払ってもらうよ。嫌なら販売を即刻止めて下さい。」って心理的圧迫をかけてお酒の販売行為をやめさせるイメージです。
これ、目的は、義務を果たさないことに対して制裁を加えている訳ではありません。
あくまで義務を果たさせようとしていると言うことです。
つまり、行政庁は、Aさんに「販売行為をしたことに対して制裁を加える」と言うことではなく、Aさんに「販売行為をやめさせる」という目的のために、過料を科すということです。
この違い、大丈夫ですね。
それでは、一問目から見てみますね。
この問題は何度か見ていますので大丈夫ですよね。
一般法は存在せず、これを認める個別の法令の定めが必要ってのはその通りなんですが、その後ですね。。。
条例はOKでしたっけ 違いますよね。
行政代執行法を確認しますね。
第一条 行政上の義務の履行確保に関しては、別に法律で定めるものを除いては、この法律の定めるところによる。
第二条 法律(法律の委任に基く命令、規則及び条例を含む。)により直接に命ぜられ、又は法律に基き行政庁により命ぜられた行為(他人が代つてなすことのできる行為に限る。)について義務者がこれを履行しない場合、他の手段によつてその履行を確保することが困難であり、且つその不履行を放置することが著しく公益に反すると認められるときは、当該行政庁は、自ら義務者のなすべき行為をなし、又は第三者をしてこれをなさしめ、その費用を義務者から徴収することができる。
他人が代つてなすことのできる行為=代替的作為義務
第二条には代替的作為義務について書かれていますが、執行罰の対象の非代替的作為義務、不作為義務については書かれていません。
と言うことは、第一条に基づくことになりますが、第二条にはわざわざ条例を含むと明記していることから第一条には条例は含まれないと解釈されています。
と言うことで、執行罰の規定を条例で定めるは出来ないと言うことですね。
問題
執行罰とは、行政上の義務の不履行について、罰金を科すことにより、義務の履行を促す制度であり、行政上の強制執行の一類型とされる。
正解は?
×
この問題はいかがですか
行政上の義務の不履行について、義務の履行を促す制度であり、行政上の強制執行の一類型とされる。
う~ん、この内容はあってますね。
執行罰は、強制執行の一類型で間接強制です。
ただ、先ほど書いちゃいましたが「罰金」ではなく、「過料」ですね。
大きな違いです。
罰金=刑法の定めている刑罰のひとつ。
過料=行政上の義務違反に対する罰則。
「罰金」は前科が付きますが、「過料」は付きません。
また、手続き上の違いもあります。
罰金は刑事訴訟手続によりますが、過料は非訟事件手続による他、各種の法律の定めによるという違いがあります。
過料には、地方公共団体の長が科すなんてのもありましたよね。
問題
執行罰は、多くの法令において、各種の届出義務などの軽微な手続上の義務への違反に科されることとされている。
正解は?
×
この内容はどうですか
良く作られていると言えば言えますし、何とも言えませんね。
「多くの法令において、各種の届出義務などの軽微な手続上の義務への違反に科される」
これは、執行罰の内容ではなく、秩序罰(過料等)ですね。
ですので、
「秩序罰は、多くの法令において、各種の届出義務などの軽微な手続上の義務への違反に科されることとされている。」
であれば○です。
それでは、執行罰は
これは超有名ですよね。
多くの法令においては、×です。
現存しているのは、砂防法だけですから。。。
砂防法
第三十六条 私人に於て此の法律若は此の法律に基きて発する命令に依る義務を怠るときは国土交通大臣若は都道府県知事は一定の期限を示し若し期限内に履行せさるとき若は之を履行するも不充分なるときは五百円以内に於て指定したる過料に処することを予告して其の履行を命することを得
執行罰の規定は、これだけです。
この法律は、明治三十年施行です。
五百円以内に於て指定したる過料・・・
今だと小学生でも払える額かもしれませんから、今現在は、心理的圧迫を与えることができるとは言えないでしょうね。
ただ、昔は、初任給が8~9円くらいだったらしいので、現在の初任給を20万とした場合、1円は、当時の金額にすると2万~2.5万円くらいだったと言うことではないでしょうか。
とすると、現在の価値にすると 500円=約1,000万以内の罰則と言うことになりますね。
こりゃ凄い。。。
法整備の漏れと言うことらしいのですが、当時のままの500円で良いんでしょうかね
問題
執行罰は、刑罰ではないため、二重処罰の禁止の原則の適用はなく、同一の義務の不履行について、これを複数回にわたり科すことも認められる。
正解は?
○
この内容は
今までの問題でちょこちょこと見てきましたよね。
執行罰は、
刑罰ではない=行政強制の一種ですね。
二重処罰の禁止の原則の適用はなく、同一の義務の不履行について、これを複数回にわたり科すことも認められる。
↓
義務を果たすまで、何度でも過料を科すことができる。(制裁目的ではない)
執行罰で課されるのは「過料」です。
過料=行政上、軽い禁令をおかしたものに支払わせる金銭。
執行罰は、刑罰ではない(制裁目的ではない)ので義務を果たすまで、何度でも過料を科すことができます。
義務の履行を間接的に促すものです。
ちなみに「過料」は、刑罰で科すものではありませんので刑罰と併科することができます。
問題にある「二重処罰の禁止の原則」とは、同じ罪で、懲役刑と罰金刑を科すようなことは出来ないと言うことです。
これは、どちらも刑罰ですから。。。
ちなみに前の問題に戻ると、「義務を果たすまで、何度でも過料を科すことができる。」は、当時は500円以内でも恐ろしいことになるんですね。
問題
執行罰は、行政上の義務の履行確保のために科されるものであるが、行政機関の申立てにより、非訟事件手続法の定める手続に従って、裁判所の決定によって科される。
正解は?
×
今日最後の5問目ですね。
執行罰の手続です。
問題では、「行政機関の申立てにより、非訟事件手続法の定める手続に従って、裁判所の決定によって科される。」とありますが。。。
1問目の執行罰の内容と3問目の砂防法の条文を確認しましょう。
1問目では、執行罰の説明に「行政庁が一定の期限を示し、~~~間接的に義務の履行を強制すること」と書きました。
また、砂防法では、「国土交通大臣若は都道府県知事は一定の期限を示し~~~其の履行を命することを得」とあります。
と言うことは、非訟事件手続法に従う訳ではありませんね。
裁判所も関係はありません。
それと、先ほど非訟事件手続云々と言うのを書きましたが、あれはあくまで「過料」を科す際の手続です。☚ここ注意
執行罰は、「過料」を科すものではありますが、その「過料」の科し方にはいろいろあると言うことです。
1問目と3問目の内容から執行罰は、「行政庁」が科すと言うことになります。
ちなみに、問題の「非訟事件手続法の定める手続に従って、裁判所の決定によって科される。」は、秩序罰です。
どうですか
今日で執行罰は「パー璧(古)」ですね。
砂防法に残ってはいますが、ほぼ、現在では使われていない制度です。
ただ、昨年も問題として問われるところに何か深い意味があるようで仕方がありません。
この問題も含め、過去に問われた内容は押さえましょう
今日も最後まで有難うございました。
今日のところはここまでです。
んでまずまた。
押すと何かが変わる。。
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